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14,ラスボス攻略春馬①

今回は春馬君視点です(*´∀`*)

「多忙な受験生を呼び出すなんて、偉くなったな生徒会長様よぉ?」


 面倒臭そうな態度を1ミリも隠さずに、竹取先輩はそう言った。

 昼休みの生徒会室。

 今この場には、俺と竹取先輩の二人だけ。

 他人に聞かれたくない話も、遠慮なくできる。


 無言のままでいる俺を一瞥して、竹取先輩はソファに腰かけてから言う。


「……元生徒会長の先輩に、いまさら新生生徒会についてお悩み相談ってわけでもないよな。何の用だったんだ?」


「見当はついてるんじゃないですか?」


「心当たりは何もないけどな」


 俺の問いかけにも、彼女は知らんぷりをしている。


「冬華から聞きましたよ、全部」


 俺の言葉を聞いた竹取先輩は――「はっ」と、意地悪く鼻で笑ってから、言う。


「ムカついただろ?」


「……何がですか?」


「大切な妹と、親友だと思っていた相手に。ずーっと、嘘を吐かれてたんだから」


 そう言って、竹取先輩はじっと俺を見た。

 ふざけているわけではない。俺の考えを見透かすようなその視線に、思わずため息がこぼれた。


「……ムカつきましたよ。でも、こんな乱暴なやり方で話を進めるなんて、あんまりだ。もっと上手いやり方はいくらでもあったはずだし、竹取先輩にはそれができたはずですよね?」


「あたしもいい加減ムカついてたからな」


 俺の問いかけには答えずに、竹取先輩は真剣な表情で言った。


「恋人ごっこ、友達ごっこをしてるあんたらに、ムカついた。……あたしが引っ掻き回したくらいで壊れるような関係なら、これ以上傷が深くならないうちに壊れた方が良い」


「竹取先輩のやり方が上手くいったとしても。あなたは……俺たちに恨まれるかもしれません。それでも、良いんですか?」


「少なくともあたしは、優児に恨まれるべきだと思ってるんだけどな」


あのこと・・・・を話しても、絶対に優児は竹取先輩のことを恨みませんよ」


「だから、こんな風にしかできなかったのかもな」


 自嘲するように、竹取先輩は言った。

 

「あたしは、何でも自分の思い通りにできる訳じゃない。自分ができることの中で、お前らの関係を引っ掻き回そうと思って。一番負い目を自覚している冬華に、突きつけただけだ」


「それが、贖罪とでも言いたいんですか」


「まさか。あたしがやったのは、ただのガキの癇癪に過ぎない」


 きっぱりと言い放つ竹取先輩に、それでも俺は言った。


「開き直らないでください。そのガキの癇癪で、俺の妹は……」


「甘えるなよ、池春馬」


 俺が言い終える前に、竹取先輩ははっきりとした口調で、そう言った。


「お前が妹に頼まれたのは、意地悪な先輩に説教をすることか? 違うだろ、そうじゃないだろ」


 正論どころか暴論で殴ってくる竹取先輩に、俺は唖然とする。

 だけど、反論はできない。

 俺は確かに。彼女に――竹取先輩に、甘えようとしていたのだから。


 無言の俺を見てため息を吐いた竹取先輩は、ソファから立ち上がって言った。


「お前がまだ友達ごっこがしたいって言うなら、そうしろよ。お前なら、あたしが引っ掻き回した関係を修復して、ぬるま湯みたいな生活を、これまで通り送れるようになるだろ?」


 それから「あたしはもう出るぞ」と続けて言って、生徒会室の扉へと手を掛けた。

 彼女の背に、俺は質問を投げかけた。


「一つ、教えてください。二人のニセモノの関係を、いつから気付いてたんですか?」


「最初から」


 俺の言葉に、彼女は即答した。

 それから、振り返って俺に向かって言う。


「あの日からずっと――あたしはあいつを見続けていたから」


 そう言ってから俺の表情を見て、ほんの少し苦笑を浮かべた竹取先輩は、もう一度扉へと向かい、生徒会室を後にした。

 彼女のいなくなった部屋で一人、最後の言葉を反芻した俺は、うな垂れながら呟く。


「俺だって、ずっと見ていたんだけどな――」


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