18.タコとヒョットコ(2008.10.20作)
「なぁ、ヒョットコってあるだろ?」
んぅ? んー。
「あれってよー……タコなのか?」
ぶふッ! おまっ、なっ! うあー、俺の貴重な昼飯がぁー。
「あーあ、きったねぇ」
誰のせいだ、誰のッ!
「……で、どう思う?」
とりあえず、お前の突拍子もない疑問は耳タコだな。
「寒い! 座布団撤収!」
それを言うなら没収……って、寒いとか言うな。こちとら分かってて言っとる。
「へーいへい」
ヒョットコねぇ……まぁ、タコみたいなのは確かだろうよ。
「んっふっふ……引っ掛かったね、とっつぁん」
じゃあお前はルパンか。
「すぉーです。ワタスがへ――」
あーあー、聞こえなーい。
「……だっふーんだ」
んで? 俺は何に引っ掛かったんだ?
「あんさん、タコを見たことあらしまへんの?」
えせ。そりゃあるけど、それがどうした?
「じゃあ描いてみ?」
このちんまいレシートにか。まず頭だろー? 目に口に、足が8本、っと。
「……なぁ、ホントに見たことある?」
どうせ絵心ねぇよ。
「いや、そこじゃなくて。口だよ、口」
それがどうした?
「タコの口は足んとこだよ」
(2008.10.20作)
■作品メモ
10月のお題『タコ』で書いた二作目。タコにまつわる面白い話を思い出して、今回は掛け合い漫才風に。……辛うじてでも落語に分類されたらいいな。
ちなみに目標は、当時好きだった『○経パソコン』誌の「社長と秘書」って掛け合い形式のコラム。