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鮮血の蛇  作者: 桜氷
プロローグ
7/27

1時限目を終えすぐさま隼人は教室から出て屋上に来ていた。空間移動で一瞬にして屋上に来たため生徒は誰もおらず...居ない筈が、


「....何してんのティスさん」

「監視ですね。貴方放置しておくとすぐ姿を晦ますので」


手の込んだ監視だなおい...。一瞬で消えたはずなのになんてついて来れてんの?しかもなんで経歴もしっかり俺の妹してんだよ....もう逃げ場がねぇ....。てかなんでよりによって妹なんだよ...。お前俺より年上じゃん...。いや実年齢知らんけども。てか此奴何処住むの?俺の家マンションだけどそこまで広い家じゃねぇぞ?


「住む場所とかどうなってんの?」

「貴方の部屋は既に無くなり新しく一軒家を立てました。今日からそこが貴方と私の家です」

「チェンジって出来ます?」

「決定事項なので諦めなさい」


既に俺の住所変更に荷物も家に移動済み、全て先に手を回された...。昨日あの後何もないと思ったらこんなことしてやがったのかよ。しかも俺に気付かれずに全て行うなんてこれ個人で出来るレベルじゃねぇだろ。他の4人も参加しやがったな。


「住所は?」

「今日一緒に帰宅する際お伝えします」


逃がさない気だ...。ストーカーだった此奴がついにヤンデレ妹に進化したかぁ。いや今の所デレ1回も無かったけど。


「てかなんで妹なんだ?」

「貴方妹好きでしょう?貴方の部屋に妹物のゲームがたくさんありました」


え?俺の部屋にそんな妹物のゲームあったか?


「もしかして幼い子が表に書いてある奴か?」

「はい、それを加味した結果双子や姉よりも妹の方が良いと5人で決まりました」


それ妹じゃねぇ!!!!デフォルメされた普通の女の子だ!!!!思いっきり勘違いしてやがる。てか俺前世で妹いたけど普通だったぞ。もしかしてそれも加味されてるのか?履歴作る際妹が居た事も忘れない様に妹も事故死として設定したんだけどそれ見られた!?。


「別に俺妹好きなわけじゃないからな?」

「そうですか、ですがもう変更できませんので諦めてください」


ですよねぇ...。俺のいない所で俺の事が決まっていくな。もう諦めた方が楽かもしれないなこれは。そろそろ戻るか...。てか此奴一体どうやって俺について来たんだ?なんか気づいたら真後ろいたけど。まぁいいか、もっかいやってみれば分かる事だろう。



 隼人は何もない場所に歩き出しそのままその場から消えた。すると雪菜もその真後ろに付いて来ていた。他の生徒達のいる場所に堂々と空間移動するが生徒や先生は一切反応しない。

 此奴まじかぁ....。俺が空間繋いだ瞬間に割り込んできやがった。俺が権能使う瞬間を狙って付いて来たのか。俺の空間移動はゲート繋いで飛ぶタイプと瞬間移動で移動する2パターンが基本だが安全性と周囲への配慮を考えゲートタイプで飛んでるのを利用されたなぁ。瞬間移動だとその場に急に現れるから怪しすぎるんだがこれ巻くためには瞬間移動必須か...。何とも面倒くさい。


隼人と雪菜はそのまま教室に入り最初からいましたかのように席について教科書とノートを用意し始める。そして授業が始まり特に必要もない知識を頭に叩き込む。だがその間ですら隼人は視線を感じており授業中という事もありその視線を切ることが出来ない。

 全然集中できない。後ろの方の席に彼奴が居るせいか視線がずっとこっち向いてる。一瞬でも逃さないつもりかよ。本当一瞬でも隙を作ってくれたらいなくなれる自信あるのにな。もしかして俺がどれくらいで消えるとかの情報も出てるのか?だとするともはや逃げ道が一切ない事になるんだけど。一か八か飛ぶか?距離でいえば彼奴の席から3mちょっとだ。コンマ1秒あれば正直十分。流石の彼奴でも授業中に変な行動は出来まい。いや、これから先同じ家学校で過ごすのに此処で逃げたらマジで刺されるじゃね?これ完全に逃げ道ふさがれてね?。下手なことするとマジで洒落にならんかも...。


「大人しくしとくか...」

『それが賢明でしょう』


あ、ついに幻聴聞こえ始めたわ...。末期だなこりゃ。






やばい...何もできないまま気づいたら昼休みかよ...。食欲とかねぇよ。ちょっと疲れたしこのまま少し寝よ。変な行動さえ起こさなければ特に何もしてこないってことはこの数時間で分かったし。





「やっほー!」

「隼人、飯一緒に食おうぜ~ん?誰?」

「初めまして、私は雪菜と言います。これの妹です」


雪菜は机で突っ伏していた隼人を指さした。これと紹介された隼人は微動だにしておらず、机に突っ伏し寝息を立てていた。


「お二人はこれの友達の矢月春樹さんと中崎由梨さんですね」

「「は、はい」」


突然現れた隼人の妹と名乗る少女に二人は困惑した。


「(なぁ、隼人に妹いるって話聞いた事あるか?)」

「(聞いた事ないね。と言うか隼人君が家族の話してる所見た事ないよ)」


兄妹にしては隼人と雪菜は全く似ておらず隼人自身からも兄妹がいるという話を聞いたこともない二人は最終手段をとることにした。春樹は隼人に近づき寝ている隼人を揺する。深い眠りについていた隼人は春樹のゆさぶりでは全く起きる気配がない。


「そんなものではこれは起きませんよ」


そういって雪菜隼人の髪の毛をつかみ机から離すと今度は机が壊れない程度の力で机に顔をたたきつける。見た目的には痛そうな雰囲気でたたきつけられた隼人だったら本人はケロッとした顔で起きた。一連の動きを見ていた二人はドン引きしていた。やった本人である雪菜は表情一つ変えておらず叩きつけられた隼人は何が起こったのか理解していなかった。


「なんだ春と中崎さんか...。おはよ」

「え?今のでなんともないのか!?」

「思いっきり机にたたきつけられてたけど...」

「机にたたきつけられる?」


隼人はよく分からなかったが隣に雪菜が立っていたため雪菜が自分に何かしたのだろうと思った。ただ管理者になってから痛みに恐ろしく鈍くなった隼人にはいまいち何をされたのか分からなかった。

 机にたたきつけられたのか?二人が結構引いているところを見るに結構な勢いでやられたのかな。学校のそれも教室内でなら刃物を刺されるみたいなことはないと思って油断してたな。てか俺の空間センサー軽く抜けてきたのか。一切反応なかったぞ。


「二人が引いてるんだがお前俺に何した?」

「普通に貴方を起こしただけですが?」

「二人の反応で分かる。絶対普通じゃないだろ...」


らちが明かないなこれは。ちょっと過去を見てみるか...。えーっと俺が起きる20秒前くらいでいいか。

 隼人は自分が起きる20秒前の映像を脳内で鑑賞した。髪の毛をつかまれ机にたたきつけられる一部始終を確認した隼人は再度雪菜の方を見た。

 澄ました顔でえぐいことするなこいつ。普通人の顔面机にたたきつけるかよ。そして俺もなんでこんな勢いでたたきつけられて普通に起きてんだ?俺そんなに頑丈だったっけ。

 それはそうと、さっさと二人を戻した方がよさそうだな。このままだと放心状態で昼休みが終わる。

 隼人は机から立ち上がり二人の方を揺すって現実に引き戻した。現実に戻った二人は叩きつけられた隼人を心配するがそれを隼人が問題ないとしてその場を収め机をつなげ始める。その流れに当たり前のように雪菜も乗り、気づけば隼人の隣に雪菜、正面に春樹と由梨になっていた。そして弁当を食べ始めるといつもの調子を取り戻してきたのか由梨は雪菜に質問を飛ばしそれに対して雪菜は一切の迷いもなく答える。

 そこで漸く隼人は1つの疑問に気付いた。それは雪菜が転校生として紹介されたにもかかわらず雪菜に誰も近づいているところを見た事が無いという事だった。隼人の知っている限り転校生、それもクラスメイトの兄妹それに+して雪菜の容姿は人気者の由梨に負けず劣らずである。

 

 おかしい。なんで此奴クラスの話題にすら上がらないんだ?本来であれば話題の1つに上がっていてもおかしくない筈の此奴が何食わぬ顔で俺の近くに居座っているのだ。俺の予想では此奴の権能はありとあらゆるものがよく見える瞳だったんだがもしかして違うのか?ファンタジー小説でよくある魔眼、神眼って感じなのかな。目を合わせた者、それとも目に映った者を惑わすとか?それくらい出来そうだよなぁ。管理者って結構ぶっ壊れの集まりだろうし。俺みたいなのがゴロゴロいると考えるべきだ。なら見た奴を殺すとかそんな能力あってもおかしくない。


「それにしても隼人に妹が居たなんて知らなかったぞ」

「そうか?まぁ俺自身会うの久し振りだけど」


最初に出会ったのはもうすでに何兆年以上前だし。昨日俺の空間探知を逆探知するために本来の姿になって初めて俺気づけたくらい久しぶりだった。マジであの時は殺されるかと思ったなぁ。


「一緒に住んでたわけじゃないのか?」

「俺ずっと一人暮らしだぞ。連絡も取ってなかったし」

「じゃあこれから久しぶりに一緒に暮らすのか」

「そうなるな」


久し振りっていうか初めてだけどな。相手は知らんが俺側は彼奴の事殆ど知らないし。てか興味もない。同居と言う名の監視が無ければ一生同じ家で暮らす事なんて無かっただろうけどな。その同居も俺のいない間に強制的に行われてるみたいだし。ゲームや小説でのドキドキ妹イベントも彼奴とじゃ全く萌えないし、学校でも期待できない。変な挙動は全て死刑が付いてきそうな雰囲気だしな。今の瞬間にも空間移動しようものなら箸刺されそうだし。てか服の中にアイスピックがあるのが確認できたしな。今は隣同士距離でいえば30㎝もないだろうからいくら急いでも空間移動する瞬間に横腹に穴が開くだろう。


「そういえばさ、世界の軌跡で漸く上位種族になれたんだ」

「もう来週にはサービス終わるのにまだやってたのか...」

「それがな?掲示板でリークがあったんだ。新作ゲームに世界の軌跡のデータを使うと特典があるって」

「へぇ。なら春はその新作ゲームの為に育ててんのか」


情報リークねぇ?一体誰がやったのやら。昨日の時点で情報を俺が伝えたのは隣のこいつだけだしそれ以外で情報を知ってるのは制作陣くらいだろう。管理者が漏らす事はまずないだろうしなぁ。だって足がついたら異物が何するか分かったものじゃないだろうし、下手に深い情報出して対策されても困るだろうしな。そうなると考えられるのは制作陣だな。大方サービス終了でプレイヤーが減りまくって進化の軌跡までつなげれないって事になったんだろう。そこで新作の情報を小出しして餌にしたってところかな。


「二人も世界の軌跡一緒にやろうよ!新作出た時有利になるし!」


女子二人の会話が終わったのか隼人と春樹の会話に由梨も入ってきた。


「でもサービス終わるんだろ?今から始めるのはなぁ」

「私は構いませんよ。どうせ帰宅後は特にする事がありませんから」

「雪ちゃんの了承は得たよ!」


え?此奴マジで世界の軌跡やんの?てかゲームの中まで俺監視されんの?俺の唯一の癒しまで邪魔するとかマジですか。俺そろそろ泣いちゃうよ?。それに俺ソロプレイ専門で今やってるからPTとか怠いんだけど。それに俺ガチでやり過ぎて1アカウントで作れる5キャラ全部かなりの高レベルで最高位の種族に進化してんだよなぁ。そんなアカウントで一緒にプレイしたら絶対引かれるわ。


「いいじゃないですか、貴方既にプレイしているのですから」

「なんだよ、やってんなら昨日教えてくれればよかったのに」

「やってるって言ってもちょっとかじる程度だしなぁ」

『齧ってる程度の人がランキングに乗りますか普通』


隼人の脳内にはっきりと聞こえた声は雪菜の物でありその声は他の二人には聞こえていなかったのか反応が無い。隼人は声を発した雪菜の方を軽く見るが雪菜は隼人の方を見る事すらなく弁当を食べ終え片付けを始めていた。

 此奴まじでなんなの!?テレパシーとか怖すぎんだけど。てかお前なんで俺がランキング載ってんの知ってんだよ。ログイン時にIDとPWを自動入力とかの機能を一切使わず記録にも残らない様にしてんのに。此奴の権能がマジで見えねぇ。瞳の権能じゃないのか?やっぱ管理者の能力怖すぎんよ。





結局隼人は一人に脅され二人に押し切られ一緒に世界の軌跡をプレイする事になるのだった。


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