まずは確認
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見渡す限りの草原。目の前の奥の方に街がかすかに見える。その街から自分の後ろの奥まで道は続いている。
そんな草原の道の真ん中に3人の男が突っ立っている。
「ほんとにここが異世界なのかな?」
荒殿が問いかける。
「顔とか抓ってみればわかるんじゃない?VRだと痛覚がなかったから魔物から攻撃受けても痛みとかなかったけど。ほんとに異世界に来たのならここが現実で痛みもあると思うけど。」
「痛い。痛覚あるよ。」
「じゃあほんとに異世界に来ちゃったんだね。」
「あの神っぽい奴胡散臭かったけどマジだったんだな。それよりもとりあえず現状確認しようぜ。レベルとかスキルとか装備とかさ。」
「わかった。」
ステータスオープン
心の中でそう唱えると目の前に自分のステータスが現れた。
名前:スイ・ウタガワ
レベル:73
力:5
守:24
魔:186+100
速:30
幸:27
スキル:付与魔法Lv8、魔力増強、並列思考
武器:箱の魔導書
自分のステータスはこんな感じだ。ゲームの時とは変わっていない。
名前:ダイキ・アラドノ
レベル:72
力:113+100
守:10
魔:4
速:24
幸:128+50
スキル:操鎚術Lv8、怪力、幸運
武器:伸縮の破壊鎚
名前:ツトム・オカジマ
レベル:76
力:76
守:37
魔:23
速:115
幸:30
スキル:弓術Lv6、短剣術Lv5、気配遮断、危機察知、
武器:隠者のナイフ、黒風の弓
二人のステータスもゲームの時と変わっていないみたいだ。
自分たちのパーティは荒殿がメイン火力、岡島が索敵、斥候、牽制役を担い、自分が魔法でサポートして戦うのが基本だ。
「俺はゲームの時のままだったけど二人はどう?」
「僕も変わりないですね。」
「こっちも変化なし、メイン武器はあるから、いきなりボス級の魔獣が出てこない限り即死とかはないだろ。」
「そうだね、でもゲームではないから油断は禁物でしょ。VRと違ってここが現実ってなるとHPじゃない方の体力が心配なんだよなぁ。」
「体力って言うと身体能力的なやつですか?走ったら疲れる的な。」
「そうそう、俺は魔法職だからまだいいけど、荒殿なんて大きなハンマーぶん回しながら戦うわけでしょ?普通に考えて疲れない?」
「あぁ~そうかもしれないです。ちょっとブンブンしてもいいですか?」
「やっとけ、やっとけ。」
そう言って荒殿はハンマーを取り出して取り回し始めた。
「あぁ~これちょっと考えた方がいいかもですよ。」
ハンマーを回しながら荒殿が言った。
「やっぱり疲れる?」
「VRの時と比べて段々と腕にきますね。普通に操作できますし、そこまできつくはないですけど、走りながらとか、戦闘しながらって考えると、長時間は無理ですね。VRだったら疲労感とかなかったのになぁ。」
「やっぱりそうなんだ。となると岡島危ないんじゃない?」
「ニートの俺死んだかもしれん。元々そんなに運動してなかったけど、社会人になってからは全くしてないし、ニートになってからはお前たちと遊びに行く以外ほとんど外出してないから体力には自信がないぞ。」
「一番素早いステータスの奴が体力ないのはやばいよねぇ。最初は距離取って安全に戦うとかして、少しずつ体力付けないといけないかもね。俺もだけど。」
「でよね~。いざという時走って逃げることがあるかもしれないですから普通に体力は必要ですよ。」
「ここに来てニートの弊害きたわ。まぁ斥候役が走れないじゃ笑い者だから頑張るか。」
「死んだらリスポーンとかできないから安全はしっかり確保していこうか。」
「「了解。」」
「それでだ、今後の方針はどうする?生活の安定は最低条件として、なんか目標とか決める?」
「僕はかわいい子といい感じになりたいです!ゲームにもいたから亜人の子と仲良くなりたいです!」
「お前の好みって本当に一般人とずれてるな、異世界に来て、まだ獣人とかのケモミミがいいとかならわかるが、亜人って言うとラミアとかアラクネと半魔獣の方だろ?普通に引くわ。」
「岡島さん!それ全世界のモンスター娘ファンを敵に回してますよ!亜人の良さがわからないとか人生損してますよ!せっかく異世界に来たのに亜人を愛でないで誰を愛でるというんですか!!!」
「俺は普通に金髪碧眼の子とかのかわいい子がいいんだけど。」
「普通すぎてつまらないですね!」
「あ?」
「い、いえ、、、なんでもないっすよ!冗談じゃないですかぁ。」
「まぁまぁ、かわいい子と出会いたいというのはわかったから。」
「そういう翠はどうなんだよ?」
「ん~。まぁそりゃ将来俺もかわいい子と結婚して家庭を持ちたいと思ってはいるけど、こっちの生活がどんな感じか良く分からないから何とも言えないかな。この世界じゃ福利厚生や保険なんてないんだし、若いうちにお金稼いどかないとかなって思ってはいるけど。」
「となると稼ぐことが目的か?」
「そうだね。何事もお金ないと始まらないし、ひと月分の生活費を貰ったとはいえ物価も分からないからそういうとこも調べないとだね。」
「ですね!お金ないとかわいい子が寄って来てくれませんし、貢ぐこともできないですから!」
「お前は、、、。」
「じゃあとりあえず街に行って、生活の基礎を整える事から始めるとしよう。」
地平線に見える街へと来た俺たちは門番に検問され、身分証がないからと多めの税金を取られたが普通に街に入ることが出来た。
まずは宿屋へ行きそこを拠点にしようと話が決まったので、門番に聞いたおすすめの宿屋に向かった。
そこは、いかにも異世界の宿屋だなという感じのところで先払いでお金を払い、とりあえず一人一部屋、一週間分泊まることにした。お互い部屋に置く荷物などないので、そのまま俺の部屋で次の予定の作戦会議となった。
「そういえば、ゲームしてる時は夜でしたけど、こっちに来たら昼間ですね。今何時なんですかね?」
「分からないね、宿に入る時に太陽がほぼ真上にあったから地球感覚なら12時位じゃない?」
「その辺も調べながらこの街を散策するか?」
「そうだね。ゲームとあまり変わらない世界って言ってたけどこの街は見覚えないし、知ってる街や国があるかも調べようか。」
「どうする?一緒に行動するか?それとも別行動するか?」
「岡島さん、一人だと寂しいんですか?」
「なわけないだろ!知らないとこに来たばかりだから安全面を考慮しての確認だ。」
「この街そこそこ広いから別々でいいんじゃない?知らない土地とはいえ子供じゃないんだし、迷子になっても何とかなるでしょ。言語も通じるしね。」
ゲームの時の世界ではよく分からない文字を使われた看板や本を見かけたが、この世界に来てからはその文字もなぜか自然と読めてしまうのが不思議だ。多分書くことも出来るだろう。おかけで意思疎通も困らないし、看板を見ればどんな店かも一目でわかる。
「じゃあそうしましょうか。日が沈むまでに宿集合とかでいいですかね?時間わからないですし。」
「原始的だがそれしかないな。」
「それでは、お二人ともまた後で会いましょう!迷子にならないように気をつけてくださいね。」
「お前は変なことに首突っ込むなよ。一番心配なんだぞ。」
「大丈夫ですって!それでは!」
そう言って荒殿は颯爽と部屋から出て行った。
「あいつ絶対なにか持って帰ってくると思うんだが。」
「俺もそう思うよ。それか変な知り合いが早速出来ると思う。」
「今までの経験から女だろうな。」
「女でしかないと思う。」
「今後のことも考えてここであいつを捨てるのも一つの手だと思うんだが。」
「さすがに速すぎじゃない?一応まだ何もしてないよ?」
「どうせ直ぐに問題抱えてやってくるぞ。如何にも自分は何も悪くありません。って顔して。」
「いつもの事だからなぁ。まぁその時に考えよう。」
荒殿はコミュニケーション能力高いから直ぐに知らない人と仲良くなったりする。大体女だけど。それが普通の人なら何も問題ないのだけど、あいつの場合そうではない。今までもそれでゴタゴタしているから今回もそうなりそうで心配だ。
「やっぱり団体行動の方が良かったかな?」
「今更もう遅い。何事もない事を祈るしかない。」
「そうだね。じゃあ適当に散策しようか。」
「おう。」
そう言って岡島と別れて宿を出る。
本当に何事もない事を祈ろう。