1/12
序章
僕は不思議な能力を持っている。
人呼んで『人間GPS』。
下手なカーナビゲーションシステムより精度は上だと思うけど、今時のスマホがあれば要らないかも知れない。
まぁその程度の能力だ。
でも、日常ではあまり役に立たないかも知れないけれど、そうじゃない時だってきっとある。
今だって僕は、自分がどこに向かっているのか感覚的に識る事が出来る。
だから地図さえあれば、どこに行っても迷う事はない。
だから彼女がいれば、どこに行っても迷ったりしない。
たぶん。
──きっと。