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AIアリスの旅記録  作者: 龍翠
第四話
36/51

※今回も帰宅が遅れたため、読み直しを全くしていません。

誤字脱字、キャラ名間違いがかなりあるかと思います。

時間ができしだい、修正します。

なお、この文章は修正が終わり次第、削除いたします。

「き、気をつけろ! そいつは魅了の魔法を使うぞ!」


 魅了。相手を自分の虜にさせて、意のままに操る。サキュバスらしい魔法だ。ちなみにこの魔法を受けたプレイヤーは、しばらくの間は自分の体が動かせなくなり、勝手に操られるそうだ。プレイヤーに関しては本当に魅了されるわけではない。

 サキュバスクイーンが右手を前に突き出した。その手に赤い光が集まる。魅了魔法だ、と奥にいる人の誰かが叫ぶ。サキュバスクイーンはその光を、くーちゃんに向けて放った。

 放たれる魅了魔法。誰も避けられず、それはくーちゃんへと届き。

 そして鱗に弾かれて消え失せた。


「…………。うん。分かってた」


 セフィは遠い目で頷いた。レクスとローズはなにが面白いのか腹を抱えて笑っている。

 通用しないと悟ったのだろう、サキュバスクイーンは火球をくーちゃんへと放った。

 迫る火球。ぶち当たるくーちゃん。けれど無傷。

 ならばと鎌を振りかぶるサキュバスクイーン。振り下ろされる凶刃。凶刃にさらされるくーちゃん。そして真っ二つに折れて飛んでいく鎌。


 それならとサキュバスクイーンは牙を伸ばし、くーちゃんに噛みついた。吸血鬼と設定を混ぜてしまっていないだろうか。ちなみに牙は折れた。

 くーちゃんが軽く尻尾を振る。何かよく分からない音を立ててそれはサキュバスクイーンの体を打った。

 吹き飛ぶサキュバス。壁にぶち当たり、轟音が響く。次の瞬間にはサキュバスクイーンは細かい粒子になっていった。


「はは……。うん。まあ、だよね……」


 あのレベル差だ。ボスといえど、こうなることは予想できた。さすがに少し哀れに思ってしまうが、こればかりは仕方がない。

 どうにも気まずい沈黙を破ったのはミカだった。


「お兄ちゃん!」


 ミカがクールの元へと走って行く。クールは戸惑いながらも、その体を受け止めた。


「何がどうなっているのよ……」

「おい、宝はどうなるんだ?」


 クール以外のプレイヤーの声が耳に届く。このゲームは、ダンジョンのボスを倒すと宝物庫の扉が開かれるという仕組みになっている。今回は色々と想定外のことが起きているが、その仕組みに変わりはないらしく、反対側の壁にある大きな扉が開かれていた。きっとあの部屋が宝物庫なのだろう。何人かのプレイヤーがそちらへとちらちらと振り返っていた。


「えっと……。アリス。クール以外の冒険者に用事はないよね?」


 優しげな眼差しでミカを見ているアリスへと聞くと、アリスははっと我に返り、咳払いをした。アリスが頷いたことを確認して、セフィはクールたちの元へと向かう。クールはともかく、他の四人はとばっちりだ。さっさと帰ってもらおう。


「ボスの攻略を邪魔してすみません。私たちは宝は特に必要ないので、あの部屋のものは好きにしてください。ただし、クールさんだけには用事があります」

「そ、そうか? じゃあ遠慮無く……」


 そそくさと、クール以外のプレイヤーが宝物庫へと向かう。その途中、最後に動き始めた女が歩みを止めて、勢いよく振り返ってきた。驚くセフィへと、その女が言う。


「あの、貴方、もしかしてセフィさん? エンチャンターの」

「はい。そうですけど……」

「やっぱり! あの、今度エンチャントをお願いしていいですか!?」

「は、はあ……」


 迷惑をかけてしまっているという自覚はあるので、一度だけなら、という約束でフレンド登録をしておいた。いずれあちらからまた話をしてくるだろう。依頼料はクールに払ってもらうことにする。こちらもクールに迷惑をかけられたのだから。


「さて、少しお話いいですか? クールさん」


 呆然としたままのクールの目の前に、目だけが笑っていない笑顔のアリスが立った。何か感じるものでもあったのか、クールは顔を青ざめさせている。


「その……。分かりました……」


 クールの弱々しい声が、広い部屋に小さく響いた。


   ・・・・・


 あの広い部屋にいると他の人の迷惑になる、というセフィの言葉に従い、アリスたちはダンジョンの入口まで戻っていた。ここならば、誰かが来てもすぐにダンジョンに入るだろうからそれほど問題はないそうだ。

 今この部屋にいるのはアリスとセフィ、クルーゼ、ミカ、そしてその兄のクールのみだ。ロゼとローズ、レクスの三人は、先に始まりの街に戻っている。


 アリスの目の前では、セフィが大きな布を取り出し、広げていた。座る場所の確保だそうだ。広げ終わるのを待ってから、アリスは大きな布の隅に座った。その隣にセフィ、逆隣にはミカが座る。ミカはクルーゼを抱いてご満悦だ。撫でられたり、頬ずりされたりと、クルーゼはされるがままになっている。


「はい、ご褒美」


 ミカが、去り際のローズから渡されたクッキーをクルーゼに差し出した。すぐにそれを受け取り、かりかりとかじり始める。見ていてとても微笑ましい。ちなみにこのクッキーはあの喫茶店で購入していたものだそうだ。

 さて、とアリスは正面に視線を移した。クールが優しく目を細めながらミカを見ている。アリスが咳払いをすると、はっとしたように我に返り、姿勢を正した。


「自己紹介をしおきます。私はアリスで、街に物や連絡を運ぶ仕事をしています」

「私も必要かな? セフィ。エンチャンター。今回はまあ、アリスの付き添いみたいな感じかな」

「これはご丁寧に……。クールです。そっちのミカという子の兄です」

「知っています」

「あ、はい」


 自分でも声が冷たくなっていることは自覚しているが、それでも止めるつもりはない。アリスはじっとクールを見据えて、言う。


「私がここに来たのは、始まりの街で泣いているミカちゃんを見つけたためです。かわいそうに、心細そうになりながらお兄ちゃんを探していました」

「あー……。そうなのか……」

「そうなのか?」


 アリスの目が細められる。だがアリスは一度咳払いをすると、話を続ける。


「ここに来たのはクールさんがここにいるとギルドの方から聞いたためですね。お兄ちゃんを探して、ここまで来たということです。私はてっきり、お兄ちゃんもミカちゃんを探して街にいると思っていたんですけどね」

「あー……。それは……。最初は探していたんだけど、途中でダンジョンに誘われて……。まあそのうち諦めてログアウトするか、と……」

「それで放置した、と?」

「う……。そうなります……」


壁|w・)さきゅばすなんていなかった。

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