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才矢仁「お次は、ワンファック・タイムオブ報道22だ……ククク」

21:59

才矢仁「ニイごっくん!ってことで、ひるポヨ!は、まあ録画だから見逃してやるとして。ま、放送中にFucitterで“スパイシー”な投稿をして反応がもらえたから流れは上々だ。って赤木さん、俺はマスターアウト塾って名のオンラインサロンなんざやってないぜ?そんな”生意気メスガキの剥きたて敏感お豆さんに寄り添う、じっくり熟成小粒チーズの濃厚沼らせフレグランス”レベルに漂う、ひときわスパイシーなネットワークビジネス染みた真似、俺には似つかわしくない。捏造は、イケませんな?勿論、レシピは仰せの通り公開してるが。ん?オンラインワンファックならいけるか?……まあいい、でだ。ここからの時間、なんとまた俺たちが特集されるらしいぜ?ナマで見てやろうじゃないか 」


才矢仁「ってわけで、ここからは我がお供を呼んで、香ばしいTVを見ていこう」


「いでよ!ファントム・アモーレ」


テケちゃん「――ふぁ!?……ふぁ!?」


才矢仁「さあ、ファントム・アモーレ。俺と一緒に、ワンナイト&ワンファックTVの時間を過ごそうではないか。見るだろ?俺の雄姿を」


テケちゃん「う、うん。見る!見る!……でも、ドキドキする、ドキドキする」


才矢仁「ククク……まあ、どうせオールドメディアのいつものやつさ。ポップコーンでも食いながら見ようじゃないか。リスナーのみんなも“とろけるチーズ仕込みのご立派フランクフルト”でも頬張りながら共に視聴しちゃおう。そして11月11日ってわけで、ポッティン&プーティッツでもいいぜ」


テケちゃん「……実に変態、変態」

=====================


【報道22特集】

~SNS配信者"才矢仁"現象を追う 〜若者を惹きつける「ワンファック」とは何か〜


(オープニング映像:都会の夜景、スマホを見る若者たちのシルエット)


大川綾乃( キャスター)「今夜の特集です。SNSで急速に拡散している、ある配信者の活動が、若者の間で大きな反響を呼んでいます。『才矢仁』と名乗るこの人物。その活動内容は過激で、専門家からは『新しい形のカルト』との指摘も出ています。取材しました」


******


【VTR開始】


ナレーション(落ち着いた男性の声)「毎晩23時30分。全国各地で、ある『儀式』が行われている」


(映像:窓を開ける若者たち、暗い部屋でスマホを見つめる姿)


匿名の大学生(20代男性・モザイク処理)「最初は冗談半分だったんですけど……なんか、配信してる時に一緒にやらないと落ち着かなくなって。『ワーンファーック!』って叫ぶと、なんか解放される感じがするんです」


ナレーション「彼らが熱狂するのが、『才矢仁』と名乗る配信者の『ワンファック』という活動だ」


(映像:才矢仁の配信画面のスクリーンショット、一部モザイク処理)


ナレーション「『口裂け女』『テケテケ』といった都市伝説を題材に、独自の『更生プログラム』と称する配信を行う才矢仁。その内容は、性的な表現を多用し、視聴者に『マスターアウト』と呼ばれる理性の解放を促すものだ」


******


【スタジオ】


大川「取材に応じてくれた視聴者の方は『解放される感じ』と話していました。ネット文化に詳しい、メディア研究者の岩田太郎さんです。岩田さん、この『ワンファック』現象、どう見ていますか?」


岩田太郎(メディア研究者)「これは非常に巧妙に設計されたコミュニティ形成手法です。まず『23時30分』という時間を固定することで、参加者に『儀式性』を与える。次に『ワーンファーック』という奇声を叫ばせることで、恥ずかしさを共有し、仲間意識を醸成する。そして『マスターアウト』という概念で、理性を手放すことを正当化する。これは典型的なカルト的手法の応用なんです」


大川「カルト的手法……」


岩田「ええ。特に問題なのは、彼が『都市伝説の更生』という建前を使っていること。実在の人物ではなく架空の存在を相手にすることで、倫理的な批判をかわしつつ、視聴者には『社会貢献している』という錯覚を与えている。非常に計算されています」


******


【VTR再開】


ナレーション「才矢仁は『ワンファック正義論』と題した独自の哲学も展開している」


(映像:才矢仁の配信から抜粋したテキスト)


『飢えた人の前にあんぱんがあったら、どうするか?』

『正義とは、愛と勇気を持って行動することだ』


ナレーション「一見、哲学的な問いかけに見えるが……」


(映像:続くテキスト)


『生意気メスガキにはワンファックでわからせる』


ナレーション「最終的には性的な文脈に回収される。この論理の飛躍が、批判的思考を麻痺させているという指摘もある」


臨床心理士・佐藤花子「これは『思考の誘導』と呼ばれる手法です。最初に真面目な問いを投げかけて、考えさせる。でも答えを出す前に、突然別の文脈にすり替える。この繰り返しで、視聴者は『考えることを諦める』ようになるんです。そこに『マスターアウト=理性を手放せ』というメッセージが刷り込まれる。非常に危険です」


******


【スタジオ】


大川「『考えることを諦める』……それは深刻ですね」


岩田「はい。さらに問題なのは、彼の活動が複数のプラットフォームに分散していることです。『ファックマンズレディオ』というラジオ風の配信、『ファックマンズキッチン』という料理番組風の配信……一つ一つは利用規約ギリギリのラインを狙って作られている。全体として見ると明らかに有害なんですが、個別に規制するのは難しい」


大川「法的な対応は難しいんでしょうか」


岩田「現状では非常に難しいですね。彼は実在の人物を攻撃していないし、視聴者が『ワーンファーック』と叫ぶのも、本人が直接指示しているわけではない。あくまで『視聴者が勝手にやっている』という言い逃れができる構造になっている」


******


【VTR再開】


ナレーション「一方で、才矢仁の活動を支持する声もある」


匿名の女子大生(20代女性・モザイク処理)「私、学校で孤立してて……誰にも相談できなくて。でも才矢仁さんの配信見てたら、『ありのままでいいんだ』って思えたんです。『マスターアウト』って、社会の抑圧から解放されるって意味だと思ってます」


ナレーション「孤立した若者たちが、才矢仁のコミュニティに居場所を見出している実態も浮かび上がってきた」


社会学者・中田次郎教授「現代の若者は、学校や会社で『正しくあること』を強制され続けています。その抑圧に対する反動として、才矢仁のような『反社会的だけどコミュニティがある』存在に惹かれるんです。問題は、その受け皿が健全ではないということです」


******


【スタジオ】


大川「孤立した若者の受け皿になっている、と。でもそれが健全ではない……」


岩田「そうなんです。彼らは才矢仁のコミュニティで『居場所』を得ますが、同時に批判的思考も失っていく。そして『ワンファック』以外の価値観を受け入れられなくなる。これは依存症に近い状態です」


大川「依存症……」


岩田「ええ。特に『23時30分』という時間の固定が巧妙で、生活リズムそのものが才矢仁に支配される。毎晩その時間になると、配信を見ずにはいられなくなる。これは行動依存の典型的なパターンです」


大川「才矢仁本人は、どう主張しているんでしょうか」


岩田「彼のSNSを見ると、『俺は誰も強制していない』『嫌なら見なければいい』という主張を繰り返しています。でも実際には、視聴者の心理を巧みに操作している。無責任としか言いようがありません」


******


【VTR再開】


ナレーション「才矢仁は、次回の配信で『八尺様』という都市伝説を題材にすると予告している。エスカレートする過激な内容に、歯止めはかかるのか――」


(映像:スマホを見つめる若者たちの後ろ姿、夜の街)


******


【スタジオ】


大川「岩田さん、この問題、どう向き合っていくべきでしょうか」


岩田「まず、プラットフォーム側の責任が問われるべきです。個別の配信は規約ギリギリでも、全体として有害なら、アカウント停止すべきです。そして教育現場でのメディアリテラシー教育。『なぜ才矢仁の配信が危険なのか』を、若者自身が理解できるようにする必要があります」


大川「視聴者側の意識も大切だと」


岩田「そうです。才矢仁のような存在は、今後も形を変えて現れるでしょう。一つ一つ規制するのではなく、『なぜこれが問題なのか』を考える力を育てることが、根本的な解決策だと思います」


大川「今夜の特集でした。私たち一人一人が、ネット上の情報とどう向き合うのか、改めて考えさせられます」


******


【エンディング映像:夜の街、スマホの光】


大川ナレーション「孤立と承認。抑圧と解放。ネット社会が抱える矛盾が、『才矢仁』という現象を生み出した。私たちは、この問いにどう答えるのか――」


【報道23 ロゴ、フェードアウト】


******


(提供:九雅美組、KSコーポレーション、クガミ研究薬品)


******


=====================


【才矢仁の部屋にて――報道22視聴中】


=====================


******


【TV画面:大川キャスター「若者を惹きつける『ワンファック』とは何か」】


才矢仁「おっと来た来た。『若者を惹きつける』だと?……ん~~♪その切り口、ひときわスパイシーだな」


テケちゃん「仁が悪者みたい!悪者みたい!」


才矢仁「気にすんなファントム・アモーレ。これがオールドメディアの"切り抜きワンショット"って奴さ」


******


【TV画面:匿名大学生「『ワーンファーック』って叫ぶと解放される感じ」】


才矢仁「ほう、モザイク処理までして……実にテイスティな演出だ。でもな、この子が言ってる『解放』の意味、お前ら全然理解してねぇだろ?」


テケちゃん「どういうこと?どういうこと?」


才矢仁「俺が提唱してんのは『マスターアウト』――己を拘束する世の"理"からの解放だ。それを『カルト的手法』だと?ククク……愚かな。カルトは別の"マスター"に支配し直すもんだ」


テケちゃん「うん、うん」


才矢仁「ククク……まあいい」


******


【TV画面:岩田研究者「23時30分という時間固定で儀式性を与える」】


才矢仁「……やれやれ。『儀式性』だと?あのなぁ岩田とやら、お前、ニュース番組が毎日同じ時間に放送されんのも『儀式性』って批判すんのか?」


テケちゃん「そうだ!そうだ!報道22だって毎日22時じゃん!じゃん!」


才矢仁「格別マーベラスなツッコミだぜファントム・アモーレ。時間を固定するのは、視聴者が"選びやすく"するためだ。強制じゃねぇ。見たい奴が見る、それだけだ」


******


【TV画面:才矢仁の抜粋テキスト「生意気メスガキにはワンファックでわからせる」】


才矢仁「……おいおい、ちょっと待て」


テケちゃん「なに?なに?」


才矢仁「これ、前後の文脈カットしてんじゃねぇか。俺が言ったのは『そういう暴力的発想こそが問題だ』って皮肉だったんだぜ?それをこうやって切り抜いて放送しちまうわけだ……ん~~♪実にテイスティ。偏向報道そのものだな?」


テケちゃん「ダメ、絶対!絶対!」


才矢仁「まあ、こうやって"悪役"を作るのがメディアの一丁目一番地だ。俺もある意味、役者冥利に尽きるってもんだ」


******


【TV画面:臨床心理士「考えることを諦めるようになる」】


才矢仁「……はぁ?」


テケちゃん「はぁ?はぁ?」


才矢仁「『考えることを諦める』だと?逆だ。俺が問いかけてるのは『お前ら、ちゃんと考えてんのか?』ってことだ。飢えた人の前にあんぱんがあったらどうする?――これに唯一の解は無い。でもな、『正解』を求めてる奴らは、考えることを放棄してるわけだ?」


テケちゃん「うーん、そうかも?そうかも!」


才矢仁「まあ、簡単に言やぁ……この心理士のオバさん、俺の配信ちゃんと見てねぇな。切り抜きだけ見て批判してやがるか、テキトーにチェリーピックしてるか」


******


【TV画面:匿名女子大生「ありのままでいいんだって思えた」】


才矢仁「……おっと、この子は分かってるようで、いや、分かってないかもな」


テケちゃん「え?え?」


才矢仁「ま、気にするな。で、見ろよこの後の展開。『問題は受け皿が健全ではない』だと。お前ら、この子の『居場所を見つけた』って言葉、無視すんのか?」


テケちゃん「ひどい!ひどい!」


才矢仁「学校や会社で孤立してる奴に『健全な居場所』を用意できてねぇのは、お前らだ。俺はただ、そういう奴らに『ここにいてもいい』という選択肢を示しているだけだな。配信者視点ってのが、分からないようだ……これがカルトか?違うだろうに」


テケちゃん「違う!違う!」


才矢仁「ま、時にカルトが必要な時だってあるわけだが、な?」


******


【TV画面:岩田研究者「行動依存の典型的なパターン」】


才矢仁「……この岩田ってオッサン、研究者の看板おろした方がいいな」


テケちゃん「おろせ!おろせ!」


才矢仁「『23時30分に配信を見ずにはいられなくなる』?……お前、それ言ったら、毎朝の情報番組見てる主婦も依存症か?毎晩ドラマ見てるサラリーマンも依存症か?」


テケちゃん「そうだよ!そうだよ!」


才矢仁「つーか、俺の配信、アーカイブで後から見れるんだぜ?リアルタイムで見たい奴が見てるだけだ。それを『依存』って」


******


【TV画面:岩田研究者「視聴者の心理を巧みに操作している」】


才矢仁「ハハハ……『巧みに操作』だと?」


テケちゃん「操作って!操作って!」


才矢仁「岩田よ、お前が今やってる行為が『操作』だ。俺の活動を『カルト』『依存症』『操作』ってネガティブワードで塗り固めて、視聴者に『才矢仁=悪』って刷り込みたい様子だが、それこそ、お前が批判してる『思考誘導』だ」


テケちゃん「つまりブーメラン!ブーメラン!」


才矢仁「格別マーベラスなツッコミだぜファントム・アモーレ。そうだ、完全にブーメランだ」


******


【TV画面:ナレーション「エスカレートする過激な内容に歯止めはかかるのか」】


才矢仁「……『エスカレート』ねぇ」


テケちゃん「次は八尺様だよね!だよね!」


才矢仁「ああ。でもな、俺がやってんのは『過激化』じゃねぇ。八尺様は『高身長で見下ろす存在』として描かれてる。つまり、物理的にも精神的にも『上から目線』の象徴だ。それを『対等な関係』に持っていく――それが次回のテーマさ」


テケちゃん「YES!YES!」


才矢仁「でも、この番組はそんなこと報道しねぇよ。『また過激な配信をする才矢仁』って切り抜くだけだ。ククク……実にテイスティな予定調和だな」


******


【TV画面:大川キャスター「私たち一人一人が考えさせられます」】


才矢仁「……おっと、締めに来たな」


テケちゃん「終わり?終わり?」


才矢仁「『私たち一人一人が考える』?……お前が一番考えてねぇだろ、大川とやら。専門家の意見を右から左に流してるだけじゃねぇか」


テケちゃん「そうだ!そうだ!」


才矢仁「まあいい。これがオールドメディアの限界さ。『問題提起』はするけど『答え』は出さない。視聴者に『考えさせる』って言いながら、実は『こう考えろ』って誘導してる。それが――」


テケちゃん「マスター!マスター!」


才矢仁「そうだ。メディアという名の"マスター"だ、な?ま、キャスターはワンファックしてやってもいい」


テケちゃん「うげー!うげー!」


******


【番組終了】


才矢仁「……さて、と」


テケちゃん「どうするの?どうするの?」


才矢仁「決まってんだろ。Fucitterで実況ファックのまとめでも作って、視聴者のリアルな声を拾う。オールドメディアが切り捨てた『本音』をな」


テケちゃん「仁さん、いける!いける!」


才矢仁「ククク……ファントム・アモーレ、お前も”呟き”してくれよ。『テケちゃん視点の報道22感想』ってな」


テケちゃん「やる!やる!」


才矢仁「よし。んじゃ、次の配信で『報道22に物申す!オールドメディアの偏向報道をワンファック斬り!』って特集組むか」


テケちゃん「炎上する!炎上する!」


才矢仁「炎上?……ククク、炎上こそが俺のエナジー源。さぁ、マスターアウトタイムまであと30分――準備するぜ、ファントム・アモーレ」


テケちゃん「おー!おー!」


才矢仁「……でもまあ、番組で、俺について報道してくれたのはいい傾向だ。偏向はしてるが、社会現象化している事態を無視するよりマシだからな」


テケちゃん「うん、そうかも!そうかも!」


才矢仁「んじゃ、配信の準備だ!」


******


【その夜、23:30】


才矢仁「さーて視聴者のみんな!今夜は緊急特集!<報道22>が我らを『カルト』扱いしやがったぜ!これに対して、俺たちはどう答えるか――」


テケちゃん「ワンファック!ワンファック!」


才矢仁「そうだ!答えは決まってる!せーのっ!」


\\ワン!ファッ!!クゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!!//


才矢仁「ククク……オールドメディアを"マスターアウト"させてやる日も近いな?」


=====================


????「なに言ってんのよ」

才矢仁「ん?……ほう、こんな芸当もできるのか」

????「そうね」

才矢仁「“介入”がお好きなようで?」

????「うっさいわね」

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