3.ありふれた日常
第三章
カイ「本当に戻ってきたのか..?」
この幼い体、どうやら本当に20年前に戻ってきたようだ。
???「おい!起きてるなら言えよな..カイ。」
カイ「悪い悪い、少しぼーっとしてたよ。パトル。」
パトル「そうか、そんなことより早く一緒に稽古しようぜ!!」
こいつの名はパトル=ラジール。ラジール国の王子で俺の数少ない友人だ。
カイ「わかったよ。その前に調べ物があるから、先に行っててくれ。」
パトル「そうか、じゃあ先に行ってるからな!ちゃんと来いよ!」
20年前ってことは、歳は12か今から5年後あいつによって、家族は殺される。それを阻止するにはパトルと稽古してるだけではだめだ。
もっと強くならなけば。そのためには霊薬が必要だ。
霊薬は東の渓谷にある洞窟の主、”マッドタイガー”が持っている。ただ、”マッドタイガー”を倒さなければ霊薬は手に入らない。
マッドタイガーは腕に自信がある剣士が、挑んでも勝てるか分からない強敵だ。
今の俺に勝てるのか...?
カイ「どうしたものか..」
そう独り言を呟いていると背後から声が聞こえた。
???「ほら、なにぼーっとしてるのよ!」
その言葉とともに背中に痛みが走った。
カイ「ッ!母さん!いきなり背中を叩くなよ!」
カイ母「パトル君を待たせてるんでしょ。早く行ってきなさいよ!」
カイ「わかったよ..」
スタスタ....
パトル「フンッ!フンッ!フンッ!」
いつもの場所についたらそこには剣術の練習をしているパトルの姿が見えた。
カイ「いつ見ても凄いな、お前の剣は。」
パトル「遅ぇよぉ!それに剣の腕はお前の方が上だから褒められても嬉しくねぇよ!」
カイ「てか、そういえばそろそろ学校の入学試験だな..」
パトル「おいッ!話を逸らすな!」
年に一度、開かれる魔剣養成学校の入学試験。そこには王国の貴族から平民まで、色んな人間が試験を受ける。
魔剣養成学校は、その名のとおりに魔法使い、剣士を育成する学校である。この学校は全寮制の学校で、入学すると基本的には外出禁止だ。だが、入学試験で優秀な成績を収めると外出許可証が与えられる。
この許可証があると学校からの出入りはもちろん、本来国のお偉方からの許可がないと入れない武器屋や危険区域の出入りができる。
パトル「おい!そんなことより、早く稽古するぞ!!」
パトル「今度こそお前に勝ってやる!!」
カイ「仕方ないなぁ..」
ザッ....
カイ「掛かってこい!」
《ダッ..》
っという音とともにパトルはカイに近づきカイの首めがけて剣を思いっきり振った。
《カキンッ》
っという音が鳴り響いた。
その音はカイがパトルの剣を防いだ音だった。
カイはパトルの剣を薙ぎ払い、パトルの懐に忍び込み斬りかかる。
カイ「..ライラット流..」
《”第一式”ナイン・グレイブ”》
パトル「くッ!?」
パトルはギリギリのところでカイの剣を防いだが、体勢が崩れそのまま尻餅をついた。
カイ「終わりだ..」
カイはそう言うと、刀を鞘へ収める。
パトル「カイ、お前いつの間にそんなに強くなったんだよ!!」
カイ「試験のためにお前がいないときも、剣術の練習してたんだよ」
パトル「そうか、なら今度からは俺に剣術教えてくれよ!!」
カイ「はぁ!?なんで俺がお前に剣術を教えなきゃいけないんだよ!」
パトル「いいじゃねぇかよぉ、俺にも教えてくれよ!」
カイ「はぁ〜わかったよ。剣術教えてやるよ」
パトル「やったぁ!ありがとな!!」
カイ「ただし俺の言うことはちゃんと聞けよな!!」
パトル「♪ルンルルン♪」
カイ「はぁ~..もう聞いてないし..」
パトル「よし!じゃぁ今から教えてくれよ!!」
カイ「無理だ..もうこんな時間だからな家に帰らなければいけない。明日教えてやる」
パトル「えぇ!?もうそんな時間かよぉ。」
パトル「仕方ないな..」
カイ「なんだ..今日はやけに聞き分けがいいな?」
パトル「いやぁ、さっきは勢いで教えてくれって言ったけどよくよく考えたら今帰らないとパーティーに間に合わなくなるからよ!」
カイ「忙しいんだな..」
パトル「まぁ..これでも王子だからな!」
カイ「そうか、じゃぁまた明日な!」
パトル「そうだな!明日はちゃんと剣術教えてくれよ!!」
カイ「わかったよ!」
俺はそう言いながら手を振った。
こうしてやけに賑やかな一日が終わった。
第三章 ー完ー
作品を読んでいただきありがとうございます。
今回は戦闘描写を細かく書きました。
どうでしたか?
私はカッコよく書けていたのかとても不安です。
個人的に頑張ったところはカイとパトルの戦闘時の動きですかね。
小説では漫画と違って、言葉で表現しなければいけないのでとても難しくて上手く表現できたかわかりませんが、頑張ったので是非感想をお願いします。m(_ _)m
次話の第四章は明日の同じ時間帯に投稿すると思うのでお楽しみに〜。