『合宿』 その十一
「なんだかんだであっという間だったな」
色とりどりの火花の光でぼんやりと照らされたメグちゃんの顔は、どことなく寂しそうだった。
合宿三日目も今終わりを迎えようとしている。いよいよ明日はフレイヤに帰るのだ。最後の夜はみんなで花火をやることになった。宅地から離れたここだからこそできる、贅沢な遊びだ。
「みんなで過ごすのは楽しいからね〜、その分時間も早く過ぎちゃうよね〜……あっ、落ちちゃった〜」
喋った拍子に線香花火の火種がぽとりと落ちて、ショコラちゃんは眉を下げた。
「部活動の合宿なんて初めてでしたけど、とっても楽しかったですわ。願わくば来年もこうして合宿をしたいですわね」
「来年と言わずにさぁ、来週も再来週もまたやろうよー」
「そんな連続で合宿をしたらマンネリして楽しさも薄れますわよ」
「うーん、それもそうかなぁ」
火を移しあいながら会話する二人の顔は穏やかだった。アンさんなんて、憑き物でも落ちたのかと思うくらいに落ち着いている。彼女なりにこの合宿に思いを寄せているのだろうか。
「一年生のみなさんはどうでしたか? なにぶん、わたくしたちも合宿という試みは初めてでしたから、なにかとご不便やご迷惑をかけたと思いますけれど」
「いや、迷惑だなんてとんでもないですよ。素晴らしかったです」
「来年もぜひやりたいです〜」
「わたしも、二人と同意見です。すごく楽しかったです」
「うふふ、それならよかったですわ」
「一年生達は幸せもんだよ、あたし達みたいな先輩がいるから、こういう合宿ができたんだからね!」
「はいはい、そうですわね。……さ、そろそろ花火の目玉といきますわよ。ギルマン、準備をよろしくお願いしますわ」
「かしこまりました。準備ができたら合図を送ります」
黙って花火を見守っていたギルマンさんがシャリーさんの指示で、光のない方へと歩いて行った。遠ざかるにつれ、彼女の背中は闇に溶けて見えなくなっていった。
しばらくして、シャリーさんはケータイを手にとって誰かと通話し始めた。
「えぇ、ありがとうございますわ……さ、みなさん、あちらの方をご覧くださいな」
シャリーさんがギルマンさんの消えた方向を手で示した。
「ギルマン、お願いしますわ」
シャリーさんの指示の後、ワンテンポ遅れて、夜空に一輪の花が咲いた。それを皮切りに色彩豊かな花々が咲き乱れる。瞬きの間に煌めき散りゆくその様に、みんなしばし見惚れていた。
帰ったらお母さんとお父さんとシュリちゃん、ついでにレイ君にも、この合宿のお話を聞かせてあげよう。とってもとっても、楽しくって充実した合宿だったって、自慢してやるのだ。




