#1
すごい雑で遅筆な作者でございますがよろしくお願いいたします。
「どうしてこうなったんだろう…」
そう呟きながら前を向いた少女—センリの眼に映るのは、夜の曇天のような黒色をその髪に宿した少女ーヒナ。
そしてその周囲に観客席に誰もいない少し広めのスタジアム。
「さあ?まあ多分うちの両親が悪いんだと思うよ」
「そうかなあ、まあでもこうやって遊べてるのはヒナの両親のおかげだし、文句は言えないかな」
「そっか。そろそろ始める?」
「うん、いいよ」
そう返事したセンリの右手には飾り気のない鈍色の片手剣が一振り握られており、その切っ先はヒナに向けられている。
相対するヒナの右手には粗雑に作られた木の杖が握られている。
どちらも左手の平は下に向かっており、何も装備されていない。
本来ならば、センリは盾を、ヒナは魔導書を持っているはずである。
「「行くよ。」」
まるでいっせーので合図したかのようにぴったりな合図で二人の周囲の空気は張り詰めたものに変わる。
最初に動き出したのは果たしてセンリの足か。ヒナの口か。
素人目には判断できないほどの速さでセンリが距離を詰め始め、ヒナは詠唱を始める。
センリが放ったのは素早さを重視した突き、ヒナが発動したのは起動の速さを重視した半球型の防御魔法。
センリの鋭い突きはヒナが展開した防御魔法に弾かれる。
だが、突きが命中した部分の防御魔法が少し砕かれた。
突きがはじかれると予想できていたセンリは、空中でそのまま体を捻り、次の技を用意する。
ヒナは防御魔法の詠唱中にすでに次の魔法のための魔力を右手で練っていたので維持しつつセンリの行動を観察する。
一度身を引き、かつ防御魔法に少しでもダメージを与えておくべきと判断したセンリは左から右に袈裟懸けに斬撃を放ち、右足で防御魔法を蹴りつけ飛び下がる。
センリの体が空中にあることからここからの連撃は厳しいと予想したヒナはセンリが下がると踏んで、攻撃魔法を構築する。
さらに、斬撃で傷ついた防御魔法に魔力を補充し、防御力を回復させる。
ーーまずい、防御魔法が回復した!?
そう叫びながらセンリは攻撃中に左手で練っていた魔力を全身に巡らせて身体強化を発動。
そして今までよりも早く駆け繰り出したのは攻撃力重視の横斬り。
攻撃力重視かつ身体強化付きの一撃は防御魔法を破壊することは容易い。だが、攻撃力重視の場合、技後硬直によりその後の動作が少し遅れる。
センリが防御魔法を破壊したその直後、ヒナの攻撃魔術が発動していた。
「「あっ」」
身体強化付きとはいえ、目の前で発動した攻撃魔術には流石に対応出来ず、ヒナの魔法を食らったセンリは一気に場外へ吹き飛ばされていた。
「負けちゃったか。防御魔法に意識が行き過ぎちゃったかな…」
「かな。それにしてもセンリが突っ込んでくるとは思わなかった。痛くない?」
「うん。大丈夫だよ。いやーこんなに体が動かしやすいなんて、凄いよね」
「まあ普通のプレイヤーならこんな動けないはずなんだけどね」
「あ、そうだっけ…まさかヒナのお父さん達から貰ったのが強化パッチ入りなんて…いやそもそもJustCoreが貰えるなんて思わなかったよね」
「うん。びっくりした」
そう、先程の試合の原因はつい先日ヒナの両親が余っているJustCoreとJustWorldOnlineをヒナ達に譲ったことから始まる。
続きは朝6時に投稿致します。
投稿日は話が出来たらその次の朝6時なので実質ランダムです。
週1-3は投稿したい…
2019/1/5
センリの突きが弾かれる場面無かったので追加しました。