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とある惑星人類の場合5

 破滅的な事件から数日。


 関与した人物の名や使用された技術などの情報は初日で集まったものの、それから先の情報についてはどの国も手詰まりとなっていた。


 最初は悲惨な事態に対する悲しみや嘆きの声、そして余りに非現実的な事態故に新たな映像作品のプロモーションであれという願望等、概ね被害を受けたことに対する憂いの言葉が世間に溢れていたが、いつしか新たな情報が得られないことに対する各国の無能さを糾弾する声や得体のしれない首謀者に対する恐怖の声、果ては国を乗っ取るために行われた軍事行動だという陰謀論が囁かれるなど混迷を極めていた。


 そんな状況のなか満を持して世界会議で行われたが、内容は混乱の最中に新たに擁立された被害国の代表による涙と嗚咽交じりの演説が主で、他は既に既知の情報が羅列されていくのみだった。


 世間一般では演説に対する感銘の声も多かったが、新たな情報が得られなかったことに対する落胆の声もまた多かった。


 無論、会議外ではアルドシア・フェブリスをひた隠しにする国を見極める為の腹の探り合いが行われていたが上手くはいかなかった。


 結果、世界会議は各国に対して世間の批判が増えただけで終わった。




 世界会議の翌日、海に接する国々の領空に正体不明の機体がほぼ同時刻に侵入した。常時であれば退去などの措置をとるところだが、機体の特徴などの最低限の情報を得たのち、緊迫した情勢の最中ということや危険な物を積載していることを考慮しつつも全ての国が撃墜した。


 得体のしれなさに不安を抱きながらも各国は機体の種類から製造業者の特定を即座に行ったが、何処にもそのような機体が存在しない事が判明した。


 また、積んでいる荷物次第では取り返しのつかないことになっていたのではと、野党による追及が行われるなど国内で行動指針の一本化が出来ていない国が少なくない数の国に見られた。


 そして領空侵犯から半日、とある二つの国が爆撃を受けた。どちらも海に接する国であり警戒を怠らずにいた中での爆撃だった。


 人口密集地ではない場所への攻撃ではあったが、被害を受けた国と爆撃を受けた場所に問題があった。その二か国は世界の食料自給の合計約五%を担う程の広大な土地を有する国々であり、被害を受けた場所はその広大な農地だったからだ。


 それぞれ自国の農地の九割以上を焼失することとなり、農業が最も盛んな産業であった両国の経済的損失は多大なもので、この一日で国が傾きかねない程だった。


 此れによる世界経済への影響は甚大で、さらなる経済不況への拍車が掛かることとなった。また、国によっては五年前の三つの国と同じように財政破綻しかねない状況へと陥り、形振り構っていられない国が出てきてもおかしくない事態となった。

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