表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一人の子供が使える魔法  作者: 黒飴につめ
第一章 子供の身内
4/7

第二話*出会い

アデュール・ニア・アヅリラ視点

 ――カリュツ王国騎士団副隊長兼第二小隊隊長

 5月の爽やかな風の中、俺――アデュール・ニア・アヅリラは馬を走らせていた。そのすぐ後ろには王国の第二皇太子でありながら、騎士団団長を務めるギドゥヴィ・カリュツ・セクトと、その部下たちが続く。

 これは何の行列かと言うと、西で発生した魔物の討伐からの凱旋だ。今日着くのは王都の隣にある商業都市、デストル。門番はこの行列を見るや、歓声をあげながら門を開放してくれた。




 門をくぐるとあちこちに活気にあふれる市場が開かれていた。途中の店や建物の窓から嬉しそうな笑顔がこちらを見ているのが感じられ、俺は少し戸惑う。

 俺の髪と瞳は真っ黒だ。闇属性を表す、黒。数少ない闇属性の中で、闇属性だけを持つ者は更に少ないらしい。その希少性や不吉な色も相まって、子供の頃からよく怖がられていた。

 しかし、鎧と兜を装着している姿では町人たちにはそのことが分からない。むしろ凱旋してきた騎士達の先頭を走っているのもあって、歓声と視線をもろに浴びている。それがなんだか慣れなくて、むず痒いように感じられるのだ。



 広場に近づくにつれ、だんだん歓声が大きくなっていく。

 人数も多くなってきた道を通りすぎ、広場の入口に着いた。すると物見やぐらにいた男が大声で「王子殿下がご到着なさったぞおーーー!!!」と叫んだ。

 それに応じて広場の中にいた人々が雄叫びをあげる。

 うわ、地響きのようだ。

 大きな声を受けて無意識に馬を止めてしまった俺の横を、慣れた様子でギドゥヴィが通り越していく。それで我に返った俺は、ギドゥヴィに倣って赤い絨毯の上を歩かせる。

「お前は相変わらず変なやつだな。戦闘では大胆で冷静なのに、何故民の前では硬くなる?」

「常に注目を浴びている貴方と一緒にしないで下さい。大勢に注目されたりするのは苦手なんです。」

 とりあえず、心底愉快そうに囁くギドゥヴィには厭味ったらしく返しておいた。声が引き攣ってたのは……気のせいだ。

 そうこうしているうちに一行は中央の、舞台のようなところについた。


 ギドゥヴィが人々に向かって軽く手をあげると、皆一斉に静まった。――一カ所を除いて。

 何だ? 疑問に思った俺はざわついている方に[探査の魔法]をかける。すると魔法使用者がこちらへすごい勢いで近づいているのが分かった。

「……団長、気をつけて下さい。近づいています。」

 呟くようにギドゥヴィに告げると、彼は僅かに頷いた。

「きゃああああ!」

 悲鳴が聞こえたのを機に、俺は騒がしい方に走り出す。




 人垣から、銀髪の子供が転がり出てきた。


 その子は身を激しく床に打ち付け、少し転がったあと動かなくなった。赤い絨毯の上だと分かりにくいが、服がどんどん血で染まっていくのを見れば、直ぐにどこか怪我をしているのだと分かった。

 俺は駈寄り、息があるかを確認する。無事を確認した彼は手振りで騎士団の医師を呼んだ。

 子供は苦しそうで、どこか不安そうな顔をしていた。



更新が遅くなりました。

てか、結局話があまり進んでない……だと……。


キャラクターの名前設定について。

※アデュール・ニア・アヅリラ…「ニア」は養子を表します。彼は「アヅリラ家の養子のアデュール君」ということになります。

※ギドゥヴィ・カリュツ・セクト…まだ本文には出てませんが、「カリュツ」は家名というより国名です。第二皇太子なので。「セクト」は第二位王権継承者候補的な意味合いを持ってます。

完全に作者の捏造設定です。。


2011/10/27 文章中、大部分改正致しました。申し訳ありません。

2012/1/1 本文一部改正しました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ