オカマだけど超絶美少女に転生しました!~拝啓、貴族のお父様お母様、私は盗賊団に攫われましたけどイケメン達に囲まれて幸せです~
ノリでなんとなく書いて見ました。
楽しんで貰えたら幸いにございます!
転生させられちゃったと思ったらいきなり盗賊に襲われちゃったわ。
たまたま通りかかった剣士の様な人達に両親は助けられたみたいだけど、私だけ盗賊に攫われちゃった!
まだ私、赤ちゃんだから何も出来ないし、このまま成る様にしかならないわね。
何処かに売り飛ばされちゃうのかしら?
奴隷?
それでもいいわ。
新しい人生ポジティブに生きていかなきゃ損だし!
どんな人生でも桜花爛漫の人生を全うするわ!
それにしても……
野生の獣の様な汗と体臭の匂い!
やっぱり本物は違うわね。
甘いバニラの香りもいいけど、野性味溢れる男の匂いも悪くない感じ。
「頭ァ! その赤ん坊はどうする気ですかい?」
「伝手がある。
そいつに奴隷として売る。
母親があんだけ上玉だったんだ、良い値が付くぜ」
やっぱり奴隷?
貴族って拷問じみた性癖の人とか多いってイメージもあるし流石の私でもちょっと怖いわ。
でも……この頭目って言うのかしら?
すっごい男らしい顔のイケメンなのよね!
体も逞しいし、手下の人達からも凄く慕われてる。
内面もイケメンなのよね。
離れたくないわぁ……
「山羊のミルク持ってこい!
赤ん坊に飲ませる!」
あら!
この人が飲ませてくれるの!
面倒見も良いのかしら?
声も野太くて良いわぁ!
哺乳瓶なんてないから陶器で作った水差しで飲ませてくれるのね。
衛生面に不満があるけど、これしか生きる道は無いんだし、好き嫌いせずに飲んであげるわ!
「おい……おいおいおい、そんながっつくなぁ。
ハハハ、元気だなァおい!」
んもぅ!
そんな子供みたいな笑顔が出来るだなんて!
ついつい魔がさしちゃいそう!
いいのよ私!
赤ん坊なんだから思い切り抱き着いちゃえ!
両腕をいっぱいに広げて抱いてくれってアピールすると「抱っこか? よしよし、いい子だな」と言って抱き上げて貰っちゃった!
ハァ……凄い筋肉!
等身大の体で抱かれたい!
それにしてもこの人、私にメロメロね。
もうずっと抱っこされっぱなしよ!
また新しい男に惚れられちゃった様ね……
こんなだから私、最愛の人に刺されちゃったのよ。
でも、これが私の生き方。
男を誑かして、男に愛されて、男に恨まれる。
罪の多い男なのよね、私。
◇
あれから三日経ったけど、この頭目の男ったら、私の事をまるで手放そうとしないのよ。
奴隷商人に売るんじゃなかったのかしら?
「頭ァ! 商人の旦那怒って帰っちまいましたぜ?」
「帰らせとけ!
俺は……この子を育てる」
「か……頭?」
「町に行って真っ当な職に就く!」
「なに言ってるんですかお頭ァ!?
俺達が真っ当な仕事なんて出来るわけないでしょう?」
「あたま下げりゃなんとかなる!
隅っこの方でも雨風しのげりゃ上等だろ。
有事の際には俺が体張ってやるし、どんな仕事でも引き受ける!」
素敵!
私の為にそこまでしてくれるなんて!
将来はこの人のお嫁さんになりたい!
でもこのままだと私、この人の事お父さんって呼ばなきゃいけないわね。
親と息子の禁断の愛……
それも新しい愛の形かもしれないわ……
「頭ァ……そんなお嬢ちゃん一人の為に、俺達の事見捨てて行くっていうんですかい?」
あら?
仲間割れね。
手下の人武器を持ってるわ。
ここで私の新しい人生終わっちゃうのかしら?
「馬鹿野郎!
俺がお前達の事見捨てて置いて行くわけねえだろ!」
「頭ァ! でも、俺達が真っ当に生きていけるわけねえじゃねえですか!」
「負け犬根性は俺が叩きなおしてやる!
不満のある奴は声を上げろォ!」
「頭ァァー!」
優しく私を抱いたままこの人は手下の人を思い切り殴りつけた。
こういう男臭いコミュニケーションってホント素敵!
良いもの見せてもらったわ。
◇
その日から数日に渡って、この人は私を手下の人に預けて何処かへ出かけている。
きっと町の人に頼んでいるのね。
顔に傷を作って帰って来る日もあった。
言葉はまだ喋れないけど、エールは送るわ!
頑張って!
「よーしよしよしよし。
バブでちゅかァ? バブでちゅよォー」
頭目に反対していた手下の人もいつの間にか私にメロメロになっちゃわね。
ホント私ったら罪な女。
女といえば、私、男の子じゃなかったのよね。
女の子になっちゃった!
でも、やっぱりアレが無いと寂しいわね。
手下の人が回りをキョロキョロと見回してる……
もしかして悪い事を企んでるのかしら?
「バブちゃん。
俺が、パパでしゅよぉ」
あら。
頭目のいないのを良い事に私を寝取ろうと言うのね!
でも駄目よ。
私はあの人のものなんだから!
「アッ! 頭ァ!
どうでした?」
「はぁ、やっと折れてくれた。
いいかァ? 野郎共ォ!
これから俺達は真っ当な仕事に就く!
根を上げんじゃねえぞ!」
「オオォォ!」っと勇ましい雄叫びを上げる男達! 好きだわぁ!
◇
町に移り住んでから三年。
お父さんは汚れ仕事でもなんでもして来てくれた。
手下の人達も一言も根を上げずに一生懸命汗を流していた。
町の人達から煙たがられているけど、私はこの人達の努力を三年間ずっと見て来た。
私も子供達から仲間外れにされちゃってるけど、何も悲しい事なんて無い!
だってこの人達の事を本当に誇りに思ってるから!
「今日もいい子にしてたか、アイラ?」
「うん! お父さんの娘なんだからいい子に決まってるわ!
私、大人になったらお父さんのお嫁さんになるわね!」
「アイラは俺の事が大好きなんだなぁ!
俺もアイラの事が大好きだぞぉ!」
「だぁめ!
ちゃんと愛してるって言って!」
「ああ、愛してる!
何があっても俺はアイラの事、手放さないからな! ガッハッハ!」
◇
あれから更に月日は経ち、私は六歳になった。
町では噂になる程、私の容姿は目立ち始めた。
そして、お父さんとの血縁関係を町の人に疑われちゃったけど、お父さんは自分の娘だと言い張って押し通し続けていた。
お父さん達が仕事をしている間。
私は近くの小川で一人で遊んでいた。
小魚とか蟹とか捕まえておかずに出来ないかしら?
川の底を眺めていると、子供達に小石をぶつけられた。
痛いわねぇ。
でも、やんちゃな男の子も嫌いじゃないわ!
だから小石をぶつけられたくらいじゃ怒ったりはしない。
「何ニヤニヤしてるんだ、こいつ!
町から出て行けよ!」
「くせーくせー!
お前が町に住み付いてから水が臭いんだよ!」
「町にいさせてあげてるんだからもっと媚び諂いなさいよ!」
あらあら。
元気な子達ね。
女の子は町の偉い人の娘さんだったかしら?
お父さんの為にも、機嫌は損ねない方がいいわね。
私はその場で土下座の姿勢を取る。
「町に住まわしてくれてありがとう。
町の人達にも、貴方達にも感謝しているわ。
本当にありがとう」
「なんだぁ! お前!」
子供達は私の背中をポカポカと叩いて来る。
全然痛く無いけど、教育って大事だと思うのよね。
でも、私が逆らったりしたらお父さん達に迷惑かかっちゃうし、大人の人はいないのかしら?
「コラ! 君達何をしている!」
「誰か来た!
逃げろー」
子供達は去っていってしまったわ。
助けてくれたのは……見た事の無い人。
誰かしら?
それにしても、すっごい美男子!
王子様かしら?
「君、大丈夫かい?
怪我もしている……
ちょっと待っててね」
この王子様みたいな人は丘の上にある馬車で来たのね。
本当に貴族の人なのかしら?
あら?
透明な液体を振りかけられただけで、傷が治っていくわ。
「凄いわ!
ありがとう!」
「どういたしまして!
君ってそんな風に笑うんだね。
酷い事をされて辛くないの?」
「やんちゃな子達よね。
子供はそれくらいの方が将来有望だわ!
教育は親の責任だし、あの子達は何も悪くないのよ」
「凄く大人な考えだね。
君の両親はさぞ立派な人格者なんだろうね」
「うん!
お父さんはすっごく格好良くて、とってもいい人なの!
お母さんはいないんだけど、私がちゃんとお母さんの代わりをしているから気に病む事はないわ。
お料理だって沢山出来る様になったのよ!」
「ああ……そうか。
アハハ、本当に君はしっかりした子だね。
ん? そのネックレスは……お父さんから貰ったものなのかい?」
「綺麗なネックレスでしょ!
お父さんがね、いざと言う時に守ってくれる様にって、お守りにくれたのよ!」
「うん、綺麗なネックレスだ。
それじゃあ、僕はもう行くけど、また怪我をしない様にね」
王子様みたいな人はいっちゃったわね。
それにしても本当に凄い美形。
貴族なんだとしたらこの町に何か用事でもあるのかしら?
◇
夕暮れになってみんなのご飯をせっせと作っている。
男達の笑い声が扉を開けて家の中に入って来る!
「お帰りなさい!」
「只今、アイラ!
今日もいい子にしてたかぁ?」
「うん!
お父さん抱っこして!」
「ハッハッハ!
よーしこっちにおいで!」
「お父さんだーい好き!
ずっとずっと一緒だからね!」
「あー、アイラ。
愛してるじゃなかったのかぁー?」
「んもぅ!
愛してるわ!」
「俺もアイラの事愛してるぞぉ!」
◇
次の日。
お父さん達の建てた家を、鉄の鎧を着た兵士達が囲んでいた。
「お父さん?」
「アイラ……すまない。
お前との生活も……終わりだ」
そんな……何がどうなって、こうなったのよ!
認めないわ!
だって私の人生まだまだこれからなのよ!
「お父さん……お父さん!
私を連れてって!」
私はお父さんの胸にしがみ付くと、お父さんと手下の人達が「うおおおおお!」っと猛々しい雄たけびを上げる!
手下の人達が兵士に突っ込んで行き、その隙を突いて私を抱えたお父さんが一心不乱に駆け抜けていく!
早いはやーい!
全速力で駆け抜けていったお父さんに、重い鎧を着た兵士達は付いてこれない!
このまま逃げて新しい生活をお父さんと一緒に過ごすのよ!
盗賊でもいいわ!
私はお父さんの事、愛してるんだから!
「止まれ!」
お父さんの足が止まり、私も振り返るとそこには鎧を着た兵士が待ち構えていた。
「ハァ……ハァ……お父さんは必ずお前を見つけてやる。
だから、お前は逃げろ!」
お父さんが兵士に向かって素手なのに殴りかかっている!
ここで私がモタモタしてたら絶対に駄目!
私は走り出した!
町の外になんて出た事ないけど、微かな記憶を頼りに盗賊だったお父さん達のアジトを目指した。
でも……子供の足じゃ全然前に進まない。
誰かが追って来ている。
逃げなきゃ!
子供の足でいくら足掻いた所で大人の足には敵わない。
私は後ろから迫って来た誰かに抱き上げられてしまった。
「離して!
私はお父さんの所へ行くの!」
「暴れないで。
僕だよ、安心して」
そっと下ろしてくれたので振り返って見上げると、昨日の王子様……
「あのね! お父さん達が兵士に襲われてるの!
助けてあげて! お願い!」
「落ち着いて聞いて欲しい。
君はね……
バーンアストライド公爵の一人娘。
高貴なる方の御令嬢。
つまり君は、お姫様なんだよ」
全部理解した。
このネックレス……きっとこれが王家と関わりのあるネックレスだったのね!
私は首に下げたネックレスを引きちぎり、王子様っぽい人に投げつけた!
「私はお父さんの子なのよ!
お姫様なんて知らない!」
お父さんの元へ向かおうとしたけど、私はすぐに捕まり、無理やり馬車に乗せられてお城へと連れていかれてしまった。
さようなら、お父さん。
でも、いつか必ず出会えると信じてるわ。