ネジの落ちる音
チリン――
道を歩いていたら金属音がしたので足元を見てみると、ネジがひとつ落ちていた。とくになんの変哲もない、普通のネジだ。クルマが踏んでパンクするといけないだろうと、おれはネジを拾いあげて手近な空き缶入れに放り込んだ。
ネジも鉄製、スチール缶と一緒にリサイクルされるだろう。
チリン――
会社に戻って廊下を歩いていたら、またネジが落ちていた。どこから外れたのやら。
近くのキャビネットや、ドアの蝶番を調べてみたが、脱落してネジ穴だけになっているところはなかった。
ただ、トイレのドアの立てつけが悪くなっている。ドアクローザのネジが外れているのかもしれない。ドアの上部と戸口の上辺をつないでいるアレだ。ここは屋外ではないから、ドアクローザが効かなくなっても突風で急に閉まって指を挟んだりする心配はないだろうが。脚立がないからいまは確認できない。
あとで総務に伝えておこう。
なんかあくびが出てきた。今日の仕事もあと3時間。もうひとがんばりだ。
チリン――
家の玄関にまでネジが落ちている……。どういうことだ?
どこから外れて、どうやって運ばれてきたのかわからないネジやクギを蹴り飛ばしたり、クルマで踏んでパンクさせてしまった経験というのは、当然ながらこれまでおれも幾度となくある。しかし、一日で三度というのは、続きすぎではないだろうか。
うーん……いいや、原因をさぐるのは明日にしよう。パッと見ではわからないところに嵌まっているネジが取れていないか探すとなると、なかなか面倒だ。もう眠いし腰も膝も痛いし、休むのを優先したほうがいい。
チリン――
寝床から起き上がると同時に、ネジが枕元に転がった。
全身の不調がひときわ酷くなる。
このネジは、おれから……
ワタシロボチガウ。ロボトチガウヨ……。




