上司と面談
あと半月程で休職が終わるという頃、私は、休職の延長か、時短勤務からのスタートかで悩んでいた。
医師は
『可能であれば、時短勤務からスタートして下さい。復職初日からフルタイムでは、キツいと思います。ちゃんと会社と話し合って下さいね』
と言ってくれた。
これを聞いて、真っ先に私の頭に浮かんだのは
『そんな事より、休職延長を交渉してみよう』
でした。
休職期限の一週間前に、上司から電話があった。
『どう?来れそう?』
『なんとか…。来週、診察なので…』
『そう』
上司…どう思ってるんだろう?
迷惑な部下だよなあ…
休職中の最後の診察日の後に、上司に連絡を入れた。
電話ではなく、会って、ちゃんと病状や原因、今後の事を話そうと思ったから。
昼に電話を入れたら
『じゃあ、皆が退社した7時頃に来て』
と。
時間通りに、会社に行く。
上司は、デスクでパソコンに向かっていた。
『すみませんでした』
頭を下げる。
『で、どうなの?』
上司は、パソコンを閉じて顔を上げた。
『薬が減るまでは、フルタイムではなく、時短勤務…パートでお願いします。
先生に言われたので…
あと、体調は、良い時と悪い時があります。
復職=治った。ではないし、月に一度か二度、診察になります』
『原因って何なの?』
…一瞬、ためらった。
でも、言うチャンスは今しかない。
『〇〇さんと●●さんの、必要以上なプライベートへの干渉です。
それと…上司の私的なストレスをぶつけないで下さい。〇〇さんに対してのイライラも、私にぶつけますよね。それって、けっこう辛いです』
自分の事を言われると思っていなかったのか、上司は目を丸くして、私を見つめた。
『俺も人間だから、イライラするし…』
上司が呟いた。
『それは理解できます。でも、部下にストレスをあてるのは、論外です』
ここから、私は自分の事を話した。
『本社で、チームリーダーを任された時、私の部下は、社内でたらい回しを受けた子達でした。
私は、ほめて、認めて育てました。
だから、今、彼女達は、どの部署に行っても、出来る人材になりました。
上司に、同じ事は求めません。
私とは価値観が違いますから。
でも、本当に、ストレスだけはぶつけないで下さい』
私は、クビになりかけた子達を、仕事の出来る人に育てたプライドがある。
『…分かった…』
上司は、そう言って下を向いた。
帰りの車の中、私は久しぶりに、好きなロックを聞いて運転した。
休職の延長…言い忘れたなあ…
ま、いいか。
いつまで働けるか分からないし…
医師も何も言わなかったし。
復職まで4日。




