表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/9

とある惑星人類の場合9

「これで終わりだな」


 ソファに背を預けながら、映像を見ていたアダンが呟いた。

 映し出されているのは狂人によって不毛の大地へと変貌したほし(惑星)の様子だ。


「一応、僅かですが生きている者はいますよ?」


「生きていても、こんな状況じゃ時期に滅ぶだろ」


 戦争で疲弊していく最中で、国や地域などお構いなしの絶大な爆弾が全てを無に帰したのだ。食える生物の殆どが焼けたり波に呑まれたりしている中ではいずれ食べる物が尽きるのは明白だろう。


「仮に食糧の確保が可能な場所に人間がいたとして、次に繋ぐために子孫を残すという行為が希薄になりつつあったほし(惑星)だ。番でいたとしても子どもを授かろうとする者達も少ないだろう。まあ危機的状況故に活発になる可能性もあるが……まあ二、精々いって三世代で潰えるさ」


「そうですね……ところで、昼夜関係なく光が遮られている状況は人間以外に生物にも影響が大きいですね。アレに巻き込まれて滅んだ生物も多いですが、これではもっと増えそうです」


 爆弾によって休眠状態だった火山が幾つか活動を再開し、既に分厚く空を覆っていた雲は火山灰が加わることでさらに厚さを増し、それにより日の光を浴びることが出来ず、どうにか難を逃れていた植物にも影響が出ていた。


「それはもう、そういうもんだと受け入れるしかないな。けど、たとえ巨大隕石が落ちようとも、地表が氷河に覆われようとも、なんだかんだでしぶとく生き延びて、最終的に何事もなかったかのように生きてるから大丈夫だろ」


「それは自分の経験に基づいてですか?」


「まあな」


 どれほど荒廃した土地でも時間が経てば草木が生い茂り、動物が駆け鳥は飛び交うことをアダンは過去に目の当たりにしているからこそ、実感を込めて返事をした。


「そういえば、今回の報告書は貴方が書いてくださいね。前回は私がやったので」


「いや、イブリアが書いた方が良いだろ。めちゃくちゃ見やすかったし、情報の整理の仕方も良かったんだから」


 書類仕事が苦手な少年は少女が受け持ってくれるよう褒めて持ち上げる。


「……苦手なら教えますよ?」


 嫌味を込めてか満面の笑みを見せながら、イブリアが問うた。


「いや、ダイジョウブです」


 薄ら寒いものを感じ、アダンは断るといそいそと作業を始めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ