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奇蹟の少女と運命の相手  作者: 鷹羽飛鳥
学院3年目
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裏28-1 勉強会の依頼(ナシール視点)

 ネイが帰宅した。

 今回もオークール子爵令嬢と一緒に、公爵家の馬車で送られてきた。

 さすがに、今回は公爵令嬢はご一緒ではなかった。去年、ゼフィラス公爵令嬢がご一緒だったのは、特別だったということだろう。




 あの一件では、うちはドリストの義父からえらく感謝された。

 それは、まあそうだろう。

 公爵家の中でも今最も勢いのあるゼフィラス公爵家御用達になれたんだから。

 それどころか、あの情報がなければ、剣やナイフの注文に応じてしまい、取り潰しどころか首が飛んでたわけだからな。

 正直、利用されただけのテイルズ商会が処罰されるというのはおかしいと思うが、知らなかったことを証明できないと言われたら、返す言葉はない。

 本当にドリスト商会は危ないところだったんだ。

 どれだけ感謝したって足りないくらいだろう。



 義父は、その礼の一環として、アリスの縁談を持ってきてくれた。

 ドリスト商会と付き合いのある商会の跡継ぎだ。

 アリス自身の立場を考えると破格と言える。もっとも、ネイの姉ということを併せて考えれば、そんなにおかしくもないが。

 それでも、多分、親父では見付けられなかったであろう大店(おおだな)だ。

 跡継ぎは、この春学校を卒業したばかり。

 アリスの方が1歳上だが、それくらいなら問題ないだろう。

 2人とも王立学院受験に失敗した者同士で、話も合うだろうし、気兼ねもいらないだろう。

 この春、アリスは王都に嫁いでいった。

 そして、ジョアンナには、もうじき子供が産まれる。

 ティーバ商会(うち)の前途は洋々としている。

 まあ、それもこれも、俺の努力とかの賜物じゃないってのが少しばかり残念ではあるが。




 言うまでもなく、これらのことはみんなネイのお陰だ。

 公爵家令嬢と侯爵家令嬢のお気に入りで、飛び級した才媛、それがネイだ。

 その上、公爵家令嬢に個人教授した結果、令嬢は2科目で飛び級した。

 それだけでなく、ネイは、今も何人もの貴族子女を相手に勉強会を主催しているという。

 登用試験を受けるといえば、基本的に優秀な院生ばかりだろう。それを教えるには、それを更に上回る優秀な人間でなければ無理だ。

 つまり、ネイは、俺では想像もできないほど優秀だということだ。

 そりゃあ、確かに俺が勉強を教えてやっていた時だって、ネイは飲み込みは良かったさ。でも、飛び級したり、人を飛び級させたりできるほど優秀だなんて思ってもみなかった。

 まして、自分が飛び級していない科目(経営学)を飛び級させるってのは、どういうことなんだ?

 ネイに言わせると、自分は飛び級できるほど予習が進まなかったけど、後で人に教えることならできるんだそうだが…それって、もっと早くから勉強していれば、自分も飛び級できたってことなんじゃないのか?




 最近では、ドリストの義父のところに、王立学院を受験させたい子息を持つ商売関係の家から、ネイの指導を受けられないかという打診もあるらしい。

 この前義父から親父に来た手紙で、ネイに話すよう頼まれたようだ。

 似たような話は、テヅル(こっち)でもあって、親父もあちこちから頼まれてるんだが。

 そりゃあ、王立学院に受かって、しかも良い成績を取っているネイに教われば、合格する可能性が上がるだろう。

 さすがに、ネイが教えりゃ合格間違いなし、なんてうまい話はないと思うが。

 ともかく、親父は夕食の時にでもネイに話をするだろう。

 ネイだって、俺に勉強を教えてくれって言ってきてたんだ、無碍には断れまい。

 場所をどうするかとか、教える人数の問題もあるだろうが、ネイは引き受けざるを得ないだろう。

 官吏になっちまったら、恐れ多くて頼めなくなるだろうし、この3年間だけの話だな。

 まあ、今度産まれてくる俺の子供が受験する時には、特別に教えてもらうことにしよう。


 テヅル(こっち)に住んでる連中に関しちゃ、帰省してる時しか無理だって断りやすい。

 けど、義父の方は王都だからなあ。

 その気になりゃ、毎週末とかもできるだけに、その辺は慎重に考えて返事しないと、面倒なことになりかねない。

 もっとも、教えてもらう立場で、しかも今のネイを相手に、強気に出られる奴なんて、そうそういないはずだけどな。

 ネイは人がいいから、そういうところで損をするタイプだ。

 言っちゃあなんだが、商人としては二流にしかなれない。

 勉強ができるだけでは、いい商人にはなれないんだ。

 そういう意味じゃ、官吏になるって決めたのは、とてもいいことだ。いや、普通はなりたくてもなれないんだが。

 兄としては情けないことなのかもしれんが、頭のデキでは完全に負けてるのに劣等感とか感じないですんでるのは、商人としては俺の方が上だって自負があるお陰なのかもしれないな。




 んじゃ、情けない兄貴としては、ネイが公爵家の手を煩わせずにうまいこと捌けるよう、親御さん達との交渉でもしてやろうかね。

 なるべく高く恩を売ってやろう。なにしろ公爵家お墨付きの家庭教師様が教えて差し上げるんだからな。

 というわけで、帰省したネイクは、約1週間、商売関係のお子様(学院志望者)2名ほどに個人講義をするハメになりました。

 王都に戻れば、ドリスト商会関係のお子様にも勉強会という名の講義をすることになります。

 週末全部が潰れることはもちろんありませんが、なかなか大変です。

 まぁ、無料(タダ)ってことはないと思いますが、大学生の家庭教師のバイトより少ないくらいでしょうか。

 恩を売る方向で動いているので、あまり高くはしません。落ちても責任取りませんし。

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― 新着の感想 ―
[良い点] >勉強ができるだけでは、いい商人にはなれないんだ。 そうなのよ! それなの! >商人としては俺の方が上だって自負がある いいねえ、ナシール。こういうサバイバルスキルが高い感じの男は良…
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