エピローグ
国立・キャピタル大学。
樹齢数百年のイチョウ並木が秋色に変わった。
黄金色の葉っぱが風にそよめいて揺れている。
九百番講堂。
学生たちは必修科目の講義中である。
窓側に腰掛ける男子学生。
不図、
顔を上げた。
彼は窓の外に視線を移した。
キラリッ…………!
天色の空が輝いた。
彼の視線の先にはふたつの巨大飛翔体。
ふわり、
空中浮遊している。
それは二尊の幻妖霊獣。
不死鳥。
ファフニール・ドラゴンだ。
彼は口角を上げる。
仲間に手を振る。
くるんっ! くるんくるんっ!
フェニックスとファフニール。
嬉々として空中旋回する。
二秒後。
霧散して消えた。
彼はわずかに俯いて頬杖をついた。
愉快そうに口角を上げる。
そっと、
穏やかな微笑みを浮かべる。
それは貴き。
アルカイックスマイルだった。
関東地方の内陸に。
密かに暮らす龍使いの女がいるという。
龍使いの五色の瑞光オーラを目撃し、
龍神の差し出す契約書にサインすることができたなら、
夢が叶うというのである……。
「あなたはモアレリズムよ」
今日もまたどこかで。
リズムが最大値に到達した者がいる。
「このオーロラペンでサインして」
今日もまたどこかで。
是・契約が交わされている。
『誉』を手中にした者がいる。
「否アァッ!」
今日もまたどこかで。
怒りの咆哮が轟く。
そしてすぐ近くで。
否の制裁が執行されようとしている。
「リズム消滅!
鬼畜め、バイバイッ」
了
ココから先は……。
『そして、スピンオフ』
まずは。
秩父札所・二十番へ……。