32.Re: You love me(2011.06.21作 / 恋愛)
ねぇ、と。彼の肩に寄りかかったままささやきかけた。吐息のように出た自分の声にさえ、今ならとろけてしまえそうな気がする。
頭の中の甘い気だるさと急にわいてきた気恥ずかしさに負けて、そこから先は言葉にしない。代わりにスリスリと、ごはんをねだる猫のように頬ずりをくり返した。
『たまには、そっちから〝好き〟って言ってみせなさいよ』
――なんて、私がふてくされているのも知ってて、貴方はいつもからかうのよね。
いつもは焦れったくて待っていられないけど、今日はガマンにガマンを重ねておねだり。頬ずりじゃ足りないなら、目で訴えてやるんだから。
男にしては華奢で、女というには頑丈そうな肉付き。そんな頼りない体格のくせに、頼りがいのある真っ直ぐな瞳で私を見返してくる。
なぁ、と。背筋をゾクリと撫でつける声で彼は呼びかけてから、その指先でそっと私の頬に触れる。近づく顔に目を閉じたら――
「俺のこと、好き?」
やられた。と思った。鏡がなくても、その熱さから顔がどうなっているかは想像がつく。
妙な悔しさに畜生めと内心で毒吐き、その胸に顔をうずめて呻いた。
「……知ってるくせに」
(2011.06.21作)
■作品メモ
『Do you love?』の、一応は逆視点バージョン。少しは手直ししてみたものの、それでもどことなく矛盾してそうな……むぅ、未熟者めぃ。
〝熱に浮かされて〟って表現が、お色気シーンの当事者本人の心情というか言動にはシックリくるのかなぁと、この作者めは勝手に思っておりますです。はい。




