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街の散策と・・・

 二人と別れて街を散策した。わかったことはやはりこの街はゲームの時に存在しなかった街ということ。そして自分たちがいる国はアークトゥルス王国であった。ゲームの時に存在した国で、基本的に多くのユーザーが活動していた国である。アークトゥルス王国の主要都市を行き来し、クエストを受けたり、ダンジョン攻略したりして遊んでいたので、大きな都市、街の名前はゲームにもあったのだろう。ただ、ここのような都市と都市の間の小さな街はゲームに反映されていなかったというか、作られていなかったのだろう。都市の間の街ということで、見て回ってわかったことだが宿屋が多くある。宿場町的な位置づけの街ということが分かった。

 そのせいか、冒険者になろうにも冒険者ギルドがないし、武器はあるけどポーションといったの回復薬など細々したアイテムを売っている道具屋もない。回復ポーションは売っている所は見かけたが、魔法職の自分にとっては魔力を回復する魔力ポーションも必要だ。正直この街にいてもあまり意味ないことが分かった。冒険者になって、お金を稼がないとそのうち所持金が尽きてしまう。なにも考えずに一週間分も宿を取ってしまったのは間違いだったかもしれない。


 日が暮れて宿に戻ってくると既に岡島が居た。荒殿はまだ帰って来てないみたいだ。


「おかえり。なにか収穫あったか?」

「ただいま。なんとなく、この街や周辺のことはわかったよ。ただ、一週間分宿を取ったのは間違いだったなぁって思った。」

「そうだよな。この街なんもねぇし。大きな街に移動してそこで生活基盤整えるのがいいだろ。」

「そうなんだよね。返金できないっぽいしどうする?日本のホテルと比べると宿代なんてこっちの物価と照らし合わせると安いけどもったいないよね。」

「だがしかし、ここに一週間いてもなにも意味ないぞ。仕事あればいいけど働き口がありそうな感じでもなかったしな。」

「やっぱり移動しかないかぁ。今日休んで明日から動く?」

「そうするか。そういえばあいつまだ帰って来ないな。」

「そろそろ帰ってくるんじゃない?ちょうど日が沈んだし。」


 窓の外を見ながらそう言うと扉が開いた。


「ただいま戻りました!」

「「おかえり。」」


 部屋の中が静寂に包まれる。


「・・・・・」


 荒殿は扉の前から動かない。


「あのさ。」

「なんですか?」

「後ろの人誰かな?」

「え、えーっとですね・・・。」

「お前さぁ、ここ出る前に言ったよな?」

「そ、そうですよね。」

「はぁ。それで何やらかしたの?」

「やらかしてないです!人助けしただけですよ!」

「それで?この後どうしなきゃいけないの?」

「この人を王都まで護衛したいです。」

 

 俺は岡島と顔を見合わせる。岡島はやれやれと顔を横に振る。


「まだ馬車間に合うかな?」

「今出ればギリ間に合うと思うぞ。」

「じゃあ行こうか。」


 そう言って立ち上がる。まとめる荷物ははないから鍵を返すだけでいい。


「ありがとうございます!」

「あとでちゃんと詳細教えろよ。」

「その人の紹介もね。」


 

 なんとか乗合馬車の時間に間に合い王都へと向かう。ちょうど他の乗客はいない。

 馬車がゆっくりと走りだすが、揺れが凄い。車酔いする体質だからちょっとやばいかもしれない。


「これ絶対おしり痛くなるやつだね。」

「ゴムタイヤじゃないし、サスペンションとかもついてないからキツイな。普段乗り物酔いとかしないけどこれはするかもしれん。」

「めっちゃガタガタしますね。やばいです。」

「この状態で3時間ほど揺られるのか。まぁそれより経緯を話せよ。」

「えっとですね。簡単に言うと。街を散策してたらたまたまこの人が襲われてる所に出くわしまして、とりあえず助けてみました。」

「お前とりあえずで助けるなよ。素性も分からないし、何故襲われてるかも知らないだろ?」

「そうなんですけど、襲ってる方如何にもチンピラって見た目だったんですよ。なのでつい助けちゃいました。」

「自分の力もまだ正確に把握できてないのによくそんなことしたな。」

「でもスキルのおかげか相手ワンパンでしたよ。殴ったら普通の大人が吹っ飛びました。」

「怪力のおかげかな?力のステータス高いし。」

「そんなこんなでチンピラは余裕だったんですけど、そのあと追手がたくさん出てきまして。何とか撒いて宿に戻ってきて、今ここって感じですね。」

「馬車に乗るまでは平気だったけど、やっぱりこの後来るかな?」

「そうだろうな。」

「馬に乗って追いかけてくるか、待ち伏せだよね。遠距離なら魔法と岡島の弓で撃退するしかないね。」

「問題を持ってきた本人使えねーな。」

「そんなこと言わないでくださいよ!遠距離攻撃の手段ないんですもん。敵が近くに来たら戦いますよ!」

「それは当たり前だが、近くまで来させたらダメだろ。アホが。」

「なるべく近づけさせないで対処したいね。」

「二人でやるしかないか。馬車のおっちゃんに対して申し訳ないな。」

「何も知らないのに巻き込んで悪いからおっちゃんもしっかりと守ってあげないとだね。」

「二人ともお願いします!」

「お前は後で覚えとけよ!そんでもって、そろそろあなたの素性とかなんで狙われてるのか知りたいのですが・・・。」

「・・・・・」

「だんまりかよ。荒殿!」

「僕も何も知らないですよ。」

「お前は本当に・・・。」

「少しは聞いといて欲しかったけど、その人も安全の為になにも話してないんだろうね。喋って裏切られたら困るし。」

「助けを求めた相手に何も話さないのは違くないか?」

「色々事情があるんでしょ。乗り掛かった舟だし頑張ろうよ。」

「翠は甘いぞ。」


 それから馬車に揺られて1時間ほど何事もなく進んだ。







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