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1、友人キャラの俺がモテるわけないだろ?

 俺のこれまでの人生は、紛れもなく最悪だった。


 ――そんな過去も、今はどうでも良い。

 そう言える日々が来るとは、きっとあの頃むかしの俺は想像もしていなかっただろう。

 

 全てのきっかけは、この世界の主人公である池春馬と出会ってから。

 俺を取り巻く世界と、俺自身は、そこから変わっていった。


 池や真桐先生、冬華に朝倉や甲斐。

 そして生徒会の田中先輩、鈴木。

 池に近しい人物や、直接かかわり合った人物は、俺を認めてくれた。


 それだけでも凄まじい進歩だったが、つい最近には、ほとんど話したことのないクラスメイト達ですら、俺のことを色眼鏡なしで見てくれるようになっていた。


 俺のことを目の敵にしていた竜宮乙女とさえ、今では良好な関係を築けている。


 この関係性を、これからも俺は大事にしていきたいと、改めて思う。


 ――そんな、俺のことを受け入れてくれた生徒会の面々の中には、未だに良く分からない人がいた。


 彼女の名は、竹取輝夜たけとりかぐや

 小柄で可愛らしい見た目ながらも、実際に話した印象は意外にも粗野。

 そんな彼女は、池の前任の生徒会長である、三年生だ。

 つまり、彼女も一年生ながら生徒会長を務めた、非常に優秀な人物。……のはずだが。

 

 現在はどうしてか、生徒会の活動には消極的(なんなら、俺の方が積極的に参加している)であり、池ですらフォローができないような、いい加減な性格をしている。


 直接的に関与したことがほとんどない彼女。


 故に俺は、彼女のことをほとんど知らない。

 だからといって、積極的に知っていきたいとは思わない。俺には、今の人間関係を大切にするのが、手いっぱいだから。


 ただし。

 これから先、彼女と深くかかわる機会がもしあるのだとすれば――。


 その時は、先輩後輩として、仲良くできたら良いな、と。

 俺はそう思っていた――。

   


 


 生徒会選挙が近づき始めたとある日のこと。


 俺はどうしてか竹取先輩に呼び出され、二人きりの状態で、思いがけない言葉を告げられた。


「……何を言ってんすか、無理に決まってるじゃないすか」


 俺の言葉に、竹取先輩は酷くショックを受けた様子を見せながらも、尚も食い下がってきた。


「いや、だから無理っす。何言ってんすか」


 俺は硬い声音で彼女の言葉を拒絶する。

 俺の言葉に絶望を滲ませた表情を浮かべる竹取先輩。

 膝をつき、蹲りながら、悲痛な声で彼女は呟く。


「……ここまで言ってるのに。なんで、付き合って・・・・くれないんだよ……」


 震える声と、華奢な身体。

 ……そんな風に弱っている風な様子を見せられても、俺は彼女の気持ちには応えられない。


「……俺は、冬華の恋人なんで」


 俺は彼女にはっきりと伝えた。

 竹取先輩はその言葉に反応し、顔を上げて真直ぐに俺を見据えた。

 

「本当に。どうしても……ダメ、なのか?」


 彼女の哀願に、俺は力強く首を縦に振った。

 俺の返答に、一筋の涙が頬を伝いながら――。


 竹取輝夜は慟哭する。















「どうして! 春馬と田中と甲斐と朝倉からの好意を一身に受け、ホ○ハーレムを作らないんだ!? あいつらの好意にはとっくに気づいているくせに……どうしてみんなと付き合わないんだ!? 冬華のことがあるのもわかるが、あたしは……あたしは!」
















 ガチなトーンで叫ぶ竹取先輩の醜態にドン引きする俺をよそに、彼女は大きく息を吸ってから、宣言した。




















「優児っっっっっつ!!! あたしは、あんたの総受けが見たいんだぁぁぁあーーーーーーー!!!!!」






 










 声を枯らして宣言した彼女は、鋭い視線を俺に向けていた。

 俺は、彼女の視線を真っ向から受け止めつつ、返答する。


「あ、そういうの無理なんで」


 人とコミュニケーションをとるのって、やはり難しい。

 最近、人との関係が好転していたから、俺はすっかりそのことを忘れてしまったのかもしれない。

 友人が増えたからといって、俺のコミュ障が直るわけではない。勘違いをしていては、いけないな。


 目の前で嘆く少女を見て見ぬふりをしながら、俺は割と本気で、そう反省をするのだった――。

 


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