8、班員
祝!友人キャラの俺がモテまくるわけないだろ?コミカライズ第一巻発売(/・ω・)/
あわあわ慌てている池や朝倉、夏奈と昼ご飯を食べ終えてから、時間が経過し、本日最後の授業はロングホームルームだ。
文化祭を終えたばかりの今、どのような活動をするかというと。
「今日のHRでは、修学旅行の班決めを行う」
教壇に立つ池が、クラスメイト達に向かってそう言った。
池はいつもより少し、元気がなさそうにも見えるが、問題なく話を進めていく。
体育祭、文化祭を終えた高校2年の最後にして最大のイベント、それが修学旅行だ。
当日、班単位で行動を共にするのはもちろんのこと、今後数回に分けて行われるロングホームルームで、修学旅行の行先の歴史等を班員で協力して調べなければならないらしい。
面倒な調べものはありつつ、それでも修学旅行が楽しみなことに違いはないのだろう。
クラスメイト達は、待ってましたとばかりに興奮し、騒ぐ。
しかし、俺は周囲の興奮とは反比例し、落ち着いていた。
……いや、正直言うとビビっていた。
思い返すのは、小学生の頃の林間学校と修学旅行のことだ。
班決めの際、最後まで班に入れてもらえなかった俺は、クラスメイトの前であみだくじで受け入れ先を決められることとなった。
俺の受け入れ先以外の班はわかりやすく喜んでいたし、肝心の受け入れ先の班は悪態こそつかなかったものの、非常にショックを受けていた。
彼らの顔は、これから先も忘れることなどできないだろう。
「1班は男女3人ずつの6名編成。今から10分間で、班決めをしてくれ」
池の声の後、クラスメイト達は席を立ち、それぞれ仲の良い友達に声を掛けていた。
それを横目に、俺は席に座ったまま動けないでいた。
過去のトラウマが、俺の身体を硬直させているのだ。
……しかし、冷静になって考えてみると、このクラスの連中であれば、同じ班になってくれないか、と声を掛けても、嫌な顔をする奴はいないと思う。
俺は、深呼吸をしてから、立ち上がる。
声を掛けてもらうのを受け身で待ち続けているようでは、小学生のころから何も進歩がない。
断られるリスクを負ってでも、俺から声を掛けようと、勇気を振り絞りそう決意した。
――その瞬間。
「優児、俺と同じ班になってくれないか?」
池が、俺にそう声を掛けてくれた。
「俺も一緒に良いだろ?」
そして、続けて朝倉が、俺と池に声を掛けた。
あまりの驚きに、俺は心臓が止まるかと思った。
そして、心臓は止まらなかったものの、驚きのあまり逆に冷静になった。
「うん」
俺が非常に冷静に一言応じると、池と朝倉は首を傾げた。
「うん、て。キャラが違うだろ、友木。……どんな情緒?」
朝倉の疑問に、
「無表情を浮かべているが、これは……驚きと喜び、だな」
池がふむ、と頷きつつ答えた。
彼の言葉に、俺は静まり返った心を反映するように、にこりと微笑んだ。
「うぉっ……」
朝倉が俺の顔を見て、顔を引き攣らせたところを見るに、微笑みは失敗に終わったようだった。
「優児君、女子のメンバーはまだ決まってないよね?」
そう声を掛けてくれたのは、夏奈だった。
「ああ、まだ決まってない」
俺の答えに、夏奈は嬉しそうに微笑んだ。
「それじゃ、私たちと一緒に班を組もうよ」
そう言って、夏奈は背後を振り返る。
そこには、池と朝倉と話をする、木下と山上がいた。
俺としては、もちろん何も問題はない。
しかし、一つ懸念があった。
それは、他の女子グループが池と同じグループになろうと、陰で牽制しあっていたからだ。
周囲を見ると、『先を越された……』とでも言いたげな表情で、夏奈たちを見る女子たち。
ここで俺が軽率に返事をすれば、噛みつかれてしまいそうだ、と思っていたが、どうやらそうはならなさそうだった。
「あんたらにだったら安心して任せられるよ」
「勝者も敗者もいない戦いだったね」
「これで、よかったのかもね……」
そう言って、池を狙うクラスの女子たちは、夏奈や木下山上の肩をポンと叩いて、さわやかな表情で声を掛けていった。
彼女らは、特定の誰かが抜け駆けをするよりは、池に特別な好意を持っていない女子が彼と同じ班になった方がリスクが低いと判断したのだろう。
「え? え、怖っ……」
夏奈は普通に引いていた。
このクラスの連中のノリにたまについていけないのは俺も同じだった。
その気持ち、分かりみが深い。
「ぜひ、同じ班になってほしい。池も朝倉も、良いよな?」
戸惑う夏奈に答えつつ、池と朝倉に同意を求める。
「もちろんだ」
「俺も別に問題ないな」
池と朝倉が答えると、
「よろしくね」
「よろー」
木下と山上もそう答えた。
これで、今度の修学旅行の班員が決定した。
気兼ねなく話が出来るメンバーで、俺はほっとした。
楽しく修学旅行を過ごせそうだ、と安堵した俺に。
「ねぇ、優児君」
夏奈はそう言って、俺の制服の袖を引っ張る。
どうしたのだろうかと思うと、彼女は背伸びをして俺の耳に口元を寄せ、囁いた。
「楽しい思い出、二人でたくさん作ろうね?」
その言葉を聞き、俺は夏奈を見た。
揶揄うように笑顔を浮かべる夏奈を見て、俺はきっと顔を赤くしていたことだろう。
「……みんなで作ろうな」
俺がそう答えると、夏奈は少しだけ寂しそうな笑みを浮かべてから、
「……うん、そうだね」
と、一言答える。
彼女のその笑顔を見て、俺は少しだけ胸が痛んだ。
それがなぜなのかは――分からなかった。
とってもお待たせしてごめんなさい( ;∀;)
そして、ここまで読んでくれてありがとうございます(≧◇≦)
ブクマをして、更新チェックをしてくれると嬉しいです(*´σー`)エヘヘ
そして、前書きにも書きましたが、7月20日より、「友人キャラの俺がモテまくるわけないだろ?」コミカライズ第一巻が発売されます(^^♪
はるまれ先生にコミカライズを担当してもらっているのですが、とっても面白くて愛花はすっごく嬉しいです!
漫画になったことで新たに冬華ちゃんや夏奈ちゃんの可愛さは発見されますし、優児君や春馬君のカッコよさも見ることができます(^_-)-☆
というわけで、まだチェックしていない人は、購入してくれるととっても嬉しいのです(*'ω'*)!






4コマKINGSぱれっとコミックスさんより7月20日発売!