休職の延長
明日から復職という日は、朝から絶不調で、布団から出られなかった。
『ちょっと…どうしよう…』
頭が真っ白になってしまった。
このままでは明日からの復職は不可能。
診察日じゃないけれど、医師と話をしなければ…
そう思って、午前中の受け付け時間ギリギリに病院に行った。
『どうしましたか?』
受け付けのお姉さんが聞いた。
『あの…予約の日じゃないんですけれど、明日から復職なのに、すごく調子が悪くて』
そう言うと、お姉さんは奥に行き、看護師をつれてきた。
『あら?どうしたの?』
看護師は、顔馴染みの看護師さんだった。
『すごく調子が悪くて…明日から復職なのに…』
泣きそうに話す。
『分かったわ。予約外だから、ちょっと待っていてくれる?でも、どうしても待てないなら言ってね』
『はい』
私は、待合室の椅子に座り、軽く目を閉じた。
肩で息をしているのがわかる。
意識も飛びそうになる。
どのくらい経ったのかわからないけれど、ようやく呼ばれた。
『どうしましたか?体調が悪いようですね』
私の顔を見て、医師は言った。
『明日から復職なのに…』
涙が出てきた。
『もう…私…ダメです…』
ますます涙が出てくる。
『気象の気圧の変化と、パニック障がいの症状が出ていますね。
休職を延長しましょう。今から診断書を書きますね』
休職は、また三ヶ月延長された。
『今日は注射して帰りなさい。
来週、診察が入っていますね。
もし来られない時は連絡下さいね。日にちをずらしましょう』
医師の言葉を聞きながら、私の頭の中では、休職の延長の喜びと、クビになるかもしれないという不安が交互にきていた。
帰宅して、上司に電話をいれた。
『すみません。体調が悪くて、明日から行けそうにありません。
診断書を持っていきたいのですが、すぐには持っていけないので、一旦、ファックスします。
そうして、体調をみて、改めて持っていきます』
『来れないの?』
『はい。また三ヶ月延長されました』
『三ヶ月?一応、会社の規則もあるから。何ヵ月までは休める。とかあるから、調べて連絡するから』
『わかりました』
私はこのまま廃人になってしまうんだろうか?
ソファーに横になっていたら、また眠ってしまった。
次の日の午後、本社の事務のお姉さんから電話があった。
『大丈夫ですか?』
『はい。生きてます』
『本来なら、パワハラで労災なんだけど…』
言葉を濁す事務のお姉さん。
『ごめんね。労災になると、色々面倒だから』
『分かります』
『でね、休職の事なんだけど、一年までは休めるの。でもね、その後、休職になったら自主退社してもらう事になるの。
知ってる?☆☆さん』
『はい。リウマチで休んでいて辞めた人ですよね』
『そう。一年休んでも治らなくて…』
『そうだったんですね』
『私は…貴女に辞めてほしくないの。
仕事は出来るし、新人も任せられるし。
でも、私は何も権限が無いから、貴女の上司にアドバイスをするしか出来ない。
ごめんね』
『いえ。そう思ってくれる人がいるだけでありがたいです』
本当に嬉しい言葉だった。
『最長一年だから、気にしないで、ゆっくり休んでね。
今月中に、傷病手当ての書類を郵送するわ。
その時はよろしくね。元気でね』
事務のお姉さんは、いつもの明るい声で、電話を切った。
また三ヶ月…今度こそ、ちゃんと治そう。
治らなくても、症状は落ち着けよう。
窓から夕日が見える。
皆、まだ働いてるんだよな。




