#2
なぜ千里たちがJustCoreを貰ったのかという理由が少し見えてくるお話です。
会話文とても多いです。読みにくかったらアドバイスくれると嬉しいです。
「ねえ柊菜、1つ袋もって…」
「いいよ。あれ、ちょっと待って電話かかってきた。そこのベンチ座って待ってて」
「わかったー」
7月の中盤、帰り道の道端にあるベンチに腰掛けた千里の姿は少しだらしなかった。
まあ公園の中だから通る人もそう多くはないのであまり気にしなくてもいい事ではあるが。
「もしもし、どうしたの? うん、一緒にいる。わかった、聞いてみるね。
ねえ千里。お父さんが帰りに少し家に寄って帰れないかって。来れる?」
「え、うん大丈夫どうせ暇だしそれに家、隣でしょ。お父さん今日家いるの?」
「うん、今日休みなんだって。お母さんもいるよ」
「珍しいね、いつもいないのに」
「なんか一段落して休みもらったらしいよ。明日行ったら3連休だって」
「なるほどー」
でも確か、柊菜の両親はゲーム会社に務めていた気がするんだよね…JustCoreやJustWorldが出たばっかりなのに3連休とは…なかなかホワイトな会社なんだなぁと考えているうちに柊菜は通話を終えていたらしく、頼んだ分の袋も持って隣に立っていた。
「ありがと。行こっか」
「うん」
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「ただいまー」
「こんばんはー」
「おかえり。千里ちゃんもいらっしゃい」
ごく一般的な一軒家の玄関で待っていたのは、新山 悟志。柊菜の父である。
そしてその隣に佇んでいるのは横長でとても大きいダンボールだ。
「うわなにそのでっかい荷物。ソファーか何か?」
「残念、ソファーじゃないよ。千里ちゃんなんだと思う?」
「ええっと、ベッドかなあ?」
「うーん。まあ、正解かなあ。ただしくはJustCoreなんだけどね」
「「は?」」
二人がそう反応したのも仕方がない。通常のヘッドギア型のJustCoreでも30万円はする。しかもそれより使いやすいように改良されたベッド型は50万円であるからだ。
「ちなみにこれ、柊菜と千里ちゃんの分だからね。」
「それ本気で言ってるのお父さん? 2つ合わせて100万はするんだよ? どうやって手に入れたの?」
「いや、なんだかよくわからないけど上司から貰ってね。どうせ忙しいし使わないからあげようかなって」
「忙しすぎて使えないのはわかりますけど...ほんとに貰っていいんですか?」
「いいよ。今から使えるように千里ちゃんの両親にも許可取って既に設置してあるし。」
「え、じゃあもしかしてその中何も入ってないんですか!?」
「うん。もちろん柊菜の分も設置しておいたから両方とも空だよ。ほら」
そう言って悟志はダンボールをひょいと持ち上げた。それは中にJustCoreが入っていないことの証明だった。ちなみに入っている状態だと1つ50kgはする。
「ねえ、お父さん。JustCore今すぐ使えるようにしたってことはもしかして?」
「よくわかったね。Justworld付属版だよ。そうでもなかったらこんな急いで設置する必要ないだろう?」
「だね。さすがお父さん」
「だろう?初期セッティングとかもあるだろうから時間かかると思うし今からしてきなよ」
「確かにもう4時だから夕飯直ぐだしね。ありがとう、お父さん。千里も一緒にセッティングしよ」
「うん、じゃあまたね。通話する?」
「またね、うん、しよっか」
「おっけー」