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夢世界で受験勉強!!  作者: モノクロヨク
2/11

1限目 (異)国語

 あー腰いてえ 机に向かってばかりだと腰痛になるからね


 え、俺? 勉強するとき大体寝転んでる


 「あー、やっと終わったーーーーーー。」


 俺は背筋を伸ばし、大きく欠伸をする。


 「やっと、って言っても板書してただけだろ?」


 そう返してきたのは俺の目の前の席の男、啓二けいじ。あだ名はデカだ。

 名前もそうだが、生真面目で真っ直ぐな性格で学級委員までやっていて、おまけにガタイもいいから本当に警察みたいとつけられたあだ名。先生までこの名で呼ぶのはどうかと思っている。


 ちらっと彼のノートを見る。そこには赤ペンやら蛍光ペンやらで走り書きされた多くの文字や線があった。


 多すぎて、まるで塗り絵ではないか。


 「逆に板書以外の事をやってのけるお前がすげーよ。何ですかお前のその右手に持っている大きなペンは。虹でも書いてたんでしょうか?」


 「んなわけあるか。要点を絞って書いてたんだよバーロー。」


 せやかて〇藤、と言わせんばかりの返し。駄目だコイツは、俺の理解できるレベルを超えてるぞ。

 何その右手にあるやつ。12色のペン?美味しいの?


 「それはそれはご苦労様でございます。引き続き頑張ってください。えーと、次は国語か。デカ、俺寝るからお前という名の城壁で俺を隠しておいてくれよ。」


 「・・・。お前、国語って言ったって、真面目に受けろよ・・・。テストには日本語を書けなんて問題は出てこねーぞ?下一段活用とか言えんのか?」


 「え、え、える、える、エロ、エロ、エロ。」


 「駄目だコイツ。」


 あきれてデカは授業の準備をして席を離れる。トイレにでも行くのだろう。


 ちなみに下一段活用は未然形、連用形が、『え』、終止形と連体形が、『える』。後は授業中に大声ではしゃぎまくるやつのせいでガチで忘れてしまった。

 ま、テスト前にちょっと教科書見て確認すればいいや。


 そして俺は換気のために、授業中、まぶしいからという理由で閉ざされてしまったカーテンと、窓を開ける。

 空には雲一つない澄み切った空とそれを照らす春の日差し。

 嗚呼、全身になんでも優しく包み込んでくれそうな温かな光が注ぎ、睡眠欲がそそられる。

 

 というわけで寝よう。うん、俺は悪くない。俺を寝ざるを得ない状況に追いやった太陽アイツが悪い。


 心の中で誰にも聞かれることのない言い訳をし、目をつむる。


 照り付ける陽は春の温かさとともに、俺の意識を夢の世界へと飛ばした。






―――――――――――――――――


 「・・・は!?ふぁ!?」


 俺は目を覚ます・・・というか夢の世界で意識を取り戻す。


 目の前に広がるのは虹色の空間。例えるならば道具のない四次元ポケ〇トの中。

 足場のないその空間で俺はひたすら落下していた。


 「っー!!あ、そうだ!!ここ明晰夢じゃん!!」


 今いる空間はさっきの夢の続きとでもいうのだろうか。


 「ええーと・・・何か飛べるもの・・・。」


 俺は飛ぶものを考え真っ先に頭の中で空飛ぶ絨毯を思い浮かべる。

 その瞬間、足元には緑の絹に金色の横糸の入った絨毯が現れる。


 あ、そういえば俺昨日千夜一夜物語呼んだん(ry


 スタッ


 華麗に絨毯の上に飛び乗る。いや~、明晰夢って便利っすね。


 「それにしても・・・どこだ?ココ。」


 自分で放った言葉にデジャヴを感じる。

 そういえば今朝(HR後)もよくわからない夢の世界にいたな俺。


 あたりを見回す。広がるのは虹色のカラフル・・・というよりは明るい絵の具を適当に混ぜた後、色がまとまる前のパレットだな。壁とか天井がグニャグニャしてて酔いそうになる。


 と、その時だった。


 「Excuse me... are you sure?」


 突然後ろから声がするので振り返る。


 そこには銀色の綺麗な長い髪と透き通った白い肌を持った碧眼の少女が立っていた・・・じゃなくて、背中にじゃなくて白い翼を生やし、宙に浮いていた。


 「おっふ・・・。え?」


 突然の事に俺は目を疑う。何やら危ない言葉がつい、口から出てしまった気もするが今は気にしてる場合ではない。


 俺の目の前にいるのは天使だろうか?いつの間にか俺死んだのか?

 

 なんにせよ、俺は目の前で見ている光景に夢でも見てるのではと混乱する。

 あ、夢でも見てるんだったわ。


 って事は、これも夢の一つですねわかります。

 こんな綺麗な少女を目の前にして思春期の少年が何も感じないわけがない。どうせ夢なのだからと俺は真っ直ぐ胸に手を伸ばす。


 ペタ サスサス


 ・・・うん。まな板に触れている感覚。なんか物足りない。もっとこう・・・Dカップくらい・・・。


 そう思いながら何となく俺は少女の顔を見る。


 その時だった。少女は顔を赤面させて右手を振り上げて・・


 ん?右手を振り上げるってまさか・・・


 バチン!!!!!


 左の頬に強烈な平手打ちを食らう。


 ですよねー。まあ、こんな可愛い少女に俺ごときが触れるだけでも天罰が下るのはわかっている。

 しかし、それが美少女のビンタだなんてむしろ、『ありがとうございます!』とお礼を言いたいくらいだ。


「What are you doing suddenly!?」


 「へ?」

 

 間抜けな声が出る。今少女が喋ったのは英語だろうか?オイオイ勘弁してくれよ。英語だなんて『IamSAKURA』ぐらいしか分かんねーぞ?


 てか英語?なんで?


 今まで俺の夢に出てきた奴らはたいていが日本人で日本語を喋っていた。まあ俺が黒髪の純日本人で外人とかかわりを持ったことがほとんどないから当然だろう。

 しかし、目の前にいる少女はどう見ても英語を喋る銀髪美少女。日本人の特徴とは遠く離れている。


 どういう事だ?


 「Are you a Japanese person?]


うわ、また話しかけてきた。えーと、『あーゆー』で聞かれたから『あむ』で答えるんだっけ?

 流石にちょっと会話するくらいならできる(はず)。


 「いえすあいあむ。」


 どうだ、銀髪美少女よ。これがひらがな英語というものだ。テストには出ないが覚えておくといい。

 そういえばさっき英語は『IamSAKURA』ぐらいしか分からないといったな。あれは嘘だ

 

 「エーと・・・。二ホんのカタなンですネ。ボクワ、レいン・・・てイウなまエでス。ヨロしクオネガいしマス。」


 ア、ツウジタンデスネ。と片言の日本語で返すわけにはいかない。まるで日本語出来ないのを煽ってるようではないか。恥ずかしがりながら頑張って喋り、おまけに主語の使い方を間違えて僕っ子だと?俺得すぎる。私はどれだけの天罰を食らわなければならないんだ。明日にでも宇宙ノ〇ギリで切り刻まれるのではなかろうか?あ、でもそれだと復活してもらえるな。


 そんなことより、私は紳士だ。流暢なひらがな英語で神対応してやる。


 「まよねーずぃずひなた・ひいらぎ。ないすてゅーみーてゅー。」


 ドヤ?英語喋れるわし?惚れたやろ?なんか途中調味料の名前が出てきた気もしないが。


 「・・・Mayonnaiseワヒナタ?」


 あ、マヨネーズのとこだけ綺麗に発音しやがった。外来語だけ早くしゃべるだなんてまるでALTの教師ではないか。

 ていうかやっぱりマヨネーズって聞こえてましたよね。英語の発音をしっかり習うべきっだったね俺。


 ていうかこれ、夢だよな?

 じゃあわざわざ英語に合わせなくてもお互いの言語切り替え出来るんじゃね?


 というわけで頭の中で銀髪美少女・・・じゃなくてレインが日本語を喋り、俺は英語を喋るイメージをする。これでいいはずだ。


 よし、挨拶をしよう。


 「こんにちは。」


 「コンニチワ。」


 はい、出来てませんねお疲れ様です。

 やべー、どうしよう。こんなこと初めてだぞ?明晰夢って自分の思うようになるんじゃなかったけ?あれ、ココ現実?まさか俺一人で茶番してますか?


 と考えていると、何か咀嚼音がする。何の音だと思い、レインのほうを見る。


 ・・・なんか食ってる。


 ゴクリ


 レインののど元が動く。食べ終えたのだろう。てかめちゃ綺麗な首筋してんな。もし私が首絞めに興奮してしまうようなメンヘラになったらどうしてくれるんですか。


 「これで、しっかりと話せますね。」


 「!?純日本語!!!!」


 いや、何だよその単語。自分の発した言葉に思わず突っ込んでしまった。それにしても私、国語すらできてないではないか。今国語の時間だったはずだし、起きて授業受けるべきか?


 「・・・?通じてますか?」


 「あ、はい!・・ていうか何で急にちゃんとした日本語が話せてるんですか?」


 「日本のギャグ漫画に出てくるこんにゃくを食べました。えーと確か名前は、ほん・・・。」


 「あ、わかりました。ありがとうございます。」


 分かる人にはわかってしまうのでね。ん?俺?こんにゃくはすこぶる嫌いなので知識なんてゼロに等しいよ。


 「それで、マヨネーズとはいったい・・・?」


 「あ、もう忘れてください。僕のライフがゼロになるんで。そんなことよりも、レインさんは何なんですか?」


 物の名前を尋ねるみたいな口調になってしまったがまあいい。


 「ここは俺の明晰夢の中のはずなんですけど、何故かあなたにはここでの僕の権限的ななにがしが影響しないんですが・・・。」


 「え?ヒナタさんこそ何を言ってるんですか?ここはボクの夢の中だと思うんですけど・・・。」


 エ?


 あ、これラノベ的なやつだ。


 「えーと、じゃあもしかして夢の中で交信してるってこと?」


 「そのようですね。あと・・・。」


 「なんでしょうか?」


 とにかく好感度を上げるためにも紳士的な対応を見せねば・・・


 「何でさっき私の胸に――」


 レインが『胸』というフレーズを放った瞬間、俺は床にひざまずき、深呼吸してから口を開く。(この間0,1秒)


 「本当に申し訳ございませんでしたこの度は私柊日向ひいらぎひなた15歳童貞が貴方様のような誠に美しいルックスを持ってらっしゃる人に指一本触れるなど許されませんよねわかってま(ry」


 これが世界に誇る日本の職人技の一つともいわれている(俺ペディアに書いてあった)DO☆GE☆ZAである。この技は水のように優しく、花のようにはげしい滑舌で誠心誠意の謝罪の気持ちを込めて行う事によってどんな相手に対してでも効果抜群になるのだ。でも幽霊ゴーストには効かないんだって。何のことだか分かんないね!

 

 「あ、そんなボクなんて全然そんな可愛くないから・・・。」


 ふふふ。あせっておるあせっておる。外人の80%は日本人を侍ばかりだと思っている(やっぱり俺ペディアにあった)と聞いたからな。侍の謝罪=切腹のイメージがあるだろう!!さあ、俺に優しい言葉をかけてこの場を丸く収めるのだ!!!


 「ボクも、胸くらいで、怒ってスイマセンでした!!!」


 あ、やべ。土下座しちゃったよこの子。

 まずい非常にまずいぞこの状況は。どうせなら踏んでほしいとまで思っていたのにまさか女の子を土下座させてしまうなんて、男失格だ。嫁に行けないならぬ婿に行けない。


 と思っていた時だった。


 絨毯が消える。


 「「ふぇ?」」


 俺とレインは情けない声を出し、目の前(真下)を見る。そこには白い空間が広がっていた。いや、違う。強烈な光のせいで白く見えるん――――――――


 俺とレインはそのまま重力に逆らえずひたすらに落ちていく。というかそれは重力に引っ張られるというより掃除機に吸い込まれる感覚だ。俺もレインも何とかしてこの窮地を抜けようといろいろとイメージをしてみたがそれは本当にイメージだけで何も変わらなかった。


 俺とレインは―――そのまま意識を失った。















 

 


 

 


 

 



 墾田永年私財法みたいなのってむしろ長いから覚えてるよね

 例)男女雇用機会均等法 小選挙区比例代表並立制 循環型社会形成推進基本方法


 ・・・これで間違いないよな?


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