26.解消宣言(2009.10.04作)
――はぁ?
端から見たなら、まず間違いなく僕の目はテンになっていると思う。そのくらい唐突な一言だった。
「俺、お前と友達やめるわ」
よりによって、この男はもう一度バカげたことを言ってくれた。それも一字一句、抑揚さえも寸分違わず、普段からは想像できない真面目な顔で。
何を突然……。そんな言葉がやっと頭に浮かぶだけで未だピクリとも動けないでいる僕に、彼は手を伸ばしてくる。
「――さわんなッ!」
思わず叩いたらものすごくヒドイ音がして、それがあまりにも痛々しかったから彼の顔が見えないように俯くしかできない。
ごめん、とだけ呟いたら、木霊みたいに同じ言葉が返ってきた。
「俺さ……俺、お前とは友達じゃイヤなんだ」
落ちた沈黙から這い出そうとするみたいに話し始める。少し目線を上げたら、彼は後ろ頭をガシガシかきながら顔を斜め下に向けていた。
言っている意味がよく分からなくて僕が口を開きかけるのと同時に、彼が一声奇声を上げる。
「――俺はお前の彼氏になりたいの!」
少し間をあけて言い放たれたその言葉に、1分くらい経ってやっと顔が熱くなった〝私〟がいた。
(2009.10.04作)
■作品メモ
リアル僕っ娘は少ないのかもしれないけど、男性人口の多い趣味を一緒に楽しむ為の一手段でもあるかなと思ってる。
今作はあくまで男女なんだけど、やっぱりBL疑惑が持ち上がり「八重さん、まさか…!」と某御仁のお目々をキラキラさせてしまったから、最後の一人称だけ初稿のものとは変えてある(笑)