裏39-2 子爵夫人(トゥーリー視点)
ネイクを何度か実家まで送り届けていたトゥーリー・オークール子爵令嬢の視点です。
登用試験合格。
私の悲願は果たされました。
ネイクミットさんのお陰です。
私だけではなく、勉強会に参加なさっている方々は、そのほとんどが合格できました。
やはり、というか、下位の極一部の方は落第なさっていましたが。
普段から私達のペースについてこられない方々でしたから、いたしかたないところでしょう。
ダコークァ様も無事合格し、キューレル子爵家に婿入りなさいました。
そして、今日、私は王城に上がります。
ドレスを新調し、はやる気持ちを抑えて任官式に臨むと、やはりというか、ネイクミットさんもいらっしゃいました。
飛び級なさっているのですから、登用試験を受ける必要もないのは知っておりましたが、どこに配属されるかまでは聞いておりませんでした。
けれど、どう考えても、この中で一番の好成績であるネイクミットさんが最後尾に並んでいるというのは、合点がいきません。
家柄の順というわけでもないようです。
平民であっても、成績が上の方はちゃんと上位に並んでいるのですから。
とすると、ネイクミットさんがあのような位置にいらっしゃるのは、何か別の理由があるのですね。
任官式が始まり、次々と配属先が告げられていきます。
私は、第一志望の王立研究所には行けず、会計部門への配属となりました。
最後にネイクミットさん…と思ったら、もう一度ヒートルース様…とネイクミットさんも呼ばれました。
そして、陛下直々に
「王の名において、アイン・ヒートルースとネイクミット・ティーバの婚姻を認める。
そして、ネイクミット・ヒートルースを王立学院登用試験対策専門講師に任ずる。
また、ネイクミット・ヒートルースの功績を讃え、アイン・ヒートルースに子爵位と屋敷を与える。
ネイクミット・ヒートルース、此度の成果、見事であった。
以後も励むように」
とのお言葉を賜りました。
子爵とは…私達勉強会のメンバーのほとんどが登用試験に合格できたことは、やはり類い稀な功績と評価されているのですね。
確かに、ネイクミットさん…いえ、ネイクミット様ですね。もはやあの方は子爵夫人ですもの。子爵家令嬢に過ぎない私などより上の立場になられたのですから。
ネイクミット様のお力なくして、私の合格はありませんでした。
他の方々も、同じようなものでしょう。
そもそも、自力で合格できるだけの自信があったなら、当時平民だったネイクミット様に頭を下げてまで勉強会に参加するはずがないのですから。
ネイクミット様が講師をなさる、登用試験のための特別講義がどんなものになるかはわかりませんが、ネイクミット様の教えを受けられる方々は幸せですね。
官吏への道が、確実に近くなりますもの。
来年、王城に上がってくる院生は、ネイクミット様の教えを受けてくるのですね。
この1年で自分の居場所を作っておかないと、後輩に立場を脅かされる羽目になるかもしれません。
元より努力を惜しむつもりはありませんが、気を引き締めて掛かりませんと。
ということで、真面目なトゥーリーの決意表明でした。
裏39-1話で名前を呼ばれていたディワイター・キューレルに気付いていただけたでしょうか? 裏12-1話「子爵家の子息(ネイクミット視点)」、裏33-5話「それぞれの半年(トゥーリー視点)」で話が出ていた、モラーテ・キューレル子爵令嬢と婚約した勉強会メンバーです。
彼も、無事、合格&婿入りしました。
いずれ、義父の退官に伴って子爵位を継ぐことになります。




