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稲妻レシピ
指先より脳裏へと。文字間に閃く雷光を。
文字列の中をモヤモヤが漂い始め、まるで息を詰めるように体中の皮膚に帯電を感じる。突然きっかけとなる言葉が現れ、その見えない一点に対して大電流が放電される。その稲妻は根のように様々な日常の誤魔化しや嘘の弱い隙間を貫き通り、ありもしない、しかし唯ひとつの空間を閃かせる。そして本当に届いたならば、求めに真実に繋がったならば、その瞬間インパルスが歓喜の震えとなって体中を走り回る。そして痺れも収まらぬ間に、音なき轟音が辺り構わず鳴り響くのだ。それは地を揺るがす波となり、獣の眠りを覚まし、動かぬものを動かし、天と地の広がりを垣間見せる。林立する稲光の柱がやがて治まれば、眼に艶やかなインクに息遣いを感じ始めている。また少しずつ帯電を始めているのだ。




