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鮮血の蛇  作者: 桜氷
プロローグ
5/27



俺がこの世界に来てから約3ヶ月の時が経過した。5人からの追跡を逃れつつなんだかんだ学生生活を満喫しています。そして他の管理者が俺と同じ時代に凝れた理由が漸くわかった。結構驚いたんだけど俺が死んだのが史実では今から数日前なんだけど調べたら俺が死んだ日が3月28日になっていた。調べた時に俺の墓が既にあった時はマジで驚いたよ。そのお蔭?で俺は自分の墓に花を手向けるという珍妙な体験が出来た。しっかり骨も埋まっててマジで死んだんだなぁって実感した。ただ、思っていた以上に自分の墓を掃除してお参りするのって何も感じないんだな。確かに俺だったはずなのに他人のようにしか思えなかった。

 そして俺が死んで魂だけ?の状態になって空間区切って籠ってたのは知ってたけどその空間俺が作った世界同様に時間が加速していたらしい。過去を選択したつもりだったけど実際は元の時間に戻っただけだった。まぁ特に困る事も無いしいいんだけど。


「隼人、飯一緒に食おうぜー」


同じクラスの笑顔の青年が隼人に声をかけた。隼人はその声の主に手を上げて返事をかえす。


「春か、中崎さんはどうしたんだ?」


彼の名は矢月春樹、俺の高校で初めて出来た友達だ。そしてこの春と基本セットでいるのが中崎由梨さんである。二人とも美男美女でありクラスでも人気がある。春樹はまだ付き合いの短い俺から見てもいい奴であり先生達からも評価がいい。中崎さんはまぁ一言でいえば男子生徒の人気が圧倒的に高い、それは圧倒的に。聞く限りではファンクラブすら存在するとか?。お淑やかと言う感じではなく元気一杯のアイドル的な存在だ。まぁ俺は興味は無いけど。


「由梨なら友達と告白の手紙貰って屋上だ」


春樹が隼人の隣の席の主から席を借りて隼人の席とくっ付けた。


「人気だなぁ。中崎さんは」


高校生活最初の夏休みになるから男どもは必死なのか?まともに高校生活を楽しむ前に死んでしまった今の俺には理解できないな。てか俺男なのか女なのかはっきりしない存在になってからそういう感情消え去ってるしなぁ。


「答えはいつも通りなのか?」

「だろうなぁ。溜息吐きながら行ってたし」

「大変だなぁ、いっその事春が付き合えば良いのに」

「俺にそんな感情は今の所ないかなぁ」


春樹と中崎さんは幼稚園からの付き合いらしく所謂幼馴染って言うやつだ。男女の幼馴染で仲がいいとか一体どこのギャルゲーかと思った実例が目の前にあったので認めるしかなかった。俺なんて前世ではゲーム廃人で学校の友達すらいなかったのに....。その後管理者になっても一人の世界でゲームして何年も過ごしていたし。おっとこれ以上はやめよう精神衛生上宜しくない。


「俺ならあんな幼馴染いたら付き合うけどなぁ」

「もうどっちかと言うと妹みたいな存在だからなぁ....」

「俺には理解できんな」


その後中崎由梨が来るまで二人は微妙な空気のまま弁当を食べていた。そう、来るまでは。


「やっほー!春~」


謎の元気な状態で教室に入ってくる。元気すぎて苦笑いになるほどに。


「由梨来たか」


春樹は元気な由梨を見て春樹も笑顔である。そのまま由梨は春樹と隼人が居る席まで来てお弁当を広げる。


「中崎さん今日も元気だね」

「あ、隼人君!」


元気のいい由梨は春樹に諌められお弁当を食べ始めた。3人の会話には一切告白に関する物は無い。それは二人とも結果を知っているからだ。

 と言うか中崎さん春の事が好きだし返事なんて決まってるよな。最初2人を見た時仲がいい幼馴染程度だったけど二人の情報読んだ時は驚いた。ちょっと色々見ちゃったけどまぁ...うん。攻略本を見るとは俺もゲーマーとして落ちた物だと思うけど現実をゲームみたいにプレイできるほど俺に度胸は無かった...。二人を思いっきり疑い全て調べてしまいました。

 結構前からちょこちょこアタックしているみたいだが春は全然気づいていないのを知った時中崎さんに同情した。


「そういえば隼人君はゲームとかってするの?」

「するよ」


唐突にゲーム話題を振られた事に違和感を覚えつつも隼人は答えた。春と中崎は隼人がゲームをするイメージが無かったのか以外とでもいいたげな表情を隼人に向けた。

 なんだ?俺そんなゲームしてるイメージないか?これでもゲームのやり過ぎで死んだくらいにはゲーム好きだぞ?最近発売されたゲームも買ってるしすでにいくつかの作品はクリアまで行った。オンラインゲームする為にこの世界来たのに結局オフラインゲームしてるけど...。


「全然イメージ無かったよ...」

「ゲームセンターに誘っても全然来ないしな」 

「あー俺家でゆっくり遊びたい派だからな」


出来れば数万年くらい時間をかけてじっくりプレイしていたい。てかゲームセンターなんてあんな騒がしい所俺好きじゃないし。

 

「てか、それを言うなら二人だってゲームするイメージあんまりないと思うぞ」

「「そう(か)?」」

「全然話聞かないし、スマホで遊んでるのも見た事が無い」

「確かにそう言われるとそうだな。俺等ネットゲームばっかりだし」

「ゲーム内で結婚したよねー!」

「変な噂が立つから大きな声でいうな」


気づけ春、多分今のアピールだぞ。凄い物ありげな視線向けてたし。まぁ俺は他人だし余計な事はするつもりないけど心の中でくらいは応援してるぞ。


「へぇどんなネットゲームやってるんだ?」

「世界の軌跡ってやつ」

「あーあのもうすぐサービス終了するってニュースでやってた...」

「うん。でも勿体ないよねぇ折角面白いのに1年で終わるなんて」


世界の軌跡。今からほぼ1年くらい前にサービス開始されたMMORPGだ。レベル上限なし、職業なし、ステータス無しでスキルはプレイヤー次第っていうかなり自由度の高いゲームだ。そして最大の売りは何とこのゲーム種族が馬鹿みたいに存在している。俺が確認できただけでも400種。上位種やら変異種、異形種等の種類に始まり混合種なんかもある。ただ、このゲーム少し変わっているのが1つのサーバーに登録できるアカウントは1つだけなのだ。理由は知っているがここでは割愛。そして1アカウントで制作できるキャラは5体まで。俺もプレイしているが最初のキャラクターだけではたどり着けないサブ専用の種族もあるしキャラ1と2を融合させて作る種もある為かなりやり込まなければいけない。

 そしてこのゲーム面白いのがNPCのAIが少し特殊なのだ。とはいえそこまで変な事はなくNPCの周りで迷惑行為を行うとNPCの対応が悪くなる程度だ。

 

 そんなまだまだこれからだと思われたこのゲームの突然のサービス終了。それなりにニュースにもなった。まぁ俺はサービス終わるの知ってたけどね。てかこのゲームがまだデモ作な事も知ってた。このゲーム今年の7月に正式版が発売されるのだ。情報公開は確か今月の終わり頃。


 このゲームになぜそれほど詳しいのかと言えば俺はこのゲームをマークしているからだ。理由はこのゲーム次世代機の完全没入型VR機で発売されるのだ。それを聞いたらゲーマーとしてマークしない訳にもいかない。

 まぁそれだけじゃないけどね。ただゲームするだけだったらそこまで調べない。俺プレイして探すのが好きなタイプだから裏情報まで権能使って調べたりはしない。そんな俺が調べた理由はこのゲームの中に異物が存在しているからだ。そう、異物が裏ボスを務めているゲーム、それが世界の軌跡なのだ。但し、調べた結果PCゲームである今の世界の軌跡の中にはいない。居るのはVR版の世界の軌跡。正式版では進化の軌跡らしいけど。その中の裏ボスとして存在しているらしい。そんな訳で異物捜索を兼ねてPC版をプレイしていた。勿論ゲームを楽しむ心は忘れていなかったけど。

 流石に何もせずゲーム楽しんでるだけだと俺他の管理者にボコボコにされるからね。流石にちょっとくらい働いてたよ。お金貰えなくなると困るし。

 

「隼人どうしたんだ?そんなぼーっとして」

「早く食べないと休み時間終わるよ?」

「あ、すまん。少し考え事してた」


隼人は急いで弁当を片付け始める。だがそんな隼人の探知に怪しい行動を起こす者が引っかかった。反応したのは般若のような顔した女性である。それを見て隼人は苦笑いを浮かべる。そして食べきっていない弁当を置きしまい始めた。


「全部食べないのか?」

「今日あんまり腹減って無くてな」


やばい...。どうしよう。てかマジか...。あれ元の姿じゃねぇか...。俺を探す為に能力全開にしやがった。てかあのずっと電話かけて来てた女何処かで声聞いた事あると思ったら俺を管理者に誘った奴じゃん...。

 権能で空間を除き見ているのに気付いたのか女性はスマホを下し首をぐるっとまげて隼人が居る学校の教室の方を見た。流石の隼人も権能を逆探知されるとは思わなかったのか急に首だけ自分の方を見たに驚き椅子から転げ落ちた。


「だ、大丈夫か隼人!?」

「隼人君保健室いく?」


二人が心配し声をかけるが恐怖に支配された隼人には届かなかった。

 いやいやいやいや!怖えーよ。なにあの動きトラウマになりそうなんだけど。目が病んでる奴だったぞ。しかも何あれ権能で覗いてたのに本体である俺の方向向くって。しかもなんで今すっごい笑顔なんだよ....。逆に怖いんだけど。絶対顔見られた。流石に能力全開相手じゃ逃げ切れんぞ...しかも今学校でこの後授業あるし。校門前見張られたら逃げようがねぇ。それになんでアイスピックなんて危ない物バックに入れてんだ。


「俺死んだかも...」

「マジで大丈夫か!隼人!」


春に揺さぶられ隼人は現実に戻ってきた。だがその手にまだプルプルと震えており顔は青くなっている。明らかに体調の悪そうな隼人を見て二人は心配していた。保健室に連れて行こうとする二人を隼人自身意味の分からない子供の駄々のような言い訳で断った。だがその姿は誰が見ても無理をしているようにしか見えない。

 この状況で一人にされるとかマジで怖いわ。それこそきつい。個室入ったらまず確実に接触してくるだろう。保健室の仕切りの中に入った瞬間現れても何らおかしくない。早退なんてしようものなら確実に帰り道に立っているだろう。人通りのないトイレですら怪しい。確実に誰かいる場所で複数の目がある所でなければ確実にやられる。あのアイスピックの使い道が分からないけどまずまともな使い方じゃないのは確かだ。それに複数の気配が何時もは邪魔だと思っていたが今はそれが心地いい。ただ、今まさに接近中の異常な気配がそれを一瞬で消し去ってるんだけど。





「あ、やっぱり無...」


頑張って耐えていた隼人だったが近づいてくる余りの威圧的な気配に精神が限界を迎えて意識を手放してしまった。




 その後軽い騒ぎになるがそれを気絶した隼人が知る由もなかった。














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