『七不思議』 その後
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彼女に関する出来事において、大きな進捗があったので、ここに頁を追加した。
あれからしばらくは、工事されている時計塔を見る度に彼女のことが想起され、心に引っかかりを感じる日々だった。けれど、めまぐるしい日常生活の中で、徐々に彼女の輪郭はぼやけて色あせ、いつの間にか思い出の一つとなっていた。
時計塔は幽霊が出て危ないから解体されるのだ、と巷では噂された。しかし、時計塔はいつまで経っても解体されず、それどころか外装が小綺麗になっていった。どうやら解体工事ではなく、補修工事のようだった。外装が綺麗になってゆくと、今度は慰霊碑として祀られるんだとか、国の秘密研究所になるんだとか、みんな勝手な憶測をまことしやかに噂した。
彼女と出会ってから数ヶ月後、夏休みが終わって二日目の登校日のことだ。朝のホームルームのため教室に入ってきたヴェロニカ先生は、心なしか緊張しているようだった。
「みなさぁん、静かにしてくださぁい。これから転校生を紹介しまぁす。……えぇっとぉ、今回は特例でぇ、ちょっと特殊な子が来たんだけどぉ、あまり驚かないようにねぇ。じゃ、入ってくださぁい」
先生に呼ばれて入って来た転校生の姿を見て、クラスメイトたちは大いにざわついた。それもそのはず、彼女は――
「フレイヤ区第二番亜人居住区画から来たトラウムなの! お前たち、トラウムって呼んでもいいの! よろしくなの!」
ざわついた教室内にも響く甲高い声で、彼女は自己紹介をした。それによって、教室はしんと静まりかえる。
「えっとぉ、正式な席は後ほど決めるけどぉ、今日はとりあえず……アルケイナムさんの隣に座ってもらいましょうかぁ。トラウムさん、あちらの席にどうぞぉ」
「お前たちと同じクラスでよかったの! これからよろしくなの」
唖然としていたわたしもメグちゃんも、隣の席(隣の彼は、この日病欠だった)に腰掛けて挨拶してくる彼女に、生返事しか返せなかった。
クラスメイトたちのひそひそ話が聞こえてくる。ユリィちゃんと知り合いなのかな? 亜人と知り合いってすごくない? あの亜人すげぇ可愛いじゃん、好みなんだけど。バカ、亜人に手を出したら国から消されるぞ! みんな口々に勝手なことを言う。
亜人が級友になるという類稀な体験に、クラスメイト一同が色めきだっているのは、間違いない。お祭りの雰囲気にも似たその空気に、わたしはひと波乱ありそうな予感がした。




