表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/64

『合宿』 その十一

「なんだかんだであっという間だったな」


 色とりどりの火花の光でぼんやりと照らされたメグちゃんの顔は、どことなく寂しそうだった。

 合宿三日目も今終わりを迎えようとしている。いよいよ明日はフレイヤに帰るのだ。最後の夜はみんなで花火をやることになった。宅地から離れたここだからこそできる、贅沢な遊びだ。


「みんなで過ごすのは楽しいからね〜、その分時間も早く過ぎちゃうよね〜……あっ、落ちちゃった〜」


 喋った拍子に線香花火の火種がぽとりと落ちて、ショコラちゃんは眉を下げた。


「部活動の合宿なんて初めてでしたけど、とっても楽しかったですわ。願わくば来年もこうして合宿をしたいですわね」

「来年と言わずにさぁ、来週も再来週もまたやろうよー」

「そんな連続で合宿をしたらマンネリして楽しさも薄れますわよ」

「うーん、それもそうかなぁ」


 火を移しあいながら会話する二人の顔は穏やかだった。アンさんなんて、憑き物でも落ちたのかと思うくらいに落ち着いている。彼女なりにこの合宿に思いを寄せているのだろうか。


「一年生のみなさんはどうでしたか? なにぶん、わたくしたちも合宿という試みは初めてでしたから、なにかとご不便やご迷惑をかけたと思いますけれど」

「いや、迷惑だなんてとんでもないですよ。素晴らしかったです」

「来年もぜひやりたいです〜」

「わたしも、二人と同意見です。すごく楽しかったです」

「うふふ、それならよかったですわ」

「一年生達は幸せもんだよ、あたし達みたいな先輩がいるから、こういう合宿ができたんだからね!」

「はいはい、そうですわね。……さ、そろそろ花火の目玉といきますわよ。ギルマン、準備をよろしくお願いしますわ」

「かしこまりました。準備ができたら合図を送ります」


 黙って花火を見守っていたギルマンさんがシャリーさんの指示で、光のない方へと歩いて行った。遠ざかるにつれ、彼女の背中は闇に溶けて見えなくなっていった。

しばらくして、シャリーさんはケータイを手にとって誰かと通話し始めた。


「えぇ、ありがとうございますわ……さ、みなさん、あちらの方をご覧くださいな」


 シャリーさんがギルマンさんの消えた方向を手で示した。


「ギルマン、お願いしますわ」

 

 シャリーさんの指示の後、ワンテンポ遅れて、夜空に一輪の花が咲いた。それを皮切りに色彩豊かな花々が咲き乱れる。瞬きの間に煌めき散りゆくその様に、みんなしばし見惚れていた。

 帰ったらお母さんとお父さんとシュリちゃん、ついでにレイ君にも、この合宿のお話を聞かせてあげよう。とってもとっても、楽しくって充実した合宿だったって、自慢してやるのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ