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奇蹟の少女と運命の相手  作者: 鷹羽飛鳥
学院4年目
83/161

裏33-2 それぞれの半年(アーシアン視点)

 …マリー嬢に会いたい。

 結局、勉強会がなくなってから、マリー嬢とはほとんど会えていない。

 ミルティがオルガ・ジェラードと婚約したってことで、僕の立場はマリー嬢にわかってもらえたはずなんだけど。

 喜び勇んで会いに行ったら、


 「殿下の婚約者の座が浮いた今、私がお会いするようになれば、口さがない者は、私がミルティを押しのけて殿下を奪ったと吹聴しましょう。

  そうなれば、殿下のみならず、ミルティの名誉も傷付くことになります。

  どうか、幼なじみにそんな惨めな思いはさせないでくださいまし。

  私は、いずれ婿を取ることにはなりましょうが、今はまだ家督を奪った娘と言われております。

  研究の完成も未だ発表できておりませんのに、そんなことをすれば噂を肯定するようなものです。

  跡取りに相応しい成果を挙げ、足場をしっかり固めないうちは、どなたとも婚約などできません」


 と冷たく拒絶された。

 確かに、お家乗っ取り紛いの噂が流れているのは知っているけれど、そんなこと、言いたい奴には言わせておけば…ってわけにもいかないか。

 ミルティの名誉に傷がって言われると、反論できない。

 恋愛感情は持っていないとはいえ、大事な幼なじみであることは間違いないから。


 「誰か第三者を交えて、どうにかなりませんか?

  実は今、研究の方で行き詰まっていて…」


 弱音を吐くのは情けないけど、僕は早く成果を挙げて認められなきゃならないんだ。

 そうじゃないと、パスール殿に太刀打ちできない。

 それに、研究仲間としてなら、マリー嬢の傍にいられる。


 「殿下。研究が行き詰まるなど、いつものことです。

  私は今回、運良くすぐに上手くいきましたが、それとてこれまでの10年間の積み重ねあってのこと。

  始めたばかりの殿下の研究がいきなり上手くいくくらいなら、研究所の方々は苦労しておりません。

  お祖父様は、七色のバラの完成に20年の月日を捧げました。

  殿下の研究テーマは、今までにない視点に立った素晴らしいものです。誰にも助けることなどできません。じっくりと腰を据えて当たらないでどうなさいますか」


 マリー嬢から、完膚無きまでに正論で叩き潰された僕は、もう何も言えない。

 結局、自力で研究実績を挙げていくしかないらしい。


 卒業までの2年半で、どうにかできるんだろうか。

 マリー欠乏症に苦しむアーシアンでした。

 

 次回裏33-3話は、9月1日(金)午前零時にアップします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] こんな態度をマリーから取られてるというのに、なぜそんなにマリーが好き? そこが殿下の分かんない点なのです。 パスールは別にマリーなんて好きじゃない(と思う。あえて言うなら外見は合格程度…
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