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エピローグ:時間

エピローグ


「って事さ…」

とランドは話終えた。

「へぇ〜…、そうだったんだ」

といつの間にか、プリムの機嫌も直っていた。

そして、ふと思い出した。

「あれ?何か忘れて無い?……あっそうそう!ルル君はずっと足を斬られたままだったの?」

とプリムは聞いた。

ランドは氷を噛み砕き、答えた。

「それがさぁ〜、笑える話で…みんなで森を出ようかって歩き出したら、ルナ母さんが何か忘れて無い?って言うから、みんなその時気付いたんだよね!慌てて戻って見たら、ルル兄さん…死にかけてて大変だったよ」と笑って答えた。

正直、笑えなかった。

ランドは、感情と言うものがあまり分かって無いのであろうか…。

プリムは冷や汗をかきながら、そう…と答えた。

「ルナお母様は、今も健在なの?」とランドに聞いた。

「おぅっ!だってまだ、1年前の話だぜ」とランドは答える。

「そうよね…」と頷くと残ったクリームソーダを飲み干した。

辺りは、もう暗くなっていた。

BARにもお客さんがパラパラと入ってきた。

マスターは接客に追われ、ランドの話を途中から聞いていなかった。

すると、またドアが開いた。

中年の女性が店に入ってきた。その後ろから、子分達も入ってくる。

「スイマセン!親分!つい言ってしまいました!」

と子分の1人が言う。

ランドはその声に気付き、後ろを振り向いた。

プリムも釣られて振り向く。

女性はランド達の方に近付いて来た。

そして、ランドの前に立つと話だした。

「ランド!いつも帰りが遅いからソル達に聞いて見たら、こんな可愛い彼女が居たなんて!」

と女性は言った。

「かのじょ?」とランドは、どう言う意味か分からなかった。

しかし、プリムはその女性に慌てて否定していた。

「はっはっはっ!まったく、ランドも良い歳なんだから少しは女性の事を分からないといけないなぁ!」と笑った。

ランドが言う。

「ルナ母さん…別に、俺はみんなと幸せに暮らせれば良いんだ。まだ、女とか男とか分からなくて良いよ」と言う。

"ルナ"と言う言葉を聞いて、プリムは驚いた。

この女性が、ランドに人間を信じる様にした人なのか…と。

プリムはルナの方を見た。まだ若い…と言っても40歳くらいの女性。

すると、プリムとルナの目が合った。

ルナは気付いた様に、ランドに聞いた。

「ちょっと!彼女を紹介しなさいよ!」とランドの肩を叩く。

ランドは戸惑った顔をしていた。彼女とは誰の事を指しているのかが分からない。

すると、プリムが立ち上がり話だす。

「私、プリムって言います!ルナお母様のお話、聞きました!すっごい、感動と感激をしました!」と言った。

「まぁ、お母様だって!ちょっとランド!どうやってこの子をゲットしたのよ!」とランドに聞く。

ランドは、さっきから慣れない単語が出てきて戸惑っていた。

すると、子分の1人が近付いてきた。

「それはですね、親分がプリムの姉さんを助けて二人の恋が…」と話した。

"恋"と言う単語は知っていたようだ。

ランドが食いかかる。

「ソル兄さん!な…何を言ってるんだよ!」と叫ぶ。

プリムは、えっ?と言う顔をした。

今、この子分に"ソル兄さん"と言った。この子分って私より年上だったの!?って言うか、お兄さん達が子分だったの!?

プリムは唖然としていた。

「俺は、プリムに恋してるとは思わない。だけど、プリムの事は好きだし…これからもずっと一緒に居たいと思った。だから、クルシスの花もあげた。」とランドは答える。

ルナとソルとルルは、笑いだした。

ランドは笑ってる意味が分からなかった。

プリムに助けを求めて振り返ると、プリムは顔を真っ赤にしていた。

「もう…プロポーズ済みか…」とルナは呟いた。

「えっ?ぷろぽ…?って何?」とランドはプリムに聞いた。

プリムは顔を真っ赤にしたままで教えてくれなかった。

前に、ランドが言った意味が分かった。そして、あの花をくれた意味も…。ただ、残念な事は本人がまったく気付いて居ないと言うこと。

多分、単語だけ知っていて意味はあんまりよく知らないんだな…とプリムは感じた。

そう思ったら、急におかしくなった。そして、笑いだした。

ランド1人で、まったく意味が分からないと言った表情をしている。

みんな…何に笑っているんだろ?俺は、どうしたら良いんだろ?と思っていると、接客を終えたマスターが戻ってきた。

「おっ!何やら楽しそうな事になってるね!…んっ?ランドどうしたんだ?」と訪ねる。

「分かんない…うううっ…」と泣き真似をした。



そして、ランドはマスターに注文をした。

「たまには、レモンスカッシュじゃなくて、ウォッカでも飲もうかな…」とマスターに話す。

するとルナが、隣にドカッと座った。

「マスター!私にも!」

プリムも座り直した。

「私は、カクテルが良い!甘い奴!」

「おいら達は帰るッス!」とソルが言い出した。

「おいら達、明日は仕事でアクアランドに行くッス!だから、今日は帰るッス!お疲れ様ッス!」とルルが早口に言いスタコラと店を出ていく。

ソルも出ていこうとしたが、ドアの前で立ち止まった。そして振り返り叫んだ。

「ランドー!姉さん泣かすなよっ!」そう言うと、ランドはソルの方へ向いた。

そして、親指を立てた。

ソルは、笑ってそして店を出ていった。

ルナがランドをカウンターの所に引きづり戻す。

「ほらっほらっ!アンタ飲んで無いでしょ?飲みなさいよ!」と未成年に酒を勧める母親。

「ルナさん…あまり飲みすぎは…」とプリムが言った。

「もぉ〜!プリムちゃんは、名前じゃなくて"お母さん"って呼んでよ!未来の娘になるんだから」とルナはプリムに絡む。

「ランドも…プリムちゃんも幸せになっ!」とマスターも酒を飲んでいた。

「ちょ…マスター!まだお客さんが…」とプリムは周りを見渡すがお客さんが居ない。

いつの間に…。まぁ、いいか。と席に座る。

ランドを見ると、顔を赤くしていた。酔ってるみたいだ。

楽しい…ただ一言。プリムはそう思った。

これが家族なんだ。


夜は長い、いつまでもこの時間が止まっていれば良いのに…。


そうプリムは思った。

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