21、最終日②
書籍第1~5巻&コミカライズ第1巻発売中(^_-)-☆
男たちに絡まれているところを池に助けられ、非常に喜んでいる様子の竜宮と合流してから、俺たち四人は、いくつかのアトラクションに乗っていった。
この四人でテーマパークに遊びに来る機会はこれまでもちろんなかったが、純粋に楽しい。
竜宮は緊張するかとも思ったが、リラックスした様子で楽しんでいて、俺と夏奈は安心していた。
「そろそろ昼時だけど、どうしようか?」
池が時計を見てから、俺たちに向かって問いかける。
その質問を受けて、竜宮と夏奈がアイコンタクトをした。
どうやら、計画通り二手に別れることを切り出そうと考えたらしい。
「せっかくなので、お昼は手早く済ませて、アトラクションを楽しむ時間を増やした方がいいと思います。なので、ハンバーガーなど、いかがでしょう?」
竜宮の提案に、即座に反応するのは夏奈だ。
「お昼ぐらいはゆっくりしても良いんじゃないかな? 最後にへとへとになって楽しめなくなったら意味ないし。ちょっと値段は高いかもだけど、レストランに入ろうよ」
打ち合わせをしていた内容通りのセリフを言う二人は、棒読みだった。
不自然なその二人の意見を頷きながら聞いていた池が、口を開こうとして――。
「それでは、お昼は二手に分かれて食べませんか?」
竜宮が早速そう言った。
もう少し意見を交わした方が自然だとは思うが、竜宮はすぐにでも池と二人きりになりたいらしい。
「うん、そうだね。ご飯を食べ終わったら、連絡とって合流しよっか」
夏奈もすぐに答える。
「それじゃ、私は優児君とお昼を食べるから、竜宮さんは春馬をよろしくね!」
「私は構いませんが……会長は、如何でしょうか?」
仕方ないな、とでも言いたそうなセリフだったが、竜宮の表情は興奮を隠しきれていない。
竜宮に問いかけられた池の方を見ると……彼は、意外にも気まずそうな表情だった。
「空気を読まなくて悪いが……二手に分かれるのはやめないか?」
池は、申し訳なさそうに断った。
「え、なんで?」
断られると思っていなかった夏奈は、池に向かって問いかける。
その言葉を池は竜宮をちらりと一瞥する。
夏奈は首を傾げたが、竜宮は心当たりがあったようだ。
彼女は暗い表情を浮かべてから言う。
「それは……私が会長に告白をして、断られたことが関係ありますか?」
竜宮の言葉に、池はゆっくりと頷いた。
「ああ、自意識過剰と思われるかもしれないが――、もしまだ竜宮が俺のことをあきらめていないなら……二人きりになって、希望を持たせるわけにはいかない」
池の言葉に夏奈は竜宮を見た。
竜宮は無言のまま、引き攣った笑みを浮かべている。
……心中では声を上げて泣きだしていることだろう。
「それは……えと」
夏奈は二人の様子を見てある程度を察していたが、やはり戸惑っている。
すでに竜宮が池に告白をして、振られていることを知らなかったのだ。
俺は知っていたから、こうなることは予想出来ていたはずだったが……気づけなかった。
「よ、よーし! それじゃあやっぱり、みんなでお昼を食べよっか! なんだか私、急にハンバーガー食べたくなっちゃったし!」
夏奈は非常に心苦しそうな表情を浮かべて、そう提案をした。
傷心の竜宮を放り出して、俺と二人で行動することはできないと夏奈は思ったのだろう。
「ああ、俺も急にハンバーガーが食べたくなってきた」
池はそう言ってから、「変な空気にして悪い」と竜宮に向かって頭を下げた。
「気になさらないでください、会長。私は、ハンバーガーを食べられることになってとても嬉しいですよ」
平然を装った竜宮だが、答える声は震えていた。
竜宮は、救いを求めるように俺をちらりと一瞥する。
こんな状況下で、竜宮をうまく励ませるほど、俺のコミュニケーション能力は高くない。
「……いいね、俺も今年一番ハンバーガーが食べたい気分だ」
俺の言葉に、竜宮は「それなら良かったです」と乾いた笑いを浮かべた。
こうして俺たちは、いま世界で一番ハンバーガーを食べたい四人組となったのだった。
ここまで読んでくれてありがとうございます(≧◇≦)
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また、前書きにも書きましたが、書籍版第1~5巻&コミカライズ第1巻発売中です!
長部トム先生の描く素敵なイラストの数々と、めちゃくちゃ頑張った愛花の加筆修正、はるまれ先生の描く素敵なコミカライズ等々、見所盛りだくさんです(*´σー`)エヘヘ
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