表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/28

私のお隣さん

ブックマーク感謝です<(_ _*)>

これからもよろしくお願いします。




 呆けているアリーに何とか自己紹介させると、ヒューイと名乗った少年はもう一度手を差出し握手する。



 ……うーん、なんかもうそれだけで、アリーがいっぱいいっぱいなのが伝わってくる。


 人の事言えないけど、引きこもり系お嬢様にイケメン要素を持つ少年との邂逅は、かなり刺激的だったらしい。




「ねぇ、エグランテリア嬢って護身術をマスターした武闘派お嬢様って、ホント?」


「~~~っ!?」




 ビックリしたぁ!!!


 二重の意味でビックリしたわ!

 一つはイキナリ顔を寄せて耳元で囁かれたこと。


 もう一つは……。




「なんで知ってるのよ!!!」


「アハハ、本当だったんだ。へぇ~如何にもお嬢様って感じなのにね」




 質問には答えずに、ケタケタ笑うヒューイ少年。


 内容が内容だけに大声を出すわけにもいかず、どうしてもひそひそとしたやり取りになってしまうけど、めっちゃ揺さぶってどうして知ってるのか吐かせたい衝動に駆られる。



 ――っと、いかんいかん。


 今の私はお嬢様。

 超絶美女の伯爵家のご令嬢が、入学早々クラスメイトに掴みかかったら大問題だ。



 ふー、落ち着くんだ私。

 目の前のコイツは所詮中防。イチイチ発言に目くじら立ててたらキリがないわ……。




「ゴホン!! 質問に答えてくださいます?」



 取り繕うように、お淑やか~な雰囲気を漂わせてみると、ヒューイも楽しそうな顔から一転、至って真面目な顔になる。


 コイツ空気読むの上手いなー。




「これは大変失礼致しました。叔母より聞いたのです……見目麗しいながら、熱心に護身術の習得に励まれたお嬢様がいると。年齢が同じなので、もしかしたら入学すればお会いできるのではないかと期待していたのですが、まさか席が隣だとは。つい舞い上がってしまいました。無礼をお許しください」




 口上も上手いと来た。

 これは将来出世するに違いないわね。



 それにしても。




「叔母?」

「サーシャ・シャルドンをご存じありませんか? 彼女が私の叔母です」

「……そういうことでしたの」



 ご存じも何も、私に護身術を教えてくれた女性騎士だ。


 なーるほどね。


 確かに、休憩中にやんちゃな甥っ子の話をしていたわ。

 同様に向こうにも、私の話をしていてもおかしくない。


 このヒューイって少年が、彼女の甥っ子なわけね。

 確かにやんちゃそうな雰囲気だわ。


 成長しても別の意味でやんちゃ(不良)にはならないで欲しい。



 ガラリと雰囲気を変えてくるあたり、頭も良さそうだけど。




「わかりましたわ。ただ、この事はあまり口外しないで欲しいんですの。……その、あまり他の方々に知られたくありませんので」



 『もしも』の時に身を護りたいから習ったのであって。

 こっちが護身術取得者だなんて知れ渡ったら、対策されちゃうかもしれないからね。

 というか、知られてた方が変に近づいて来たりしないのか?


 うーん、自意識過剰って言われても嫌だし。

 まあ、黙っててもらうに越したことはないわよね。



 ヒューイも意図を察したのか、キリっとした顔で頷く。



「はい。心得ました」

「でしたら、この件はここまでにしましょう。こちらこそ、回答を強要してしまい申し訳ありませんでしたわ」

「お気になさらず、エグランテリア嬢」

「あーそれから、折角お隣になれたんですもの。仲良くしましょう? 私の事は、ローザと呼んでいただいて構いませんわ。それから、言葉遣いも普通にして下さいな」



 クラスメイトなのに、変に堅苦しいのも困るし。


 私の言葉を受けてヒューイは一瞬キョトンとしたものの、すぐに破顔する。



「そっか。サンキュ、ローザ。これからよろしくな!」

「ええ、こちらこそ」



 もう一度固く握手を交わす。

 新しい友達が出来た瞬間だった。


 子供って、すぐに友達になれるから良いよね。

 まぁ私がキョドらないで普通にしてられるのも、美人に転生したおかげなんだけど。



「あぁ、それから。私は別に武闘派というワケじゃないのよ。集団生活するんだもの、何かあってからじゃ嫌だから最低限身を護る為に習ったのであって、決して好戦的な体育会系ではないから。そこは間違えないで頂戴」

「ふーん、そうなのか。てっきり騎士に憧れてるクチなのかと思った」

「違うわ。それにもしそうだとしたら、護身術よりも剣術を習うもの」

「確かにそうだな」



 納得したようにヒューイが頷く。



「俺、騎士を目指してるんだ。だから、もしかしたら良い競争相手になるかもってちょっと思ってたんだけど……違うんだな」

「ええ、残念だけど。でも応援するわ。貴方運動神経良さそうだものね」

「それだけじゃダメだって、よく言われるんだけどな」



 聞けば、騎士を多く輩出しているので有名な一族なのだそうだ。


 うんうん、なんかそれっぽい。



 その後も、ヒューイの前の席になった少年も交えて会話が弾んだ。

 アリーの隣の席でもあるその少年は、顔についてはまあまあだけど純朴そうな、優しそうな少年だった。



 アリー?

 クルクル変わるヒューイの顔を眺めるのに一生懸命だったみたいね。


 からかってみると、目を潤ませてビクンっと身体を揺らす。

 やっぱ可愛いわ~~。めっちゃ癒される……。



 前に美少女、隣に爽やかイケメン風少年という幸運を噛みしめていると、授業の開始を告げる鐘の音が鳴り響いたのだった。




2022/03/24 ちょこちょこと追記&修正しています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ