表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
141/221

4、おかしな朝倉


「優児くん、やっほー」


 ある日の休み時間。

一人でスマホを弄りつつ漫画を読んでいたところ、夏奈が話しかけてきた。


「おう、どうした?」


 俺の問いかけに、夏奈は嬉しそうな表情を浮かべつつ言った。


「うん、もうちょっとしたら、また中間テストがあるから。そしたら今度も……勉強教えてほしいなって」


 体育祭が終わり気が抜けていたが、そう言えばもうすぐ二学期の中間テストがある。

 一学期では池との勉強会のおかげで、良い成績を修めることが出来た。

 今回も前回と同じくらいの成績を取れると良いなと思い、俺は答える。


「そうだな、俺も池に教えてもらいたいし、また勉強会が出来るといいな」


「えー、二人きりが良いんだよー」


 眉を顰めて、非難するように言う夏奈。

 ……彼女の意図はわかっているのだが、応えることが出来ない俺は情けないことにただ困惑を浮かべ続ける。

 そんな俺を見て、夏奈はクスリと笑ってから、


「しょうがないから、それでも良いよ。ただし、優児くんの隣の席は、予約しておくからね!」


「おう、池には及ばないが、俺も出来る限り力になる」


「よろしくね」


 楽しそうに夏奈は頷いた。

 

「なぁ、優児、夏奈。少し良いか?」


 それから、俺と夏奈が話しているところに、唐突に池が声をかけて来た。


「なんか深刻そうな表情だけど、どうしたの春馬?」


 夏奈の言葉の通り、俺にも彼がどこか元気が無いように見えた。

 返事を待っていると、池はほんの少し逡巡した様子を見せてから、真直ぐにこちらを見てから、口を開く。


「聞きたいことがあるんだ。最近、朝倉の様子がおかしいと思ったことは無かったか?」


 池の言葉に、俺と夏奈は顔を見合わせてから、互いに首をひねった。

 朝倉の様子が、変?


 俺は教室を見渡し、前の方にいた朝倉を見る。

 彼は、クラスメイトの女子……確か、木下と山上と、三人で騒いでいた。

 木下は高校生にしては大人っぽく見える女子で、山上は高校生にはまるで見えない、どころか中学生に見間違えられるくらい子供っぽい女子の、アンバランスな仲良し二人組だ。


 朝倉と木下と山上は割と仲が良く、時折ああして仲良く話をしていることがあった。

 今も、朝倉のしょうもないネタに、二人の女子が冷めた視線を向け、


「そういうとこだと思うんだよね、朝倉」

「うん、そういうとこだよ、朝倉」

「「あんたが絶望的にモテないのは、そういうとこ」」


 とガチなトーンで言っていた。

 そして朝倉も、ガチへこみをしていた。

 

 ……別に、いつも通りでおかしな様子はないな。


「朝倉くんにおかしな様子なんてなかったと思うけど」


「ああ。俺も心当たりはないが……何か、あったのか?」


 俺と夏奈の言葉を聞いて、顎に手を当て考え込む仕草を見せる池。

 長い睫毛を伏せ、思案に耽る様は、男の俺から見ても綺麗なもんだと感心した。


「実はな……」


 と口を開き賭け、それから難しい表情を浮かべてから、彼は言いなおした。


「いや、悪い。俺の勘違いかもしれないから、気にしないでくれ」


 苦笑を浮かべつつ、池は言う。

 俺と夏奈は、池のその珍しい様子に、二人して首を傾げていた。





 そんなやりとりのあった昼休み。

 今日も冬華と一緒に昼ご飯を食べる約束をしていた。

 屋上で待ち合わせの予定だったので、廊下を歩くと、朝倉が壁にもたれかかりながら一人でスマホを弄っていた。


 なんだか珍しい光景だ。昼休みはバレー部の連中と昼ご飯を食べているイメージだったが……。

 そう思いつつ、一言声をかけようと近づいたとき、ふと、スマホの画面が映し出しているものが視界に入り、俺の動きは止まった。


 ……え?


「ん、おう、友木」


 不自然な俺の動きのせいで気取られたのか、朝倉がスマホから顔を上げ、俺に向かって親し気に話しかけてきた。


「お、おう。朝倉、一人で廊下で何してたんだ?」


「ああ、スマホで少し調べ物をな。教室だとうるさい奴が多くて、集中できないし」


 朝倉はそう言ってから、自然な様子でスマホをポケットにしまった。

 それから、わざとらしくため息を吐いてから、


「これから冬華ちゃんの手作り弁当? あー、うらやましい」


 と、悔しげにうめいていた。


「ああ、今日は弁当を作ってもらう約束をしていた」


 俺が答えると、朝倉は急に真顔になり、それからしゅんとうな垂れた。


「それじゃ、俺は教室戻ってバレー部の汗臭い雄どもと昼飯食ってくるわ」


 悲しそうな表情で朝倉は言い、教室へと向かった。

 俺は、無言のまま彼のしょぼくれた背中を見送った。 


 いまいち、今の会話のことが頭に入らなかった。

 それも、仕方ないことだ。朝倉があんなもの・・・・をスマホで調べていたんだから。


 俺は、池の言葉を思い出す。


『最近、朝倉の様子がおかしいと思ったことは無かったか?』


 今なら俺は、池の問いかけに朝倉の様子がおかしい、と断言するだろう。

 先ほど俺が見たものを思い出し、疑問に思う。


 ――女児向けスポーツウェアの購入サイトを、うるさい奴のいない廊下で集中して調べていたのは、何のためなんだ、と……。


ここまで読んでくれてありがとっ(≧◇≦)

【世界一】とにかく可愛い超巨乳美少女JK郷家愛花24歳【可愛い】です(*'ω'*)!


今回のお話で出てきた新キャラ、山上ちゃんと木下ちゃんは、書籍版「友人キャラの俺がモテまくるわけないだろ?」のゲーマーズさん限定版SSに登場しています!

この限定版には、愛花のSSだけじゃなくって、トマリ先生のキャラクターデザイン(最&高ですよ!)冊子もついてくるので、ぜひぜひゲットしてください!!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

新作投稿中!
タイムリープをした俺、両想いだと思っていた幼馴染に告白した結果、普通にお断りをされたので学校一の美少女と心中する約束をしてみた
ぜひ読んでください(*'ω'*)



4コマKINGSぱれっとコミックスさんより7月20日発売!
コミカライズ版「友人キャラの俺がモテまくるわけがないだろ?」
タイトルクリックで公式サイトへ!書店での目印は、とってもかわいい冬華ちゃんです!

12dliqz126i5koh37ao9dsvfg0uv_mvi_jg_rs_ddji.jpg

オーバーラップ文庫7月25日刊!
友人キャラの俺がモテまくるわけがないだろ?
タイトルクリックで公式サイトへ!書店での目印は、冬服姿の冬華ちゃん&優児くん!今回はコミカライズ1巻もほぼ同時発売です\(^_^)/!ぜひチェックをしてくださいね(*'ω'*)

12dliqz126i5koh37ao9dsvfg0uv_mvi_jg_rs_ddji.jpg
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ