2.放浪の果てに
あれから5日が過ぎた。
最初は街中を歩いて露店を見たり、色んな種族を観察したり24時間やっているコンビニみたいなとこや居酒屋を見つけたりと発見があって面白かったのだ。
しかし、慣れてくると面白味もなくなり自分の現状を否応にも無く理解してしまう。
何をしていいかわからない。
2日目にはテカテカになった顔を洗うが髪も皮脂を吸ったせいでカピカピになり不快感があった、服は着替えを持っていたのでシャツを変えた。
お腹も空いたが現代のお金はもちろん使えない、リュックに入っていたおにぎりを食べた。ラップに付いてた一粒も吸って食べたが足りない。
噴水の水を持っていたタンブラーに入れて飲むが、空腹は収まらなかった。ベンチで横になるが寒いし空腹だしでほぼ寝る事はできなかった。
そこからは思いつく限りをした。
荷物を買い取ってくれないかと商人風な人に声をかけるが話にならないと言われ、現代の小銭を試しに露店で渡すが投げ返された。どこかに硬貨は落ちてないかと歩き回り探すか見つからず、近くの女の子グループに笑われて顔を向けると嘲りの表情で避けられた。恥ずかしくて小走りで離れた。
近くに座り込む乞食のおじいさん達が目に入るが、自分はあの人達とは違うとひたすらに歩き回った。
4日目には人手は足りてますかと飲食店に頭を下げに行くが、上から下まで見ると帰ってくれ、足りてると言われ静かに外に出た。
次に優しそうな人にお金がなくてしばらく何も食べてない、ご飯か必ず返すからお金を貸して下さいと声をかけまくったが悪態をつかれるか冷ややかな目で通り過ぎて行った。
5日目は何をしていいかわからず、公園のベンチにいると白の軍服を着た猫耳のイケメンとごついおっさんに周りの人が怖がっている、迷惑だから移動してくれと言われた。
自分の身の上を泣きながら話すが大変だけど頑張れ、必死になってみなよ。帰れるとこがあるなら帰った方が良いと当たり障りない言葉で拒絶され何も考えられなくなった。
リュックを背負い歩き始めると軍服のやつらや野次馬がおれを憐憫の目や奇異の目で何も言わず、只々おれが居なくなるのを見ていた。
何をしていいかわからない、どこに行けばいいかわからない、わからない。わからない。わからない。