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奇蹟の少女と運命の相手  作者: 鷹羽飛鳥
王立研究所
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36 再会

 研究所に入って1か月が経ちました。

 実作業には関わらないで指示だけするというのにはまだ慣れませんが、ここはそういうところなんだと言われてしまえば、私がどうこう言えるわけもありません。

 「次席研究員」という肩書きを持ってしまった以上、私の勝手で序列やルールを乱すわけにはいかないのです。

 ただ、暇を持て余しているかと言えば、そうでもありません。

 実作業をやらなくてすむ分、複数の研究の算段が可能になったわけで、私には、同時進行で新たな研究をするよう指示が下ったのです。



 先日、お義父様から所長室に呼ばれました。

 そこで命じられたのは、紅花の研究でした。

 紅花と言えば、殿下の研究テーマではありませんか。そう言ったところ、お義父様は


 「殿下が研究しているテーマだからといって、他者が触れてはならないということはなかろう。

  紅花から油が取れることは知っているだろう。

  殿下は染料として研究しているが、マリーには食用として研究してもらいたい。

  結果として、研究のノウハウが共有できるならしめたものだ。

  とりあえずは、手応えを掴んでくれ」


と仰いました。

 所長命令とあればやむを得ません。

 私は、敢えて殿下の研究資料は見ないで着手することにしました。

 とりあえずは、2種の紅花を100本育ててみます。

 今年はとりあえず試して、感触を掴む程度で抑えましょう。

 今はまだ、綿花などの方が主体ですし、紅花は殿下の研究という気持ちも強いですから。



 そうやって、研究所の空気にも少し慣れた頃、思いがけない人と再会しました。

 パスール様です。

 お祖父様が亡くなった後、お悔やみの言葉を掛けていただいて以来でしょうか。

 王城に入ったというお話は聞いていましたが、まさか研究所にいらしたとは思いませんでした。


 「お久しぶりです、パスール様。

  その節は、暖かいお言葉をありがとうございました」


と挨拶したところ、


 「お久しぶりです、ローズマリー嬢。

  私に様付けなど不要ですよ。

  今やあなたは私と同じ公爵家の跡継ぎ。ましてあなたは次期所長だ。

  未来の部下に敬称など」


などと言われてしまいました。

 学院でお会いした時とはまるで違う態度に驚きました。

 それでいて、卑屈になっているというわけでもありません。

 肩の力の抜けた自然体という印象を受けました。

 これが大人になるということなのでしょうか。

 隣で話を聞いているアイーダがポーッとなっているのを感じます。

 その気持ちもわかります。

 あのギラギラした獲物を狙う肉食獣のような目が、こんなにも穏やかになって。

 自分に自信を持ち、一歩引くことを覚えたという感じです。

 この1か月、姿を見ていなかったのは、仕事で出張していたからなのだそうです。

 内容は、今はまだ秘密なんだとか。

 それで、2~3日休んだ後、また出掛けるのだそうです。


 「それでは、またいずれ」


 私を食事に誘うこともなく、お義父様のところに出張の成果の報告に向かう背中に、仕事に打ち込んでいる人の熱気が漂っています。

 本当に、あの頃とは別人のようです。


 どんな仕事なのかは少し気になりますが、必要ならばお義父様からお話があるでしょう。

 …あら、アイーダ、ほら、行きますよ。

 すっかり大人になったパスールとの再会です。

 かつての押しの強さはなりを潜め、適度な距離を保った大人な対応。

 周囲から浮きまくっていた2年間の経験が生きています。

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― 新着の感想 ―
[良い点] パスール素敵~♡ カッコイイ♡ 大人の余裕♡ アイーダ、同志よ!!
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