愛のキューピットは、悪魔のキューピットに大変身！
私は、好きな男性がいるのに、積極的に
彼に話しかける事すらできないでいる。
彼は、頭も良く気遣いができる男性。
大人しい私にも、優しく話しかけてくれるとっても素敵なひと。
ずっと私は彼に“片思い”をしている。
そんな時、噂話が大好きな職場の女性に私の好きな男性がバレてしまう。
私は嫌な予感しかなく、彼女に本当の事を言わなかった。
・・・それなのに。
彼女は、私と彼の“愛のキューピット”にでもなった気で
私にお節介を焼いてくる。
私は彼との関係を慎重にゆっくりと深めていきたいと想って
いるのに、この女性ときたら？ そんな事はお構いなしで！
ズケズケと私の気も知らずに、進めていく。
『先ね、本城さんが渡辺君の事、呼んでたよ。』
『えぇ！？ 本城さんが？』
『うん！ 行ってみて！』
『あぁ、はい！』
私の知らないうちに、彼が私を探して追いかけて来た。
『本城さーん！ 僕に何か用ですか？』
『えぇ！？』
『先、中村さんが僕にそう言ってたんですけど...。』
『中村さんが？ でも、私、、、。』
『呼んでないなら、それでもいいんですけど。元気ですか？』
『えぇ！？』
『あんまり本城さん、僕と話してくれないから。』
『ううん、元気だよ！ 渡辺君は？』
『僕も元気です！ じゃあ、また！』
『ううん。』
・・・正直、中村さんのしてくれる事は迷惑だと思っていたけど。
私一人の力だけじゃ、何年経っても渡辺君と話せなかったとあの
時、そう思った。
凄く嬉しくて、彼の声をこんなに近くで聞けた事が嬉しかった。
中村さんは、私と彼の本当の愛のキューピットになろうとして
くれていたのかな。
でも？ ある日、突然！ 一変する。
愛のキューピットだと思っていた彼女が、突然“悪魔のキューピット”
に変身した！
そう、彼女は渡辺君の事を本気で好きになってしまったのだ！
こうなると彼女は？ 私の事なんかどうでもよくなったみたいで。
彼に猛アタックする中村さんを見て、私は愕然とする。
【このままだと、彼を中村さんに取られてしまう】と。
・・・でも私は、勇気がなく。
中村さんが、彼にガンガン話しかけて行く所を見ても
何もできないでいた。
彼を取られたくないけど、どうしたらいいのか分からない。
＊
私が迷っている間に、中村さんは彼と仲良くなっていく。
いつの間にか、彼は中村さんと二人で食事に行く仲になっていた。
もう、私はこれで彼の事を諦めるしかないと覚悟を決めると。
彼が私に、こう言ってくれた。
『本城さん、少し話したい事があるだけどいいかな？』
『ううん。』
『今、物凄い勢いで中村さんに気に入られているんだけど
僕は本城さんが“好き”だから、中村さんには断ろうと思うんだ！
だから、僕と付き合ってくれないかな本城さん！』
『えぇ！？』
『今すぐ、答えを出さなくていいよ、ゆっくり考えて答えを出して
くれればいいから。』
『・・・ううん。』
私は、彼に言われて物凄く嬉しかった。
自分の好きな男性から、まさか！？ 【告白】されると
思ってもみなかったからだ。
私は、その日一睡も出来ず彼に付き合う事をOKした。
・・・その後、中村さんは？
直ぐに彼の事を諦め、次のターゲットを探しだした。
彼女は、ひょっとしたら？ “人のモノを欲しがる女の子”なのだと
後から分かった。
間一髪のところで、彼を取られなかった事に今はホッとしている。
最後までお読みいただきありがとうございます。
