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奇蹟の少女と運命の相手  作者: 鷹羽飛鳥
王立研究所
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50 嬉しい知らせ

 新年度、アーシアンとの共同研究が始まりました。

 そして…

 春になり、殿下との共同研究が本格的に始まりました。

 共同とは言っても、どうやら基本は私の研究で、殿下は私の第2世代の株とご自分の第1世代を掛け合わせただけのようです。

 確かに、資料を交換するということは、その内容を参考にしてもいいということですが、まさか私の第2世代の株そのものを手に入れて使うとは思いませんでした。

 第2世代は、2年掛ければ確実に作れるわけですし、研究を盗んだというほどのことではありませんが、少し釈然としないものを感じます。

 これ、共同研究する意味があるんでしょうか。

 もしかしたら、何か考えがあったのかもしれませんが、見ていくとイチかバチかでやったことが成功しただけのような気がしてきます。


 試しに尋ねてみました。

 「殿下、どうしてこの組み合わせを?」


 「ええとですね、こっちの僕の株には、花を多く付ける特性があるので、そちらの第2世代と上手く噛み合えば、収穫量の多い品種ができるんじゃないかと考えたんです」


 どうもとってつけたような感触が拭えませんが、一応筋は通っています。

 運がいいだけなのか、応用力が高いのか、微妙なところではありますが、共同研究を命じられた以上、やるしかないのも事実です。

 「共同で、それぞれの紅花の特性と違いの生じた原因を探り、できれば両者の有利な特性を持った品種を、ということですが」


 「ロ…次席、僕の作った品種の方は、あなたの第2世代に花を多く付けるという特性を付与したものです」




 殿下との打ち合わせは、それなりに有意義ではあります。

 私とは似て非なる考え方は、私が思いつかない発想に繋がることもありえます。

 そんなわけで、今年は、紅花の第3世代の形質安定を確認するための栽培をするのと並行して、殿下と共同で、新たな紅花が作れないかという検討をすることになりました。

 そして、殿下との共同研究ということで、問題が1つ発生しました。

 殿下を屋敷に招くわけにはいかないのです。

 名目上、うちの屋敷はおばあちゃまのためのジェラード侯爵邸であって、私のための屋敷ではありません。

 私がおばあちゃまと一緒に住んでいるのは、あくまで常におばあちゃまの指導を受けられるようにという名目あってのこと。

 ですから、私と殿下の(・・・・・)共同研究となると、屋敷を使うわけにはいきません。

 パスールさんとの共同研究では、パスールさんの…というか、オーリのいる建物に出掛けて行っているのですから、同じようにするべきなのでしょう。




 というわけで、私は、随分と久しぶりに研究所に日参しています。

 綿花の基礎研究が終わったことで、おばあちゃまとの研究がなくなってしまったのが寂しいところですが、おばあちゃまは最近すっかり体力が落ちてしまっているので、少しゆっくり休ませてあげたいところでもありますし。

 そう考えると、ちょうどよかったのかもしれません。

 実は、今回の綿花の完成が確認されたら、おばあちゃまは実質的に研究から身を引こうかというお話も出ているくらいですから。

 警備や護衛の関係上、研究所の籍は外せないのだそうですが、研究の方は、無理にしなくてもいいのだそうです。

 「次の研究のために構想中」とでも言っておけば、これまでの実績から、誰も文句を言えないのだとか。

 確かに、おばちゃまの実績に文句を言える人などいるわけがありませんものね。




 そうして共同研究を始めて暫くした頃、領地の方から、嬉しい知らせが届きました。

 ミルティが懐妊したそうです。

 秋口には出産の予定だとか。

 お兄様に似ても、ミルティに似ても、きっと可愛い子でしょうね。

 私の甥か姪になるんですよね。

 私の今の正式な立場は、ゼフィラス公爵家の長女ですから、お兄様が義弟ということになりそうです。

 そうすると、伯母ということでしょうか。

 少なくとも来春には会いに行けると思いますが、できれば産まれてすぐに会いたいですよね。

 この夏、領地の方に行く余裕がありそうでしたら、ネイクを誘って行ってみましょうか。

 ミルティが、結婚2年目にして妊娠しました。

 正確には、妊娠しているのがわかったのが2年目になってから、ですが。

 マリーは10代にして伯母さんになりそうです。

 もっとも、ネイクは15歳で叔母さんになりましたが。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ミルティ、おめでたいですね~。 これでジェラード侯爵家は安泰でしょう! しかし、殿下~。 せっかく見直されたのに、なんかダメダメ? やはり殿下にマリーは無理な気がする。
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