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夢の中  作者: 星凪 怜
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ウツ

『死にたい』

『消えたい』

ここ数日、そればかり考えている。

原因は、職場の人間関係。

どこの職場にもある、人間関係の悩み。


 お局様に毎日、あからさまにバカにされたり、嫌みを言われると、鈍感な私でも傷つく。

上司に相談したら

「人間関係はどこにでもある。あの人は、あーゆう人だから」

と。


 自分で解決するしかない。

心理学を学んだり、カウンセリングを受けてみた。

そこで『相手を許す。受け入れる』を知った。


 次の日から、それを実行してみた。

一週間……何も変わらない。

一ヶ月……何も変わらない。

一年……何も変わらない。


 私の何が悪いの?


 そうしているうちに、ミスが増え、眠れなくなり、感情のコントロールが出来なくなってきた。


 発達障がいの息子さんのお母さんが、同僚にいるんだけど、彼女が

「心療内科に行ってみたら? もしかしたら、ウツかもしれない」と。


 私がウツ?

お喋りで、うるさいと言われる私が?

ウツって、何も出来ないんでしょ。

今の私は動けてるし……


 心療内科には行かなかった。


 でも……その日はやって来た。


 私は、車道に飛び出してしまった。

数日前からの『死にたい。消えたい』という気持ちをかかえたまま……


 幸い、車は右折しようとしていて、スピードが落ちていた。

私は、かすり傷で済んだ。


 車を運転していた若い女性は、人身事故をおこした事で、ぶるぶると、震えていた。


 誰かが、パトカーと救急車を呼んだらしい。

音が近づいてくる。


 警察官は、女性に話を聞き始めた。

救急隊員に促されて、救急車に乗り込む直線、私は警察官に叫んだ。

「あの人は悪くない! 私が飛び出したの! 許してあげて!」


 警察官と女性が、目を丸くして、私を見た。

女性は、私に頭を下げた。


 私のせいで、人身事故を起こしてしまった女性。

少しは助けてあげたい。


 私は、検査入院という形で、心療内科に来てしまった。

そこで、脳波を調べ、カウンセリングをした結果

『ウツ』と診断。

同僚の言った通りだった。


 三ヶ月の休職の診断が下った。

入院は一週間。

後は、週に一回の通院と注射。


 上司に報告したら、私の怪我が酷くて休職だと思っていたらしい。

「ウツ」と言ったら

「復職しても働けるの? ウツは治らないって聞くし」と上司。


「分かりません」……それしか言えなかった。


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