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ハリボテ会社員と筋肉男

1.

湿気の多い梅雨も終わりを迎えセミが鳴き始めた遅めの夏。

熱すぎる光もカーテンでちょうどよく明るさを保っている。

ピピピピ......

目覚まし時計が意識を現実へと釣り上げた。

寝返りを打ちながらぼさぼさ頭の女性が寝息を立てる。

「んぅ....あとごfnっ」

言いかけたところで目の前にリトルマックの強烈なパンチが飛び出してきたかのような形相で我に返る。

「五分も寝たら遅刻するわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

がばっと布団を投げ、体を90度に起こすとともにスマホを見る。

「6時半....ふぅ、まだ余裕あるわね」

そう言いながらぼさぼさ頭を掻き、お湯を沸かしてテレビをつける。


今日は全国的に曇り空でしょう....


コーヒーを片手にリモコンを持つ女性。寝癖を直しながら独り言をつぶやく。

「晴れてるんだよなぁ.....」

ため息交じりにスーツに着替える。

「あっ!これ持って帰ってきちゃったか、」

テーブルに「高嶺叶子」と印刷された札が置いてある。

それをカバンにしまうと、鏡で自分の姿を見つめ身だしなみを整える。

「いよしっ!がんばろう!」

そう言って家を出て行ったのである。


―株式会社もちもちぱんだ―

叶子の勤務先である。何をしているかは不明。目的も不明、。

カタカタカタカタ........

ピーーーー....

コピー機の音やパソコンの音が鳴り響く。

カタカタカタカタ........

ピーーーー....

カタカタカタカタ........

ピーーーー....

「おい叶子」

後ろから大柄な男が呼びかける。

「なに?松田、今忙しいんだけど」

松田と呼ばれる男性。名札には松田久人と書かれている。

「おい。いいのか?そんなこと言って、威張ってられるのも今のうちだぞ」

フッと言いながら肩に手を置いてくる。

「うるさいわねこの筋肉バカ!仕事の邪魔だからあんたはあっちで筋肉破壊衝動に追われてればいいわ」

「な、なんだと!てかなんだよ筋肉破壊衝動っていみわかんねえよ!!」

「うるさいって言ってんのが聞こえないの?あ、耳も筋肉だからかたすぎて人の声が響かないのね。かわいそうかわいそう」

「いっとけいっとけ、あライムで画像送っとくわ腰ぬかすなよ?じゃあなハハハハハ」

そういって松田は出て行った。

「ほんっとに騒がしいわ。ねぇ?森ちゃん?」

「あっはいそ、そうですね、あははは....」

見ていた。森彩音もりあやねは見ていた。とても情熱的な目で松田を!

_お昼_

ピロリん♪

「あ、ライムだ。」

叶子はライムの画像ファイルを開く。

「ガハァ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

「なんだこれは!最高難易度は鬼を超えるのような難しさ!それを60周しないと手に入らないというガイアの限定コスチュームだと!?ちなみにガイアは私がやっているゲーム「テラシカルオンライン」の押しキャラでねぜ60周かというとこのゲームの製作者の恩師が60歳になったからという理由で理不尽に難易度を爆上げされたこのクエストを松田がクリアしているだとぉぉぉぉぉぉぉ!!!誰もが諦め、誰もがSNSサイト”ひとくち”で嘆き、公式アカウントを荒らしまくって垢BANを食らうものが後を絶えないのに!私と通話してるときはそんな素振り一切見せていなかったつまりこれは.....課金!?」

この間僅か10分。十分すぎるほど長い。

「己,,,許さんぞ、マツダァ....」

「今日手伝ってもーらお♪」

そういうと再び仕事に戻るのであった。









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