目の前の「楽」に瞳が眩む
7.
「おはよぉございまぁす」
ふわふわとした挨拶をする森。
ここは会社。時間は朝の8時。相変わらずコピー機の音と、キーボードの音がうるさい会社だ。
「あ、おはよう森ちゃん」
すでに到着していた高嶺。今日もしっかり会社員をしている。
昨日の姿が大違い。
「あ!森くんに高嶺君じゃないかぁ!いや~君たちがいない間。うちの会社が大変だったよ」
「何かあったんですか?部長」
部長と呼ばれる男。彼は部長。少々灰色の髪の毛が特徴。結構男前でがっしりした体格をしているが、
筋肉質というわけではない。
「まぁなんだ私たちが原因ではなく取引先が......な」
でも呼ぶわけにもいかないだろ?なんていうホワイト企業ぶりを主張しながら部長は頑張っていたと。
「今回から作業が多くなってな、少し大変だが周りのやつも手伝ってやってくれ。」
「わかりました。」
「期待してるよん。じゃな!!!!」
そういって部長お手製の隠し通路に身を隠す。
「ま、がんばりましょう?」
「そ、そうですね」
そういって会社での一日が始まる。
2時間後..............
カタカタカタカタ.......
ピーピー....
静かな部屋に響く作業音。しかし高嶺の仕事は終わりを迎えようとしていた。
「高嶺s......」
(相変わらずはえぇぇぇ.....今日で終わるはずもない量をもう終わらせたとな。私がこのペースで仕事したもんなら夏休みに「よし!宿題やってからあそぶぞ!」とかいって二日後には宿題そっちのけでゲームしてるわ)
雑念に雑念を重ね、変な思考とともに時間だけ進み、仕事は進まない。
「?森ちゃん?手伝おっか?」
「え?いや!?」
(どぉぉぉぉしよぉぉぉぉ!!!!でもそれは私のプライドが....いや!素直に甘えるべきか....くぅ!!!!よし!決めた!)
「お願いします!!!!」
「!?...え、ええ」
(びっくりした。いきなりどうしたのかしら?)
プライドを捨てきった会社員だった。
それからというもののそそくさと仕事を終え、一人ずつお手伝いしていき、午後には終わらせられる
「普段」の量に。これのおかげもあって、みんなのモチベーションが保たれるのであった。
_お昼_
「ほんと高嶺さん調整がうまいわね!」
「そう?」
「ほんとに!みんなの力量を理解してる感じ。」
「たすかるよ」
「午後の量がいつもの残りと同じだから普通の仕事って感じ!!!」
みんながお昼にお礼を言いにここまでくる。悪くなさげにしながらもご飯を食べる。
そんな時。
ドォン!ドン!
入口から黒い影が.....周りからは悲鳴が飛び交う。
その黒い影は口から煙を出しながらこちらへと近寄ってくるのだった。