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夢の中  作者: 星凪 怜
8/12

出逢い②

『お帰りなさいませ』

ベルボーイの笑顔がまぶしい。


生まれて初めての帝国ホテル。

私には縁の無い場所だと思っていたけれど、こうもあっさり来れるなんて…

なんて、幸せに浸ってる場合じゃない!

私は、見ず知らずの男性に拉致されたんだった!


『何か飲みますか?』

『いえ。私は帰りますから』

『そうですか。では、明日、ランチをおごらせて下さい。

ここを出られないので、ここのレストランになるけど…』


…出られない?

理解できない言葉もあったけれど、まあ…日中のランチくらいならいいかな?

帝国ホテルだし。


私は、彼に拉致された事より、帝国ホテルでのランチにひかれてしまった。


『わかりました。じゃあ、明日、お昼に来ます』

『待ってますから』

彼は軽く手を振った。

私は頭を下げて、また、駅に向かって歩き始めた。


私…どうしたんだろう?

今までは、ナンパとかは全部無視してきたし、初めて会った男性と食事なんてした事なんて全く無い。


コンサートのせいかな?

イケメンを見て、気持ちにスキが出来たのかな?

てか…ホテルから出られない…って?何?


自分の気持ちに疑問を持ちながらも、帰りの電車に乗った。



次の日は日曜日。

日曜日で良かったな~

平日なら断っていたかもしれないから。


日曜日、白地に黄色の花柄のワンピースを選んだ。

ブランド物じゃないけれど、一目惚れして買ったワンピース。


電車に乗っている間、彼の顔を思い出していた。

でも、あまり思い出せない。

私は直視出来なかったし、彼も、目を伏せていたから。

もしかして、彼は真面目なのかな?


ホテルについた。

また、ベルボーイが笑顔で迎えてくれる。

…が、ここで大事な事を思い出した。

名前を聞いてない!

待ち合わせ出来ない。


キョロキョロとうろたえていると、ホテルの女性スタッフさんが声をかけてきた。

『どうかされましたか?』

『あの…レストランでランチの予定なんですけど、相手の方の名前を聞くのを忘れてしまって…』

『わかりました。では、こちらにかけてお待ち下さい。コンシェルジュに聞いてまいります』

『ありがとうございます』

恥ずかしいな~

そう思っていると、女性スタッフさんが戻ってきた。

『確認出来ました。昨夜、当ホテルまで、お客様を送ってきて下さった方ですよね。

外見を聞いておりました。

お客様は、もう少ししたらいらっしゃいます。

コーヒーか紅茶、どちらになさいますか?』

『あ、紅茶をお願いします』


目を伏せていても見ていたんだ。

なんか…ツッコミ所満載かも…

ププッと思い出し笑いしてしまった。


紅茶を飲み終えた頃

『待たせちゃったね』

後ろから声をかけられた。

『あ、いえ…』

振り返ると…

そこには、昨夜のコンサートのピアニストが立っていた。


『え~っ?』

思いがけず大きな声が出て、慌てて、両手で口を押さえた。

声が出ない。


昨夜、何故、気がつかなかったんだろう?

昼間、近くで見ると、心臓が止まるくらいに美形。

中性的なのかな?

もう…目を見て話せないよ…


ホテルのスタッフさんが、レストランのドアを開けてくれた。

見回すと、窓辺のテーブルが予約されていた。


テーブルに飾ってある花が綺麗。


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