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14.道筋なき未来(2008.09.09作)
未来――それは、未だ来たらぬ時間、世界。
僕はそこへ行きたかった。その時間を迎えたかった。
なんて惨い仕打ちだろう? 神の気まぐれに腹が立つ。
僕を在るべき場所へ帰せ。在るべき時間へ還してくれ。
ここは僕の居るべき世界じゃない。
ここは僕の過ごすべき時間でもない。
だから、頼むよ。悪魔が居るなら神だって居るだろう?
頼む。お願いだ。どうか、僕を本来在るべきところへ……。
「ほぉら、早く食べないと腐っちゃうでしょう?」
そう言って、目の前の悪魔が臭いモノを僕へと蹴りつける。よく見知っていたはずのモノなのに、目に入れることすらもしたくなかった。
未来――それは、未だ来たらぬ時間、世界。
決して行き着くこともなく、決して過去にも成りえない。
……それでも僕は、夢に見る。
(2008.09.09作)
■作品メモ
9月のお題「未来」で書いたもの。所要時間は15分かそこらと、割と早く書けたらしい(当時のメモを見て)。出だしの語りの流暢さが好きかな、この作品。