『お菓子パーティー』 その一
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仲の良い同性の友人が、突然自分を押し倒してきたとしよう。果たしてどれほどの人間が、即座に彼もしくは彼女を拒絶することができるか。
わたしはというと、頭が真っ白になって、なにも反応できなかった。
彼女はわたしに馬乗りになって、にやにやと笑っている。いつもの慈母みたいな微笑みとは違う、恍惚とした妖しいものだった。
しばし呆然としていたけど、部活の仲間達の騒ぐ声で、我に返った。脱出しようと懸命にじたばたしても、彼女の拘束が解けない。チビで貧相なわたしでは、むっちりぷりぷりの肢体を持つ彼女にはどうあがいても勝てない。
彼女の顔が、ぬうっと近づいてきた。耳元で甘ったるく生暖かい吐息を吐きかけられる。ぞわぞわとした感覚が全身を駆け巡り、力が抜けてしまう。
もしかして今の彼女には、魔術がかかっているのではないか。もしかして、あのお菓子たちの中に、魔術のかかったものが紛れ込んでいたのか。アンさんの新手のイタズラか。いやしかし、人がこんなになる魔術なんて、法律に引っかかるんじゃ。
そんな考察をしているのうちに、彼女はわたしの首筋から鎖骨にかけて指を這わせてくる。
抵抗しようにも力が入らない。身体が火照って、頭がぼーっとしてきて、視界がぐらぐらと揺れる。
何が彼女をそうしたのか。なぜこんなことをするのか。そしてこれからわたしはどうなってしまうのか。様々な疑問がどろどろとフラスコの中の薬品みたいに混じり合う。
いったい、なぜ、こんなことになってしまったのだろう――




