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冬日愛すべしとは言うが
冬日愛すべしとは言うが、これはあまりにも勝手で悲しいものではないか。
眠りについた青白い肌の小さな親友がどんどん弱っていく様子を診なければいけないなんて、どんなに辛いか解るまい。
彼の彼岸花はどんどんと増えていき、今やこの山を埋め尽くすまでになった。
彼はこんこんと眠り続け、冬の間はもう目覚めることはなかった。
それでも紫翠は毎日弱っていく結香の顔を見に来る。
もしかしたら、起きているかもしれないから。
寂しがりの親友は、紫翠がいないとひどく悲しむことを、知っているから。
消えるその日が近いと知っているから、薬師の子供はずっと側にあり続けるのだ。