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暗い部屋
高橋君という地味な主人公の周りに個性のある仲間が高橋君の存在感を圧倒的に消していきます。
身内で自分をキャラ化して遊んでいたものを字で書き起こしたものです。
あの子。落ちた果実を踏みにじった。
その子。瞳の残照、消えかけの。
あの子が笑う声は安定せず。
その子が泣く声は音にならず。
あの子の白く透き通る柔らかなその肌に、つぶされた果実の果汁。
その子の白く透き通る柔らかな肌を、ぬらす滞りないもの。
時が止まったようだった。
酷く長く感じる短な間をぬけて。
その子はドアに手をかけた。
憂鬱で億劫で愉快で不思議な何かがあの子を放心させていた。
外から照らす街灯が照らしたあの子の周りは赤かった。