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夢の中  作者: 星凪 怜
11/12

入院

友達とコーヒー屋さんに行ってから半月が過ぎた頃、また台風が発生した。

『え~。またぁ?』

自分の体調に不安を感じる。


そうして、その感じは的中…と言うより、思ってもいなかった不調になった。


台風は明日の午後に近づくらしい。

朝から雨。

少し体がダルいけれど、とりあえず動ける。


夜になって雨が強くなってきた。

気持ちがザワザワして眠れないので、睡眠導入剤を飲む。

深夜3時頃に目が覚めた。

雨は強くなっている。

ふと

『この雨の中、車で海に突っ込んだら死ねるかな?』

と思いが浮かび、同時に、自分の考えにハッとした。

そうして、また怖い考えが浮かんでくる。

『この部屋に火をつけようか』

『飛び降りたら痛いよな…』

自分の中の、別の自分が、狂ったように笑っている。

死を望んでいる、もう一人の狂気な自分。

まるで死神。


『思っても、死ぬ勇気…無いんだよ…』

つぶやくと、真っ赤なオーラに包まれた、もう一人の自分は、私を睨み付けて、また誘う。

『薬…全部飲んでみたら?』

『首を吊ったら逝けるよ』

また狂ったように笑う。

私は

『痛いのも苦しいのも嫌。戻ってこられないのも嫌』

強く言うと、もう一人の自分は、スッと消えた。



次の診察日に、この話をした。

『入院…しますか?』

『入院?』

『本気で死ぬとは思いませんが、万が一という心配もありますからね』


もう一人の自分のせいだ。

いや、もう一人の自分じゃなく、自分の気持ちなんだ。


私は、入院の準備のために、一旦部屋に戻り、友達にラインを入れた。

そうして病院に戻り、入院した。

日数は未定。

もしかしたら、休職中、ずっと入院になるかもしれない。と言われた。


コンサート…行けないかもな。

外出許可…出るかなあ?


病室は4人部屋。

昼間だけど、皆、寝ている。

『昼夜逆転の患者さんもいるから、もし不都合があったら言ってね。部屋を変えるから』

背の高い看護師さんが言った。

『はい』

私は、窓際のベッド。

病院の駐車場と、ショッピングモールが見える。遠くには高速道路が見える。

東側だから、夕焼けは見られないけれど、朝焼けを見ることができる。

夜には、高速道路を走る、車のライトが見える。


『なんかホテルみたい』


夜に、窓のカーテンを閉めるときに、自分の所だけ、少し開けておいた。

ベッドに横になったまま、橋や高速道路を通る車のライトを眺める。

頭の中には、中島みゆきさんの曲が流れている。


入院初日は、ゆっくり眠れた。

深夜に、誰かの足音を聞いた気がするけど…その人が、昼夜逆転の人かな?


入院3日目。初めての日曜日。

友達がお見舞いに来てくれた。

『大丈夫?』

『なんとかね』

『一階のスタバに行く?』

『部屋を出ていいの?』

『看護師さんに言ってく』

私達は、一階のスタバに入った。

スタバの外には、いくつかのテーブルがあり、病院じゃない雰囲気を出している。


同じ階のレストランは、オーガニックレストランらしい。


『こんなスタバに入ったのは初めて』

『私も。診察日は、自販機で買ってたから』


そこで、友達に、もう一人の自分の話をした。

『ヤバくない?』

『うん。気圧のせいで、自律神経ボロボロだよ』

『ゆっくり休むんだよ。スタバ代、おごるから』

友達は笑顔で言った。

『ありがとう』


温かいコーヒーが美味しい。


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