創造
女性が去った後ミカエルは早速人生を作ろうと思いアプリを立ち上げた。
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エラー:自宅が設定さていません
設定を終えてから再度お試しください
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へ?自宅設定?なにそれ。そんなアプリあったっけ?此処が自宅じゃダメなのか?困った時はなんだっけ?ヘルプ?あ、そんなんなかったわ。あ、そうだ!早速掲示板使えばいいのか。名前設定?ゲーマーでいいだろ。えーっと質問してもいいですかっと。うわ!一瞬でえぐいはず反応した。怖っ!。ただこれが管理者の体か...。今の一瞬に流れたチャット全部理解できた。一々全部に反応するのは面倒だし適当に挨拶しておこう。真名はなんか教えたくないからそのままゲーマーで通そう。いつ生まれたとか良く知らないし適当についさっきで、好きな物はゲーム?能力は秘密にしておこう。使ってとか言われても時間と空間の能力まだ使ってるって実感ないから使いこなせないだろうし。
おお...挨拶したらまた恐ろしい速度で流れた。てか真名さらしてるやつ多くね?俺の真名をまじでゲーマーだと勘違いしてるやつすらいるぞ....。てか物欲が強い奴少なくね?好きな事が栽培とか鍛冶とか釣りとか結構普通な奴が多い。あ、そうか欲は自分の世界で完結するのか...。そりゃそうだよなぁ。自分の世界でなら何でもできるし欲深い奴が居てもそっち行くよなぁ。俺も多分そのタイプだろうし。ゲーム、アニメ漫画小説これを全部手に入れて自分の部屋でやりたい。あ、忘れてた自宅設定だ自宅設定。えーっと自宅設定について教えてくださいと。てか返し鬼早ぇ。だがようやく理解した。自宅設定とは即ち自分の世界設定らしい。つまり自分の世界を作るとそこが自宅になる。俺は世界創造ってのを誤解してたみたいだな。俺の創造した世界は丸っこい奴だが別に丸じゃなくてもいいらしい。形状を家にしてもいいし神殿にしてもいい。農業、漁業をする為に畑や海を作ってもいいと。で、そこが自分の作った世界なら自宅設定が出来て晴れて人生が作れるらしい。
後自分の姿が気に入らなかった時の為の対処法も教えてもらった。それは人生設定で自分の新しい姿を作ってそれをコピーして今の自分に重ねるという物らしい。なんか人生設定を終えると新しくその項目が追加され変更できるようになるとか。ただしその設定はかなりの制約がつくそうで身体能力と権能、俺なら時間と空間を操る能力が半減するらしい。だから仕事の際は解除するのが常識だとか。だが実際の姿が化物の管理者は無理をしてその姿で行く者もいるらしい。俺もこれを聞いて基本はその姿で真の姿は権能の効果次第で決めようと思っている。真の姿を隠して生活して危なくなったら覚醒するっての格好良いしな!。
さて、取りあえず姿の事は後にして早速自室を作る事にしよう。えーっとアプリから世界創造を選んでっと。大きさは前世の自室くらいでいいかな?あ、でもこれから先大量のお宝が部屋にあふれるわけだから倉庫が必要だな。なら屋敷にするか。昔作ったギルドハウスをそのまま。ただ自室が広すぎるから8畳くらいにしてと。他は全部倉庫だな。ゲーム部屋と本部屋と気分的にお風呂入りたいから浴室っと。最初はこれくらいでいいかな?後々足していけばいいし。という事で適用っと。
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"名無しの世界"
管理者名:ミカエル・L・カーディル
規模:極小
生物:0種
西暦0年
入場制限:すべて拒否
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おーこんなもんか。なんか一発で出来たなぁ。早速行ってみるか。アプリから世界に入れるんだったよなぁ。
ミカエルの視界が切り替わり、そこには先ほど創造したミカエルからすればゲーム内で見慣れた屋敷が存在していた。ミカエルは足場にある草を触ってみると感触や匂いがありそれが本物であると理解できた。
「スゲー.....マジで屋敷作っちゃったよ」
なんか俺が考えてたのより3倍くらいデカいけど出来たしいいか。えーっと玄関はこっちだったかなぁ。庭広いなぁ。薔薇園に湖に軽い森林にあと何があったっけ?あ、そうだ戦闘練習場もあったな。うわぁ懐かしい。良くデウスと一緒に戦ったなぁ。それでアインや卵焼きさんに怒られたっけなぁ。ポーション無駄にするなとか激レアアイテムを遊びで使うなとか。皆今頃何してるかなぁ....。
「あ、もう死んでるか...。あの女の話だと既に何万年も前に俺死んだっぽいし。流石に生きてないよなぁ」
結構あのグループ楽しかったから悲しいな。俺一応過去に飛べるけどあの頃の俺として彼奴等と関係は作れないだろうなぁ。俺は皆の色んな事を知ってるのに皆は俺の事を何も知らないってなぁ。人生設定で弄れるだろうけど勝手に作った記憶なんて罪悪感半端ない。
「はぁ...考えるだけ無駄だな。俺らしくもないし」
ミカエルは懐かしい景色を眺めつつも屋敷に入った。屋敷内部は酷く小ざっぱりしており家具と呼べるものが無かった。近くにある扉を開けても嘗てギルドメンバーの個人部屋はただの箱となっており過去の面影は無かった。何もない部屋を眺めていても何も変わらないともいミカエルは自室を再現した部屋に向かった。
自分だけの世界と言えば聞こえはいいがその世界に誰も存在しなければ悲しいだけだな。草を撫でる風の音すら聞こえない。本当に模倣しただけの狭い世界だ。俺一人で過ごすには広すぎるし眺めていると過去を思い出して辛い。これは作り直そう...。ただ、削除するにはこの世界は美しいと思ってしまったから新しく作り直そう。
広さなんていらない。8畳あれば十分。そこに机、椅子、本棚、ベッド、ディスプレイ、PCがあればいいや。あ、あと隣にお風呂と倉庫。これで決定と。
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"ミカエルの世界"
管理者名:ミカエル・L・カーディル
規模:極小
生物:0種
西暦0年(時間停止)
入場制限:すべて拒否
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これでいい。この世界は時間が進まない世界。俺のお宝以外増える事も減る事も無い世界。時間の止まったひきこもりの世界だ。
俺はこの世界で暮らす。ここを自宅に設定と。これでやっと人生設定が出来るようになる。選ぶ世界は勿論俺が前世過ごした世界。似たパラレルワールドが幾つかあったが俺の記憶を頼りに何とか見つけ出した。俺の見た目は前世とほぼ同じにしておこう。これで俺は前世を忘れない。何百年何千年経とうとも残り続ける俺が男だったという証拠だ。俺の覚えている限りの設定を付けておこう。但し肝心な所は変えて置く。生まれた家、生まれる場所を変える事で俺が前の家族に会う事は無いだろう。俺が行こうとしている時代は俺が生きていた時代だしこれくらいはしておかなくては。
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申請データ
名前:時雨隼人
性別:男
歳:15歳
期間:4932年4月1日~5000年3月21
残り期間:68年
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こんなもんでいいかな。俺は設定で孤児にして一人暮らしの学生ってところに落ち着いた。15歳なのは俺が死んだのが15歳だったからである。正直ちょっと高校生活を楽しんでみたいだけ。孤児にしたのは俺がぼろを出さない為と知らない人間と一緒に暮らすのに俺が抵抗あるからだ。名前は前世のまま、見た目もほぼ同じ、ただ孤児。設定上は既に両親は死亡しており孤独な少年ってところだな。ただ金はあるしあの時代結構高校生で一人暮らしって珍しくもなかったしな。そして期間、これはまぁ俺がその世界での人生寿命だな。俺はキリがいいのかどうかは怪しいが5000年の3月21日に死ぬという設定だ。普通の管理者は歳と何日存在するかの設定だけっぽいけど俺は時間の権能のお蔭で何時から何時までの設定も出来る。俺が32年を選んだ理由は俺が死んだのが32年だからであり俺の人生を再スタートさせたような物だ。取りあえずあの時代のゲームや漫画を片付けなければ話は始まらないからな!
「申請っと」
ミカエルがタッチすると次の瞬間には承認されていた。
うわ...マジで一瞬じゃねぇか。一瞬過ぎて理解できなかったわ。
ま、いいか!早速行ってゲーム買ってこよっと。
ミカエル・L・カーディルと言う存在が誕生して一体どれだけの年月が経過しただろう...。
ミカエルの世界は他の世界の何億倍もの速度で進んでおりこの世界で何億年が経過しても外の世界では数秒しか経っていないような状態なのだ。これは唯一時間と空間を操る事の出来るミカエルだからこその芸当でありそれを行うためにミカエル自身時間と空間の権能を深く理解し自由自在に操るすべを編み出した。
「これで全巻読破した。やっぱりこの漫画何周しても面白い」
既に自身が作った少女の姿にも慣れ2000年は元の姿に戻っていなかった。部屋には大量の雑誌や漫画ゲームが散乱し殆ど足場が無い状態でその中心にぽつんと一畳だけ空いた場所でミカエルは生活している。お金が無駄にあるミカエルは人間時代出来なかった使う用と観賞用と保存用を揃え観賞用の専用美術館を作って時間止め永久保存版とした。そして保存用も倉庫の時間を止め劣化しない様になっている。正直時間を止めれば観賞用と保存用の意味が無いのではないかとミカエル自身思ったが数百年もすればそれが自身の常識へと変化した。世界毎のゲームを保存し干渉しプレイする。これが現在のミカエルの生活である。嘗て睡眠不足による過労で死んだミカエルだったが現在は人間の三大欲求と呼ばれる物は全て消え失せただひたすら趣味に没頭していた。
そんな生活を続けていれば友達等出来るはずもなく自身の世界に引き籠ってから誰とも会っていなかった。
まぁ誰とも合わないも何もこの世界から出れば外ではミカエルと言う存在が生まれて数日だしなぁ。俺が過去に飛んでる時に時間が経過するだけでそれ以外だとどの世界よりも時間経過が早いせいで他の管理者とも時間の感覚が違う。外の世界での1秒で俺は数億歳になる。既に俺が何歳なのか分からない。まぁそんな物確認する機能存在しないから仕方ないんだろうけどさ。他の管理者は自分の歳とかって覚えてんのかな?少なくとも俺は1300歳まではボッチ誕生日を行った記憶がある。ただその辺りから歳を数えるの面倒になって気づいたら過ぎる事が増えた。
「そろそろオフラインゲームも飽きて来たしオンラインゲームするために時雨隼人になろうかね」
幾つものゲーム機とソフトを買ってデバックの如く全てを遊びつくしてきたが流石にもうプレイするゲームが無い。この世界の時間を一度他の世界と同じに戻して新しいゲームの時代まで待つべきだろう。没入型VR機器が出てくるのを予想してありとあらゆる武器や戦い方も学んだし様々な狩猟ゲームでモンスターの体のつくりを理解しその形状から一体どんな攻撃が来るかまで練習した。その為だけに魔物を世界に作りだして実際に戦ったし生産面も1から独学だが練習した。完璧とは全く言えないがそれでも中の下くらいは出来ると思う。ただ料理だけは壊滅的だったので数年で諦めた。
「おお...目線が高い」
ここ最近ずっと少女姿だったせいかな?違和感がある。まぁこれも数日すればなれるしいいか。とりあえずこの世界の時間の経過速度を1倍に戻してと。
それじゃあ高校生活を始めるとしようか!