友達
またイケメンの夢を見た。
レストランで食事している夢。
『ヤバいな~。一生眠っていたい』
友達にラインしたら
『夢でしょ~。アニメのキャラを好きになるのと一緒~笑』
と、笑われてしまった。
レストランの夢を見てから、夢の中の彼に相応しい女性になろうと思った。
夢の中の彼。現実にはいないけれど、もしかしたら会えるかもしれない。
そう考えたら、気持ちが明るくなった。
毎日、家にいるから、ホームウェアという名のパジャマを着て、髪はボサボサ。
顔はスッピン。
これを変えよう。
オシャレをする必要は無いけれど、いつでも出掛けられる服装。
髪を整えて、軽くメイク。
部屋には、クラシックを流してみる。
疲労感が酷くて、出来ない日もあるけれど…
通院日、いつもと違う私を見た医師は
『明るくなりましたね。体調がいいのかな?』
と言った。
私は、夢の話をした。
『超イケメンの夢ばかり見ます』
医師は苦笑しながら
『眠りが浅いのかな?眠剤を増やしますか?』
『いえ。散歩とかして運動してみます』
『無理しないで下さいね』
『はい』
眠剤を増やされたら、夢を見られなくなってしまう。
私は、夢の中の彼が気になる。
恋…とは、まだ言えないけれど。
『台風が近づいています』
テレビの天気予報が言っている。
朝から体が動かない。
吐き気、頭痛、めまい…体調不良が全力で襲ってきた。
『何?これ?気圧?死にそう…』
ベッドから出られない。
『台風が来て、気圧が落ち着いたら治るかなあ』
そんな事を考えながら、ベッドで何度も寝返りをうつ。
トイレに行くついでに、水筒に水を入れる。
枕元に置いて、水分だけでも補給しなければ。
午後から微熱。
次の日も起き上がれなかった。
台風は直撃しなかったものの、台風が通りすぎるまで3日半、ベッド生活を強いられた。
『生きてる?ラインが無かったから、どうしてるかと思って』
友達からラインが来た。
『死んでた』
そう返すと
『夢は見た?』
興味津々な友達の顔が浮かぶ。
『見なかった。それどころじゃなかったもん』
『そうか~残念』
『私より、夢を心配してるでしょ』
『えっ?何言ってるかわからないんですけど笑』
怒った顔のスタンプを送ったら
『てへっ』っというスタンプが送られてきた。
そうして
『もう少し元気になったら、コーヒーを飲みにでも行こうよ』と。
『うん。ありがとう』
友達っていいなあ。
休職は4ヶ月目に入った。
友達に誘われて、久しぶりに病院以外の場所にやってきた。
郊外の小さなコーヒー屋さん。
『なんかいいお店』
そう言うと
『でしょ!先月オープンしたんだよ』
『時々来たいね』
『うんうん』
コーヒーを飲みながら、話が弾む。
『あ、そう言えばさあ…』
そう言いながら、友達は、バッグからチケットを出した。
『みゆき、クラシックコンサート好きでしょ。先輩が行けなくなって、もらったんだけど、私は苦手だから、行ってくれない?一枚しかないけど』
『体調次第かな?』
『一応あげる。持っていても、私は絶対に行かないと思うし』
『ありがとう』
『あ、感想聞かせてね。先輩からもらったから、一応、感想を言わないとダメじゃんね』
『うん』
私は苦笑しながら返事をする。
チケットには‘櫻井佳樹クラシックコンサート‘と印刷されている。
櫻井佳樹?知らない人だな。
でも、気分転換になるかな?
体調が良かったら行ってみようっと。




